2024.02.03
マネジメントコラム
接客サービス業における企業理念の重要性と企業理念浸透5つのステップ ~ホスピタリティ型サービスの提供と企業理念の関係性~
どの企業も、会社で定めた企業理念、ミッション、社是などが存在していますが、
その企業理念を効果的に企業運営に活かしているかという視点においては、
活かしきれていない企業のほうが多い印象です。
しかし、これからの接客サービス業にとって企業理念は今までよりも大きな意味を持ちます。
その理由は、これからの接客サービス業においてはマニュアル通りの定型型サービスは、
AIやIT、ロボット等のテクノロジーが担います。
その一方で接客サービス業における人間の役割は、目の前のお客様を観察し、ニーズを知った上で、
そのお客様の期待を超えるサービスの提供が『付加価値』となり、
人が提供する『顧客への心の伴ったもてなしや気遣い』といったホスピタリティの重要性は更に高まります。
このような事からも、マニュアル通りではなく、そのお客様の期待に合わせた接客を行う上で、
企業理念を価値基準として、スタッフ一人ひとりが企業理念の考え方と照らし合わせて、
その企業理念の考え方の中で考え、ベストなサービスを提供することが求められます。
その上で、企業理念が存在するだけではなく、企業理念がスタッフ一人ひとりに浸透しており、
その企業理念に沿ったサービスを提供できるかどうかがこれからの時代の接客サービスには求められます。
それでは、どのようにすれば企業理念を社内に浸透させることができるのでしょうか?
私はホスピタリティコンサルタントとして、これまで様々な企業の理念浸透に関わってきました。
企業浸透には次の5つのステップが重要です。
STEP1.企業理念の見える化と意識化
まずは、企業理念が職場などで見える場所に掲示してあったり、理念カードが配布されているかが重要です。
よくオフィス等に企業理念が掲示されているのを見掛けますが、
確かに掲示してあるだけで、誰も見ていないという意見もあります。
しかし、まずは『見えるところにある』というのが最初のステップです。
そして、朝礼などで毎日唱和をする、企業理念を暗記をするなど、
まずは、企業理念の存在をスタッフ一人ひとりが意識することが重要です。
STEP2.企業理念に関する目標を設定する
そして、次のステップは企業理念に関わる目標をつくるということです。
企業内の目標というと売上目標や人事評価の目標設定などがありますが、
企業理念実現の為の目標設定は皆無です。
この半期は、企業理念のここを注視して意識したい、行動指針の○番を意識するなどの目標を設定することが、
より企業理念に対しての各スタッフの行動変容に繋がります。
できれば、日々、朝礼などで目標設定と発表ができればベストですが、
難しいようであれば、週次、月次、半期といった具合に期間を決め、
それに対する目標を設定して、シートに落とし込むなど文字化することが効果的です。
STEP3.企業理念について考える機会を設ける
そして、次のステップが企業理念について考える機会を設けるということです。
あるホテルでは半期に1回、ミッション浸透ワークショップという勉強会を開催して、
部署、役職関係なく、この半期の企業理念に対する取り組みに関する振り返りを実施しています。
同じ企業理念でも、部署によって考え方や行動が違い、お互いの刺激や相互理解にも繋がります。
このような場が定期的にあることで、日々の企業理念への意識が高まり、
部門だけではなく、社内全体が企業理念の大切さを認識する機会になります。
STEP4.企業理念について共有する仕組みをつくる
そして次のステップは、企業理念に関するエピソードを共有する仕組みを作ります。
例えば、企業理念が『顧客に感動体験を提供する』という言葉であれば、
各スタッフが顧客への感動体験を提供したエピソードを共有します。
ある企業では、従業員食堂にミッション・ボードを設置して、
企業理念に関するエピソードを紙に書いて貼り、
それらのエピソードの中から投票で月間MVP、年間MVPを表彰しています。
ゲストからのアンケートや口コミでGOODコメントをいただいた際の社内共有も、
ただ単に『お客様の喜びの声が届いた』というメッセージではなく、
企業理念の文言を引用した『感動体験レポート』といった表現にするなどの工夫で、
自分達のサービスが企業理念に繋がっている実感を掻き立てることができます。
STEP5.企業理念について振り返り、次に目指す姿を考える
そして最後のステップは、企業理念について振り返る機会を意図的に作るということです。
この1ヶ月、この半期、企業理念に対する取り組みや自分の立てた目標に対して、
『できた点』『できなかった点』を振り返り、そしてできなかった事に関しては、
『何故、できなかったのか』を次の目標に反映させることが重要です。
いかがでしたでしょうか?
いずれにしても、企業理念の浸透は日頃の積み重ねが重要であり、少し時間はかかりますが、
一度浸透すると、他社の真似できない『自社の独自サービス』としての差別化となるだけでなく、
企業の目指す姿を示すだけでなく、会社全体で体現しようとする会社の姿勢は、
従業員の共感を生み、この仕事の『やりがい』や『誇り』となり、
帰属意識、エンゲージメント、定着率の向上にも繋がります。
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、企業理念の策定から浸透に関するコンサルティング、研修、講演のサービスを提供しております。
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