2021.11.21
マネジメントコラム
目標「達成」は、 目標「設定」で8割決まる!
■目標設定をする上で最も重要なこと
私が企業にうかがった際にリーダーから必ず挙がるのが、「目標達成に対するメンバー
の意識の低さ」という課題です。
話を聞くと、
「数字の意識が低い」
「達成しても達成しなくても給料が変わらないのでやらない」
「やらされ感になっている」
など、各スタッフが目をキラキラさせて目標達成に邁進する姿とはほど遠いのが現実のようです。
そこで、「目標設定のプロセスを教えてください」と聞くと、「目標は年度末に、前年の
数字を見ながらプラスアルファの数字を乗っけてリーダー自身が決めている。
そして、それを達成するための行動計画を会社に提出している」といった回答が大半です。
こうした目標設定のプロセスで、果たしてメンバー全員が目標達成のために情熱を持っ
て取り組むでしょうか?
恐らく仕事である以上、稼がないと給料がもらえないというスタンスで、義務感で目標
を追いかけることはあっても、メンバーが心から達成したいと思うことはないでしょう。
このような「やらされ感」の目標になってしまうのは、目標設定にある重要な要素が欠
落しているからです。
それは「その目標に想いがないこと」です。
その想いとは何でしょうか?
それは、「この組織にこの1年でこうなってほしい」という願いであり、
メンバー全員が目指したいと思う「組織のあるべき姿」です。
■メンバーの想いをカタチにした目標設定
私が組織力向上のサポートをする際、まず最初に取り組むのは、この「なりたい組織」
という目標設定です。
組織の大きさにもよりますが、できるだけ組織の全メンバーを集めて、「組織の課題」
「自分たちのなりたい姿」「この組織に足りないもの」などを抽出・共有する会議を開催します。
ある地方のレストランで、この会議を開催して挙がったのが、「スタッフが店を愛する
気持ちが無い」「地元の信頼が薄い」「お客様へのおもてなしが足りない」という課題でし
た。
そもそも「スタッフが自店を愛せていない」という課題がある時点で、どんなによくで
きた数値目標があっても、スタッフがそれを心から達成しようというモチベーションで取
り組むはずがありません。
そこで、メンバー同士で議論しながら「なりたい組織」の姿を明文化しました。このレ
ストランでは、最終的に次のような目標設定をしました。
「スタッフ全員が何よりお店を愛し、地域や地元の方に信頼され、心が喜ぶおもてなし
で、『やっぱりここが一番だね』と言われる店になる」
このように、組織の課題をメンバー全員で共有し、この組織の未来の姿に向けた言葉に
することで、それを解決することが全メンバーの望む共通テーマとなり、目標達成に向け
た主体的なメンバーの行動が引き出されます。
そして、これらの課題を解決して「なりたい組織の姿」になることが、結果的に売上な
どの目標数字を達成することにも繫がるのです。
実際、このレストランではこの年、高い売上目標を見事達成しました。
私はこのケースだけでなく、メンバーの想いをカタチにした目標設定をすることで、ス
タッフがイキイキとそれに取り組むようになり、目標達成を実現する組織をこれまでもた
くさん見てきました。
売上目標のような定量的な目標設定だけではなく、「メンバーの想いをカタチにした定
性的な目標がまずあり、その定性的目標を達成するために数値目標がある」という考え方
に基づいて目標設定すること。
それこそが、メンバーの主体的な実行力を引き出し、目標
達成の可能性を最大化することに繫がるのです。
※本コラムは、著書「接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと」(PHP研究所)の本文を再編集して掲載しております。
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