2020.10.31
マネジメントコラム
人を動かす「共感マネジメント」
リーダーは、組織に属するメンバーを自分のマネジメントによって部下を動かし、
会社からのミッションを果たす重要な役割を担っています。
しかし、部下を動かし成果を導くのは簡単なことではありません。
「人を動かす」マネジメント手法は大きく分けて3つあります。
まずひとつ目は「強制力」
会社からの方針で強制的にやらせる。
リーダーの権限を利用しながら強制的な指示をする。
メンバーがやらざるを得ない状況を作る
ふたつ目は「報酬力」
仕事によって成果を上げれば「給料」が上がる。
目標を達成すればインセンティブがもらえる。
会社の方針に従って仕事をすれば自分の人事評価が上がり昇給などに反映される。
そして、3つ目が「共感力」
会社のミッションやビジョンに共感する。
リーダーの想いや目指す方向性に共感する。
仲間と同じ価値観を共有する。
このようにマネジメントにおける「人を動かす」方法は、
複数あるということが分かります。
それでは、この中で一番効果的な人を動かす方法は何なのでしょうか?
それは、「共感力」です。
戦後の高度成長期においては、リーダーはトップダウンで、
従業員に「強制力」で仕事を与えて、年功序列型の右肩上がりの「報酬力」で
その従業員の労働に応えていました。
この時代は、終身雇用の安定感と右肩上がりの報酬で、
従業員もそれに満足していた時代です。
しかし、時代は変わり、終身雇用も崩れ、
右肩上がりの報酬が描けない中、
従業員が仕事に求めることが変わりつつあります。
それは「自分がこの仕事をすることの意味付け」です。
「自分がこの仕事に就いて、顧客や世の中にどんな貢献ができるか」
「この仕事で自分がどのような成長ができるのか」
といった働く意味や意義の考え方は大きく変わりつつあります。
その上で「強制力」や「報酬力」は以前ほど効力を成さなくなってきています。
従って、会社の目指すミッションにどれだけ共感してもらえるのか?
また、それを示すだけでなく社長も含めて全従業員が、
それを実現する為に、どれだけ浸透、体現しているのかが重要であり、
リーダーも、自社のミッションに基づきながら、
顧客にどんな商品・サービスを提供するのか、
それが顧客のどのような喜びやしあわせに繋がっているのか?
それに我々の仕事はどのような意義があるのか?
といった想いをメンバーに伝え、共感を軸としたマネジメントをする
必要があります。
人は何かに共感し一体感を抱くと、「他人事」ではなく「自分事」と捉えるようになります。
従って、会社や組織のミッションに共感を抱くと、
自分の目標と同一化し、自分事として達成に向けて強くコミットし始めます。
企業は、今、そのような顧客や従業員のしあわせを目指す「共感」よりも、
ハラスメントやコンプライアンスといった目先のリスクの排除に意識が向かっているような
気がしてなりません。
一時期、ある飲食店のアルバイトが仕事中にSNSで店舗の売り物の商品を勝手に食べて
ふざけている動画が投稿されて話題になりましたが、
これはコンプライアンスの問題ではなく、例えアルバイトと言えども、
「この仕事の意味や誇り」をリーダーが伝えられていないところに問題の本質があり、
「共感」の欠落と言っても過言ではありません。
リーダーの皆さまは、強制力では人は動かない、動いても一時的、
あるいは、やらされ感でしかないということを念頭に、
「共感」を軸としたマネジメントを意識していただくことが
これからの時代の成果を生むマネジメントであるという認識が必要です。
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