2022.01.15
マネジメントコラム
接客サービスでホスピタリティ、付加価値を提供する4つのステップとは?
成熟した社会の中で差別化困難なコモディティ化が進む中、
商品などの「モノ」による差別化ではなく、お客様への付加価値の高い接客サービスで
他社との違いを提供する動きが高まっています。
その上でお客様からの期待通りの接客サービス、つまり「等価価値」、満足領域では物足りず、
「付加価値」の領域、感動領域の接客サービスがこれからの時代は求められます。
それでは、どのような接客サービスをすれば、お客様に付加価値が提供できるのでしょうか?
それには、やはりサービスを提供するスタッフの「ホスピタリティ」が重要な要素となります。
ホスピタリティは、お客様に対して表面的ではなく、心のこもったサービスの提供であり、
相手を主体的に想い、相手の立場に立ったサービスは、付加価値の提供には不可欠です。
その根幹に必要な要素は以下となります。
◎相互容認・・・お客様を無条件に受け入れることで、お客様もスタッフを受け入れる。
◎相互理解・・・お客様のことを理解しようとする姿勢が、スタッフへの理解を示すことに繋がる。
◎共創関係・・・お客様とスタッフのお互いの関係性の中で、サービスを提供する側、される側でベストなものが共創される。
◎信頼関係・・・お互いの信頼関係が築かれて、お互いが無くてはならない存在となる。
これらを見てお気づきのように、ホスピタリティはお客様に対してスタッフが一方的に提供されるものではなく、
「相互」が示すように双方向であること。
そして「相互関係」を築く上で、まずはスタッフ側が、そのような関係性を築く為に、
お客様に対して受け身ではなく、自ら働き掛けることが重要であることが分かります。
それでは、お客様にホスピタリティを提供する上で具体的に何をしなければならないのでしょうか?
それには、以下のステップをスタッフは意識をしてお客様に働き掛けることが重要です。
STEP1. お客様に意識を向ける
まずはお客様に対して、興味、関心を持って意識を向けることが重要です。
「自分はお客様に意識を向けているから大丈夫」と思われる方も多いと思いますが、
実は、その意識には人によって温度差があることも事実です。
普段から、人間関係の中で「相手が少し嫌な顔をしただけで気になってしょうが無い」という人も居れば、
「相手が嫌な顔をしたことすら気付かない」という人、例え、嫌な顔に気付いても気にならないという人もいます。
このように、対人関係に関する感性のアンテナが高い人、低い人によって、お客様が発しているシグナルに
気付けるかどうかの大きな違いとなるのです。
また、常日頃から目線が上がっているかもお客様に意識を向けるという観点では大きなポイントです。
ホテルのフロントでも、スタッフの目線がカウンター内のパソコンにばかり気が取られていて、
お客様がカウンターに来る直前まで気付かないといったことも良くあることです。
飲食店でも、料理やドリンクを運ぶことばかりに気に取られ、お客様が手を挙げて店員を呼ぼうとしているのに
気付かないということもあります。
常に目線を上に上げて、お客様からのサインに気付くようにすることも意識を向けるという点で重要です。
もう一度、自分自身がお客様への意識が本当に向いているか内省してみてください。
STEP2. お客様を観察・認知する
お客様に意識を向けて、常に目線を上げると、お客様の様子が見えてきます。
ここで、お客様の様子を注意深く観察することがステップ2になります。
・お客様の表情
笑顔、泣いている、怒っている、楽しんでいる
・行動、態度
急いでいる、足が悪そう、寒そうにしている、横柄、腰が低い
そして観察するだけでなく、お客様の声に耳を傾けたり、質問や声掛けといったコミュニケーションを取りながら、
よりお客様の状況を認知します。
ホテルであれば、
・家族で夏休みにディズニーに遊びに来てこのホテルに泊っている。
・このホテルで結婚式を挙げて10周年の記念日に宿泊している。
飲食店であれば、
・誕生日のお祝いで友人同士でお祝いの会をするためにこの店を予約した。
・同僚の送別会で、同期入社のメンバーが集まっている。
このような情報を如何に掴めるかが、ホスピタリティ、付加価値を提供する上では、
重要な要素となります。
STEP3. 仮説を立てる・すべきことを考える
ステップ2のお客様のことを情報収集して認知できたところで、次のステップは、
自分の想像力を働かせて「お客様がして欲しいこと、喜んでいただけることを仮説を立てる」ことになります。
例えば、
「このお客様は急いでいそうだから、早く対応して差しあげるべき」
「このお客様は足が不自由そうだから、あまり歩かせてはいけないだろう」
「このグループは誕生日のお祝いをしているので店としても何かお祝いをしてあげたい」
このような、自分なりにお客様を主体的に想い、お客様の心情を「自分事化」して、
仮説を立てることが重要です。
STEP4. 実践する・行動に移す
ステップ3で仮説を立てたことに対して、それを実際に自分の行動により実践します。
ここでのポイントは、ホスピタリティは受け身ではなく、
「自らが主体的に相手を想い行動する」ことが重要なので、
「こんなことをしたら差し出がましいのではないか?」
と思わずに、勇気を持って行動に移すことが重要です。
そして、それをさりげなく実践することも大切ですが、
お客様に「ホスピタリティを見える化」することも重要なのです。
例えば、ホテルで足の不自由なお客様がチェックインに来た際には、
「足にご負担がかからないようにエレベーター近くに部屋割りをさせていただきました」
と伝えることが重要であり、伝えないと、たまたまエレベーター近くの部屋割になったとお客様は思ってしまい、
「有り難み」や「感謝の気持ち」が芽生えません。
「ホスピタリティの押しつけ」になってはいけませんが、自分がお客様の事を想い、
心を込めて行なったことは、きちんとお客様に伝えるべきだと思います。
そして、場面によっては、自分が良かれと思ってやったことが「余計なお世話な時」もあると思います。
そのような事があったら、そこで何がいけなかったのか内省して、次の接客サービスに生かせば良いのです。
ホスピタリティを極めている人達は、このような失敗を繰り返しながら熟練を重ねています。
いかがでしたでしょうか?
ただ単に良いサービスを提供するといっても、このようなステップを具体的に意識をして、
日々の接客サービスをしているか、それとも、何となく良い接客サービスをしようとしているのでは、
大きな違いです。
ホスピタリティを提供する4つのステップ、今日から是非実践してみてください!
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、接客・サービスに関する研修も行なっておりますので、
お気軽にご相談ください。
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