2024.05.31
マネジメントコラム
これをやれば現場が輝く!『接客サービス業のスタッフ育成・教育に足りない3つの視点』
「退職者が止まらず現場スタッフの減少に歯止めが効きません!」
「少ない人員で現場を回しており、現場スタッフが疲弊しています!」
私がホスピタリティコンサルタントとして様々な企業様に伺った際に、最近、よく聞く経営者の声です。
実際、私も接客サービス業の現場にお邪魔して感じるのが、
「楽しそうに働いているスタッフが少ない」
「キラキラ、輝いているスタッフが少ない」
という点です。
本来であれば、自分の接客サービスを通じて、お客様に喜んでいただくことが、
自身の仕事の「やりがい」や「誇り」に繋がるはずなのに、
「やらされ感」で仕事をしているスタッフが目につきます。
そもそも、これまでの日本の人材の位置づけはオペレーションの一端を担うという認識が強く、
ホテルのフロントであれば、「チェックインとチェックアウトを正確にできれば良い」
飲食店のスタッフであれば「オーダーを取って、料理や飲み物を安定的に提供できれば良い」
といった各スタッフの個性を活かすよりも、平準化したサービスをマニュアル通りに提供することを重視してきました。
それが証拠に、日本企業の人材投資は諸外国と比較すると最も低い水準で、米国と比べると約20倍も差があると言われています。
そして、ギャロップ社の「グローバル職場環境調査」によると、仕事への熱意や職場への愛着を示す社員の割合が日本は2022年で5%にとどまり、
調査した145カ国の中でイタリアと並び最も低かったという結果が出ています。
このようなことからも、日本は人材に投資をせずに、オペレーションの一端を担う平準化した仕事を重視したことで、
従業員の仕事に対する熱意を奪ってしまったという点も否めません。
特に接客サービス業は「人による労働生産性が高い」「感情労働」という特徴があり、
飲食店で言えば「自分のお勧めの料理をお客様に提案するかどうか?」
ウェディングで言えば「目の前の新規のカップルに、心から自式場で結婚式を挙げてもらいたいかどうか?」
といったスタッフの気持ちで「売上」が大きく変わるという特性を理解することが重要です。
それではどのようにすれば、スタッフが仕事を楽しみ、熱意と情熱を持って働き、生産性を向上させることができるのでしょうか?
そのポイントは色々あると思いますが、私は「教育・研修」にあると考えます。
実際、私も様々な企業様の教育研修に携わっておりますが、接客サービス業の現場に関して言えば、
OJT以外の研修を受講したことが無いといったスタッフに出会うケースが実に多いのです。
しかも研修を受講したことのあるスタッフに過去の例を聞いてみると、
多くは「コンプライアンス研修」「ハラスメント研修」など、「やってはいけない」「リスクを無くす」教育・研修しか受けていないというのが現状です。
それでは、接客サービス業の現場にどのような教育・研修が必要なのでしょうか?
私が日々、接客サービス業の現場教育をしている中で、現場のメンバーの輝きを取り戻す教育研修のポイントは3つあります。
1.お客様を笑顔にすることを考える教育・研修
私が研修の中でする質問で「この仕事をしていて嬉しかった時はどのような時でしたか?」と質問すると、
業種関係なく、
「お客様の笑顔を見た時」
「お客様からありがとうと言われた時」
「お客様にあなたで良かったと言われた時」
といった回答が得られます。
つまり私たちの仕事の喜びは「お客様に自分の接客サービスを通じて喜んでいただくこと」に尽きるのです。
したがって、自分達の仕事の喜び、やりがい、誇りを高めるには「お客様をもっと笑顔にすること、喜ばせること」なのに、
それについて考える機会、仲間と共有する機会といった教育・研修は皆無なのが現状です。
2.自分達が笑顔で楽しく働けるようになる教育・研修
お客様を笑顔にする為には、まずは自分達が笑顔でなければいけません。
社内がギスギスしていて職場に笑顔が無いのに、お客様の前だけで笑顔になることは不可能なことは誰もが想像できると思います。
その職場のムードや空気感が、お客様に伝わり、居心地や満足度に影響を与えます。
最近で言うと職場の「心理的安全性」の重要性が言われていますが、まさに、そこで働く全員が、職場に居場所があり、存在が承認されて、
気兼ねなく意見が言い合える職場環境をみんなで作るにはどうしたら良いかといった考える場や機会は皆無です。
接客サービス業は職場の雰囲気や環境によって、スタッフの感情や気持ちが変わり、提供するサービスに影響を与えることを理解して、
メンバー全員が「笑顔」で働く為に何が必要なのかを考える教育・研修が必要です。
3.自分が「何の為にこの仕事をしているのか」ということを考える教育・研修
コロナ禍以降、スタッフが減った状況の中でお客様が戻ってきた為、多忙を極めて疲弊している現場が増えています。
目の前のお客様を不満なく帰っていただくことで精一杯で、プラスアルファのサービスどころではないという現場も多いことも事実です。
しかし、コロナが明けてから1年経過し、もう一度原点回帰をする必要性を感じます。
「何故、この仕事に就いたのか?」
「この仕事の喜びややりがいは何か?」
「何の為にこの仕事をしているのか?」
といったことを個人で考える機会や、仲間同士で話し合う機会が、今、必要です。
私も研修等で、このような仕事の目的やパーパスを導く研修を実施しているのですが、
介護福祉士の仕事をされている方の多くは、
「自分はおじいちゃん、おばあちゃん子だった。今は、自分のおじいちゃん、おばあちゃんは他界していないけれど、
この施設にいる人たちを自分のおじいちゃん、おばあちゃんだと思ってお世話したい」
料理を作るシェフで意外に多いのは、
「自分は母子家庭で育ったので、お母さんに美味しいものを食べさせてあげたいと思ってこの仕事をしている」
といった仕事の目的、パーパスを持っています。
このようなことを職場のメンバーで共有すると、「同じ考え」「同じ想い」であることき気づきます。
このような場や機会があることで、大変だけど、ここにいるみんなで頑張ろうと思える推進力になるのです。
いかがでしたでしょうか?
このようなことを網羅した研修が、弊社が提供している「ホスピタリティ研修」です。
ホスピタリティは、お客様への「もてなし」や「気遣い」といったことをイメージしがちですが人間関係すべてに介在し、
「仲間への尊重や承認をベースとした思いやりや気遣い」
「相手への貢献による、自分の喜び」
といった要素もあり、これからの接客サービス業に欠かせない考え方であることは間違いありません。
教育研修といえば、業務の知識・スキルを習得する、リスクを回避するような研修をイメージしがちですが、
「スタッフ同士が笑顔で楽しく働く為にはどうしたら良いか?」
「お客様をもっと笑顔にするにはどうしたら良いか?」
といった教育研修が、人による労働生産性の高い、感情労働の接客サービス業において、
スタッフの輝きで生産性を最大化する上で大切な教育研修であることを理解していただければと思います。
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、サービス業のスタッフを輝かせる研修やセミナー、コンサルティング、講演のサービスを提供しておりますので、
お気軽にお問合せください。
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ザ・ホスピタリティーチーム
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