2022.05.14
マネジメントコラム
「忙しくて部下育成できないリーダー」と、「忙しくても部下育成するリーダー」の差
■リーダーは会社からの要求と部下からの要望の板挟み
会社からは、
「売上目標を達成しろ」、
「残業を減らせ」、
「生産性を上げろ」、
「コンプライアンスを守れ」
とリーダーへは要求ばかり、
部下からは、「業務量を減らしてもらえないのに残業は削減できません。」
「いつになったら増員されるんですか?」
「有給はいつ取得できますか?」と要望ばかり、
この板挟みの中で「人を育てなければいけない」と分かっていても、
なかなか手を付けられないのも無理はありません。
私のクライアントのウェディング施設でこんな事がありました。
その施設は小規模な施設で、ウェディングプランナーが3名で新規セールスから打合せ、
当日のアテンドまでの業務をこなしていました。
しかしある時、家庭の事情でウェディングランナーの内1名の退職が急遽決まり、
秋のブライダルシーズンをプランナー2名で乗り切らなければならないという状況に陥りました。
慌てた支配人は、経験者を求人媒体で急募しましたが応募は無く、
唯一20歳の新卒同様の社会経験がほぼ無い女性が応募してきました。
本来であれば、経験者が良かったのですが、そんな事を言っていられる状況では無い為、即採用となりました。
しかし、問題になったのはその新人の教育についてです。
唯でさえ3名しか居なかったプランナー業務を2名でこなすだけでもやっとの状況下で、彼女を育てる時間的余裕は全くありません。
しかし、彼女を育てない限りずっと大変な状況が続くことを考えた2人のプランナーは、
何とか彼女を早く一人前にする為に、強引に彼女の教育時間をシフトに組み込み、
通常デビューまでに1年かかるプランナー業務を半年で教育し、戦力化したのです。
そんな彼女が入社して1ヵ月経ったある時、彼女の歓迎会の席で、最後に彼女からひと言をもらう場面で、
彼女は突然泣きながらこう話したのです。
「唯でさえ3名が2名になって先輩達は忙しく、夜遅くまで仕事をしているのに、
私を教育する為に時間を作ってくださり、どんな質問にも嫌な顔ひとつせずに丁寧に教えてくださることが嬉しくて、
感謝の気持ちで一杯です。
今はまだ勉強中ですが、早くデビューを果たし、必ず先輩達に恩返しができるように一生懸命頑張りますので、
見捨てずにこれからもよろしくお願いします。」
その言葉に、先輩プランナー達も号泣です。
そして、それから2年が経ち、彼女は今やトッププランナーとなり、
全国のウェディングコンクールで賞を受賞するほどのプランナーに成長し、現場の最前線で活躍しています。
■部下に費やした時間と愛情は無駄にはならない
このように、上司や先輩が忙しい中でも育成に費やす時間や愛情は、必ず部下の心に届き、
その「恩」を返すべく、早く一人前になって組織に貢献する為に一生懸命仕事に取り組むに違いありません。
また、部下を育成することは、従業員満足度、定着率、サービス品質、顧客満足度、生産性等、
すべての面においてプラスに働き、組織にとっても、会社にとっても、あなたにとってもメリットしかありません。
そして、何よりあなたにとって人を育てることはプレーヤーとは違う、リーダーとしての喜びにも繋がり、
あなたが部下を育てるかどうかで、未来永劫、目の前の業務に忙殺されて疲弊し続ける自分で居るのか、
現場は部下に任せて自分はひとつ上のステージで仕事ができるのかを決定付けます。
※本コラムは、著書:接客サービスのリーダーにとって一番大切なこと(PHP研究所)の本文を再編集して、
掲載させていただいております。
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