2023.02.04
マネジメントコラム
何故、サービス業からスタッフは去っていくのか?『離職に歯止めを掛けて、第二次コロナ退職期を乗り越える3つのポイント!』
『離職に歯止めが掛かりません!どうしたら良いですか?』
ある、ホテルの経営者からの切実なご相談です。
私は、ホスピタリティコンサルタントとして日々、様々な企業にお邪魔をしているのですが、
このような課題は、このホテルだけでなく、サービス業、どの企業に伺っても程度は違えど、
同じような課題を抱えています。
そして、これまでの転職はホテルであれば新しいホテルにヘッドハンティングされたり、
自身のキャリアアップの為に違うホテルに転職するといった同業種に転職するケースが多かったのですが、
ここ最近の転職するスタッフは、同じ業種ではなく異業種に転職をするのが特徴です。
それでは、何故、ここに来てスタッフは自社を去り、異業種に転職するのでしょうか?
その要因は、やはりコロナに原因があると考えられます。
コロナ禍により、営業自粛やスタッフの自宅待機が余儀なくされたサービス業。
売上が激減し、雇用調整助成金と借り入れで何とか凌いできました。
その間にも、自宅での待機する時間が長いが故に、
「このまま、ここに居て大丈夫なのか?」
「また、違う感染病が流行ったら同じ目に遭うのではないか?」
「この業界に未来はあるのか?」
それまでは忙しくて考える余地も無かったのが、色々なことを考えるようになります。
そして、「いつまで続くか分からないコロナ禍への不安」や、
「このまま自宅待機の毎日を送っていて良いのだろうか?」といった疑問から、
退職という道を選んだスタッフが多かったのも事実としてあります。
企業サイドも、本来であれば必死で引き留めるところが、売上の激減により、
背に腹は代えられないといった理由で、優秀なスタッフでも退職を受理せざるを得ない状況でした。
そんな第一次コロナ退社期が過ぎ、コロナも落ち着きはじめ、全国旅行支援などで顧客が一気に戻ってきました。
本来であれば、自宅待機や出勤しても利用客が少なくて退屈だった毎日から、
顧客が戻ってきて、「お客様に接客できる喜び」を感じて水を得た魚のように働けると思ったのですが、
思いの外、スタッフが減っているところに来てのリバウンド需要で、少ないスタッフで現場を回すことを余儀なくされました。
それに加えて「ヒマ慣れ」をしてしまっていたところから、急激に忙しくなったので「体がついていかない」と声も多く聞こえてきました。
このような事象によりコロナ禍をこらえて留まったスタッフ達も、
「また、コロナ前のあの忙しい毎日が続くのは辛い!」
「体がついていかない!」
「人員不足なのに、なかなか人員補充がされない為、この忙しさに耐えられない!」
といった理由で、疲弊していき退職という道を選ぶ「第二次コロナ退職期」を迎えています。
それでは、どのようにすればスタッフの離職を止めて、立て直すことができるのでしょうか?
そのポイントは3つ考えられます。
ポイント1.この仕事の喜びをもう一度全スタッフに共有する
サービス業の現場は、前述の理由で少ない人員でオペレーションすることを余儀なくされている為、
本来、自分達の仕事の喜びや意味を見失ってしまっているように感ます。
サービス業の仕事の喜びは何と言っても、
「人の喜びやしあわせに直接貢献できる仕事である」ということです。
私たちサービス業の現場は、私たちの人的サービスによって、お客様という「人」に大きな喜びやしあわせを直接与えられる仕事であり、
そのお客様の喜んでいただいた笑顔や感謝の言葉、つまりお客様という人によって、
私たち、働く側も大きな喜びやしあわせをもらっているのです。
これはサービス業ならではの最大のメリットであり、仕事をしてお金をもらいながら大きな喜びやしあわせを日々、
実感できる仕事である。
このことをもう一度、スタッフ全員と共有することが重要であると考えます。
ポイント2.スタッフ全員の意識を「内向き」から「外向き」に変える
現在、スタッフの意識は、
「人が居ないので現場を回すのが精一杯」
「何で会社は人を補充してくれないのか?」
「現場がこんなに忙しいのに、上司が手伝ってくれない」
といった会社の内側の課題ばかりに目が向いています。
しかし、ポイント1でも解説したように、本来サービス業で働いている私たちは、
「お客様の笑顔を見たい!」
「お客様にありがとうと言われたい!」
と思って仕事をしていたはずなのに、社内の課題ばかりに目が向き、
意識が「内向き」になってしまっているのが現状です。
現場が疲弊している今こそ、お客様に意識を向ける、つまり「外向き」に意識を向けることが重要です。
ポイント3.新人教育に力を注ぐ
この第二次コロナ退職期は、現在が過渡期であり、もうしばらくすると落ち着くと私は考えています。
しかし、スタッフの補充や現場への配慮が疎かになると、長期化する可能性も十分に秘めています。
その点では、スタッフ採用は会社の最重要課題であることは間違いありませんが、
もうひとつ重要なのは、これから入ってくる新人を如何に大切に育てて早期戦力化できるかどうかです。
ここまでお伝えしてきたように、現場は多忙を極め、新人が入社しても「教える人が居ない」という現実もあります。
しかし、忙しいことを理由に新人への教育を怠ると、新人は「放置されている感」で居づらさを感じて早期退職を
選択するようになってしまいます。
これでは、折角、離職に歯止めを掛け、新人を採用して立て直そうと思っても、人員不足の悪循環は止まりません。
まずは新しく入ってきたスタッフに対して、忙しさの余り場当たり的になりがちな新人教育を、
指導内容、指導期間、達成レベルを定めてOJTの計画書を作成して、体系的に仕組みを作って教育することが重要です。
是非、このような3つのポイントを意識していただき、人員不足の「負のスパイラル」から脱出していただきたいと思います。
そういった意味では、今、サービス業は踏ん張りどきであり、この「人問題」を乗り越えた、
「人を制した企業」こそが、これから先もサービス業で生き残る、繁栄し続ける企業であると確信しています。
ザ・ホスピタリティチーム(株)は、サービス業に特化した人材育成の研修やコンサルティングのサービスを提供しております。
今回のテーマの中では、部下育成実践研修やOJT・教育の仕組みを構築するコンサルティングのサービス、
そして新たに、忙しいサービス業の現場の為に、新人自身が接客サービス業の基礎をひとりで自習できるオンデマンド研修コンテンツも始めました。
貴社の人問題の解決の一助になれれば幸いです。
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