2023.03.04
ホスピタリティコラム
【2023年度版】ホスピタリティの意味と仕事への活かし方 ~ 顧客へのおもてなしを超えたホスピタリティの使い方 ~
このコラムでも「ホスピタリティの意味」は何度か触れてきましたが、
時代と共に、私たちにとって「ホスピタリティ」の意味や、
仕事への活かし方も変化しています。
本コラムは、2023年度版の「ホスピタリティの意味と仕事への活かし方」を解説いたします。
私は日本ホスピタリティ推進協会に所属しており、
協会の理論に沿って、私の考えと合わせてお伝えしたいと思います。
■ ホスピタリティの意味と起源
ホスピタリティの起源は、ヨーロッパで発祥した言葉でラテン語がはじまりと言われています。
その昔、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地エルサレムに、
世界各国から巡礼に訪れる際、泊まる場所、ケガや病気を診てくれる場所がありませんでした。
その役割が担ったのが、教会や修道院であり、
その教会の神父さんは、「お金儲けではなく、困っている人を自発的に自らの手で救った」ということが、
ホスピタリティの起源と言われています。
このようなことが「異人歓待文化」がはじまりと言われており、日本の「おもてなし」と意味合いが近いので、
「HOSPITALITY(ホスピタリティ)=おもてなし」と訳される由縁です。
後にこの「ホスピタリティ」という言葉は、
「HOTEL(ホテル)」「HOSPITAL(ホスピタル)」に派生し、
私は元ホテルマンでしたので、このホスピタリティという考えがホテルサービスの根幹にあり、
今のホスピタリティコンサルタントの仕事のベースとなっています。
■ホスピタリティの種類
ホスピタリティは、顧客への「おもてなし」や「厚遇」と理解されがちですが、
実はそれに留まらず、人間関係のすべてに介在します。
仕事におけるホスピタリティは大きく3つに分類されます。
1.インナー・ホスピタリティ(社内の従業員同士のホスピタリティ)
仕事におけるホスピタリティ提供の出発点は、このインナー・ホスピタリティであり、
社内の従業員同士のホスピタリティです。
具体的には、従業員同士の尊重や承認をベースとした「思いやり」や「気遣い」を意味し、
「社内がギスギスしたムードではお客様に心からの笑顔は提供できない」ことが示すように、
まずは、社内の従業員同士の関係の質を高めることは結果的に顧客へのホスピタリティに繋がります。
2.カスタマー・ホスピタリティ(顧客へのホスピタリティ)
このカスタマーホスピタリティこそ、顧客へのホスピタリティであり、
接客・サービスを通じて、顧客の期待通りの満足領域を超える、
感動領域のホスピタリティを提供することが、顧客ロイヤリティを高め、
自社・自店舗のファンとなり、リピート化に繋がります。
3.ソーシャル・ホスピタリティ(社会へのホスピタリティ)
ソーシャル・ホスピタリティとは、社会に対するホスピタリティを意味します。
コンプライアンスの遵守、自然破壊撲滅や環境への配慮といった持続可能な社会の創造も、社会に対するホスピタリティであり、
自社の社会への貢献のあり方を示した企業理念の実現も、社会へのホスピタリティとなります。
■ホスピタリティの仕事への活かし方
これらを踏まえた上で、ホスピタリティの仕事に活かす意味は大きく分けて4つあります。
1.社内の従業員同士の関係性の向上
ホスピタリティを組織の共通価値化することで、従業員同士のお互いの思いやりや気遣いが増え、
コミュニケーションが活性化し、関係の質が上がります。
これにより職場に笑顔とありがとうで溢れ、従業員の心理的安全性に繋がり、
「従業員満足度(ES)」「離職率低下」「生産性向上」に繋がります。
2.仕事における意味付け
仕事の目的が「給料を稼ぐため、生活をするため」から、
「自己実現のため」「社会の役に立つため」といった意味付けに変わりつつあります。
ホスピタリティは「他者(顧客・仲間)への貢献で得られる自分自身の喜びやしあわせ」を意味しており、
まさに、これからの時代の働く意味として大きな役割を担います。
従って、ホスピタリティを仕事における価値観の真ん中にすることは、
自分の仕事を通じて、他者(顧客・仲間)の「喜び」や「しあわせ」に貢献することで得られる、
お客様の笑顔やありがとうの言葉といった「精神的報酬」に繋がり、
仕事の「やりがい」や「誇り」が持て、「自発性による生産性の向上」、「自社へのエンゲージメント」において、
効果を発揮します。
3.人間にしかできないことを磨く
AIやIT、ロボットといったテクノロジーの発展により、マニュアル通りの接客サービスは、
人間からテクノロジーに移り変わっていきます。
その上で、人間がやる仕事というのは、人にしかできない仕事であり、
そのひとつが「ホスピタリティ」です。
・お客様のして欲しいことを察知して先回りをして接客をする。
・お客様の置かれている状況を自分事として考えて気遣う。
・お客様との信頼関係を築きファンになってもらう。
このようなことは、ロボットにはできません。
従って、人間は人間にしかできないことを磨き、そこで勝負をしていかなければならないのです。
その上で、ホスピタリティは、お客様に対する「等価価値」を超えた「付加価値」を意味し、
これから人間が担当する社会で重要な役割を担います。
4.ヒューマンスキル・人間力向上
これからAIやIT、ロボットが更に進化すると、世の中全体が「人と接する機会」が減り、
人間関係がより希薄になることが予想されます。
一方で、「人間が人間らしく生きるしあわせとは何か?」と考えた時に、
決して、「ロボットに囲まれて生きていくのがしあわせ」だとは思っていないはずです。
私は、「人間は人間によってのみ喜びやしあわせを実感できる」と考えます。
従って、これからの未来において人との関わりを削ることは、
「人間が人間らしく生きる喜びやしあわせを削る」ことに他なりません。
その上で、ホスピタリティを自分の中の大切な価値観とすることは、
人にしかできない相手への「尊重」「承認」「思いやり」「気遣い」「おもてなし」を磨くことに繋がり、
人の気持ちが分かる、好感の持てる、人徳のある魅力的な人間となるための人間力、ヒューマンスキルを養う上で、
重要な考え方となります。
このように、ホスピタリティは単なる顧客への厚遇やおもてなしといった、顧客満足度を上げる為の手段という意味合いから、
・従業員同士が楽しく気持ち良く働くため
・仕事をする意味や目的を持つため
・人間にしかできないことを磨くため
・人間が人間らしくしあわせに生きるため
といった、新しい概念に進化しています。
このようなことからも、これからの時代における仕事、企業運営をする上で、重要な考え方であり、
このホスピタリティを自身の仕事の価値観の中心にすることで「自分の社会的価値向上」に繋がり、
企業においては、企業運営においてホスピタリティを共通価値化することは、
顧客満足度の向上はもちろん、従業員満足度、定着率、採用率、エンゲージメント、生産性の向上、
そして何よりも、「従業員からもお客様からも愛される会社」として、
これから企業に対する社会性が求められる時代に繁栄し続ける重要な意味を持ちます。
ザ・ホスピタリティチームでは、企業内におけるホスピタリティの共通価値化に関するコンサルティング、
研修、講演サービスを提供しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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