2021.03.05
マネジメントコラム
現場リーダーが嘆く「時間が無くて部下育成できないのは間違い?!」
「船坂さん、部下に対する教育が大切なのはよく分かるのですが、
時間も無い中で、研修やトレーニングをどうやったらできるようになるのですか?」
あるホテルのマネージャーからいただいた質問です。
部下の成長を促すためにいかに教育の時間を作るかは、
「人がすべて」の接客・サービス業にとっては重要なマネジメント課題のひとつです。
現場の人員不足を理由に、目の前の業務に追われてそのための時間を捻出できなければ、
メンバーも組織も、良くて現状維持、普通に考えれば衰退するのは目に見えています。
それでは、どのようにすれば教育の機会を作ることができるのでしょうか?
それは、「日々の業務を学びの機会、成長の機会に変える」ということです。
教育の機会というと、業務とは別に時間を確保して研修やトレーニングを実施することを
イメージするリーダーが多いのですが、実は、日々の業務自体を教育の機会とすることは
いくらでもできるのです。
しかし、現状のリーダーたちを見ていると、
「教育はインプット」、
「業務はアウトプット」
といった別の事象で捉えているケースが多く、
日々の業務をリーダーとメンバーが
「教育の機会」
「成長の機会」
として捉えられていないのが現実です。
では、日々の業務を教育の機会に変えるためには、
どのようなことをすればよいのでしょうか?
人が成長するプロセスは、実はとてもシンプルです。
①目標を立てる
②目標を達成するためのアクションを考え、実行する
③実行したことに対して振り返り、内省をする
④反省点を生かして再度、または新しいことに取り組む。
これを繰り返すことを積み重ねることによって人は成長します。
あのイチローも、「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行く、
ただひとつの道」という言葉を残しているように、
日々の中で少しずつでも成長を実感できる仕組みを作ることはとても重要です。
ある飲食店では、朝礼で、その日出勤しているメンバーが「今日の目標」を
みんなの前で発表します。
そして、終礼時に「本日の振り返り」を発表するということを毎日繰り返しながら、
メンバーの成長を促しています。
また、ある温浴施設では、顧客アンケート結果から、
顧客満足度が低いことが課題に挙がりました。
そこで、社員、パート、アルバイトを問わず、
まず出勤したら「今日のやる気シート」に、今日の目標と意気込みを記入。
それに加えて、全員が徹底する3つの行動、
「元気な挨拶」
「溢れる笑顔」
「お客様へのプラスアルファのサービス」
のチェック項目を、終業時に各自が振り返りながら記入。
さらに、それに対する上司からのフィードバックを毎日実施したところ、
社員はもちろん、学生アルバイトまでも、自分の成長に対して意識が向上し、
アンケート結果の評価も大きく向上しました。
このように、教育の時間を別で作らなくても、
日々の業務の中で「教育の機会はいくららでも作れる」のです。
大切なのは、リーダーが「売上を稼ぐため」ではなく、
「部下の成長欲求を満たす」という思考でマネジメントすること。
そして、部下自身の成長が「お客様のさらなる喜びやしあわせ」に繫がっている
というホスピタリティ軸の取り組みとして、組織に浸透させることも重要です。
「時間が無いから教育できない」は、厳しく言えば思考停止です。
普段の業務の中でいかに教育的な要素を組み込むかによって、
部下の成長は大きく変わります。
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