2023.03.30
マネジメントコラム
伝わらなければ意味がない!『お客様に気持ちの伝わる接客3つのポイント』 ~ 表情・共感・クッション言葉を活用して接客の表現力を磨く~
私がホスピタリティコンサルタントとして、現場に伺う際に感じていることは、
スタッフの多くが「いくらお客様に喜んでいただきたいと思っていても、お客様にその気持ちが伝わっていない」
ということです。
サービス業で働いているスタッフの皆さまは、誰もがお客様に不快な想いをさせたくて接客をしている人はひとりも居ません。
「お客様を喜んでいただきたい!」
「お客様を笑顔にしたい!」
「また、あなたに会いに来たい!」
と思って接客をしているはずです。
しかし、結果的に「お客様にその想いや気持ちが伝わらない」が為に不快な想いをさせてしまったり、
クレームになってしまうという話しは良くある話しです。
それでは、どのようにすれば「想いの伝わる接客」ができるようになるのでしょうか?
それはズバリ!
「表現力を磨くこと」に尽きます。
日本人は欧米人に比べて自己主張や表現をするのが下手だと言われていますが、
昔から日本では「感情を表現しないことが美徳」であるという慣習があります。
実際に国技である大相撲で優勝した瞬間、力士がガッツポーズをしたところ注意を受けるほど、
感情を表に出すことは良しとはしない文化が根付いているのです。
しかし、これからの時代における接客サービス業は、
誰にでも同じマニュアル通りの接客サービスの提供は、AIやロボットといったテクノロジーが担い、
「人」による接客サービスは、目の前のお客様の期待やニーズに応じて接客サービスを変える、
付加価値の提供が求められます。
その上で、お客様に気持ちや想いの伝わる、表現力の高い接客サービスは重要な要素となります。
つまり、
自分の接客において、お客様に伝わるように表現できればお客様の喜びは倍増し、
怒りや悲しみは半分にすることができる!
ということを意味します。
そのお客様に想いの伝わる、表現ができるようになる接客には3つのポイントがあります。
1.相手の気持ちを「表情」で表現する
人類学者R. L. バードウィステル氏の理論によると、言語によって伝えられるメッセージは全体の35%にすぎず、
残りの65%は視覚的要素、表情、動作、ジェスチャーなどの言葉以外の手段によって伝えられるとされています。
従って、私たちはお客様に言葉で表現することに注視してしまいがちですが、
実は、言葉よりも視覚的要素、特に表情でお客様の気持ちを汲み取った表現をしなければ、
お客様に伝わらないということを理解する必要があります。
2.共感の相づちを意識する
お客様の気持ちを汲み取ったら、そのお客様の気持ちに「共感」することが重要です。
それが、お客様に「寄り添う接客」に繋がります。
「寄り添う接客」とは、お客様のことを「我が事」「自分事」として向き合うことを意味します。
そのお客様に起こった事象を「自分事」として受け入れ、お客様の喜・怒・哀・楽の感情に共感する相づちを、
「表情」「声色」「抑揚」で表現することが重要です。
例えば、
喜・・・相手:「実は、今日誕生日なんです!」
自分:「本当ですか?! それは、おめでとうございます!」
怒・・・相手:「この間、友人に無視されました!」
自分;「それは、腹立たしいですね!」
哀・・・相手:「この間、もらい事故に遭ってしまいました!」
自分:「わぁ、それは大変な目に遭いましたね!お怪我は大丈夫ですか?」
楽・・・相手:「今度、家族で北海道に旅行に行くんですよ!」
自分:「すごーい!楽しそうですね!」
といった感じに相手の感情に対して、表情・声色・抑揚で少しオーバーリアクションで表現することが重要であり、
それが相手に伝わる表現力に繋がります。
3.クッション言葉を活用する
クッション言葉とは、そのまま伝えてしまうときつい印象や不快感を与える恐れがあることを、
やわらかく伝えるために前置きとして添える言葉を指します。
例えば、
接客の現場でお客様に対して、
「こちらの書類にご記入をいただけますでしょうか?」というお願いごとも、
「大変恐れいりますが、こちらの書類にご記入いただけますでしょうか?」
のように「大変恐れいりますが」といったクッション言葉を添えるだけで、
お客様の印象は大きく変わります。
また、最近の飲食店のタッチパネルでの注文をお願いするケースでも、
「ご注文は、こちらのタッチパネルからお願いいたします」
だけではなく、
「お手数ですが、ご注文はこちらのタッチパネルからお願いいたします」
と「お手数ですが」というひと言を加えるだけでも、お客様の心象は大きく変わるのです。
その他にも、
「こちらにお並びください」ではなく、「申し訳ございませんが、こちらにお並びいただけますでしょうか?」
「次のお客様、こちらのレジにお願いいたします」ではなく、
「大変お待たせをいたしました、次のお客様、こちらのレジにお願いいたします。」
「荷物はクロークでお預かりいたします」ではなく、
「もしよろしければ、荷物はクロークでお預かりいたしますのでお申し付けください。」
このように、クッション言葉を付け加えるだけで、お客様への伝わり方は大きく変わります。
この時に大切なのが、前述の「お客様の気持ちを表情で表現すること」、
「お客様の気持ちを考えた、共感の声色、抑揚」を意識して表現することが重要です。
いかがでしたでしょうか?
このような3つのお客様に伝わる表現力を身に付けていただくことで、
「お客様に伝わる接客」になるだけでなく、
目の前のお客様に応じた接客サービス、つまり適応型サービスの提供、
これからの時代に求められる、人にしかできない付加価値の提供に繋がります。
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