2021.09.04
マネジメントコラム
部下の目が「輝き続ける」マネジメントと 「曇ったまま」のマネジメントの違い
□ 部下の目を輝かせ続けるために大切なこと
社会人としてのこれからの夢や希望を胸に抱き、目をキラキラさせて入社してくる新入
社員は、見ているだけで気持ちがいいものです。
しかし、その新入社員も入社して半年も経過すると、入社時の元気さやキラキラした目
の輝きがどこか曇って見えるようになることがあります。
夢と現実の違いを目の当たりにすることや、社会人としての厳しさを経験するにつれ、
そうなることは当然のことだとも思います。
しかし、私の知っている企業の中には、入社から何年経過しても新入社員の目が輝き続
けている企業があることも事実です。
何が違うのでしょうか?
それはやはり上司のマネジメントの違いに原因があります。
一般的には、入社をしたら総務でひと通りの入社の手続きを終えると、すぐに現場に配
属になり、先輩社員に付いてOJTが始まるといった流れが多いでしょう。
スタッフの目を輝かせ続けられるリーダーもその流れは同じです。ただし、そうしたリ
ーダーは配属初日に必ず実践していることがあります。
それは、職場のルールや実務を教える前に、
「この仕事の意味・意義を伝える」
ということです。
仕事の意味・意義とは、
「この仕事の素晴らしさ」
「この仕事の喜び」
「この仕事のやりがい」
「この仕事が社会のどのような役に立っているのか」
を意味し、そのことを社員、パート、アルバイト問わず、「愛」と「情熱」を込めて語っているの
です。
この話をあるホテルの管理職研修でしたときに、レストランのシェフがこう言いました。
「自分にとって仕事の意味は、給料を稼ぐことだから、部下に伝えられるような、そんな立派なことなんてありません」
私はそのシェフに、
「それでは、シェフがこの料理を通じてお客様にどんな貢献をしたいのですか?」
と質問をしました。すると、少し考えた後に、
「自分の料理を通じて、レストランに来たお客様を笑顔にしたい」
と答えたので、私はこうアドバイスしました。
「人を笑顔にする料理を提供するために、私たちはこの仕事をしているということを部下
に伝えたらいかがですか?」
□リーダーの言葉によって組織は激変する
このシェフのように、もしかすると自分の仕事の意味・意義を語るに足らないと思われ
るリーダーもいるかもしれませんが、リーダーであるあなたが、自分たちの仕事に自信と
誇りを持たない限り、部下に自信と誇りを持たせることはできないと認識してください。
そして、この世の中に必要の無い仕事なんてありません。
必ず世の中のためになっているからこそ仕事として存在しているのです。
株式会社JR東日本テクノハートTESSEIという会社は新幹線の清掃をする会社で
すが、スタッフたちは清掃という仕事に対してネガティブな感情を持ち、やらされ感で仕
事をしていました。しかしあるリーダーが赴任し、彼の言葉で一変します。
「我々の仕事は清掃業でなく、新幹線劇場のキャストであり、お客様に温かな思い出をお
持ち帰りいただくのが仕事である」。
これをきっかけに、今では自分たちの仕事に自信と誇りを持ち、海外メディアから取材
されるほどになっています。
このようにリーダーの言葉によって、部下は
「自分は素晴らし仕事に就いた!」
「このような職場でお客様に喜んでいただけるために早く貢献できるようになりたい!」
「こんな自分の仕事に誇りを持った上司の下で働けるなんて幸せだ!」
と感じ、大きなモチベーションに繫がるのです。当然、その目も輝きます。
一方、それとは逆に「目が曇る部下」の上司は、仕事への想いや喜びなどよりも、成果
や結果ばかりを求め、酷いリーダーになると会社の悪口まで部下の前で愚痴る始末です。
このようなリーダーの下では新人だけでなく、組織全体が疲弊していくのは目に見えています。
ちなみに私自身は、自社に新人が入社した際には、必ずその新人と1ヵ月交換日記を行
います。
そうすると、新人が日々どんな想いで働いているか、何に不安を感じて悩んでいるかを知ることができるとともに、私からはこの仕事の意義ややりがいを1ヵ月に亘り、その日に起きた事象に合わせて伝えることができるのです。
また、新人のあなたが成長することは、「お客様の喜びや笑顔に繫がるから頑張って成
長していこう!」といったメッセージを情熱を込めて伝えることで、新人のやる気に繫が
っていることも実感しています。
これからの時代は、人財難、少数精鋭が余儀なくされる時代です。
いかにそこで働く一人ひとりが自分の仕事にやりがいと誇りを持ち、目を輝かせてイキイキと主体性を持って仕事ができるかどうかで、離職率はもちろん、生産性、業績にも大きな影響を及ぼします。
※本コラムは、著書『接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと』(PHP研究所)の本文を再編集して掲載しております。
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