2024.04.27
マネジメントコラム
顧客満足度(CS)・サービス品質を高めるPDCAとは?
モノづくりの日本という称号は昔の話しであり、
今や日本における第三次産業、サービス産業のGDPの割合は7割を超えています。
これは、それだけサービスに触れる機会が増えている、サービス業に従事している人が増えていることを意味しており、
それだけ、接客サービスに対する目線が厳しくなっているということを意味します。
そして情報化社会の中で、自社のサービスにおいて目の前の顧客の満足度を高めれば高評価の口コミに繋がって未来の顧客獲得となり、
不満を抱かれてしまえば口コミで酷評を書かれてしまい、未来の顧客まで失いかねません。
このような状況の中で、サービス品質を高めて顧客満足度(CS)を高めることの重要性が高まっています。
しかし、現状、顧客満足度(CS)を高める為の企業の取り組みの多くは、顧客アンケートによる課題抽出と改善に留まっているケースが多く、
顧客満足度を高めるPDCAまで落とし込まれていないのが実情です。
それでは、どのようにすれば顧客満足度を高める為のPDCAが構築できるのでしょうか?
私の推奨する顧客満足度を高める為のPDCAは5つのステップがあり、それを体系化することが必要です。
その5つのステップを示した図が以下となります。
この5つのステップのポイントを解説させていただきます。
STEP1. 【BASE1】CS向上の環境を整える
✔ 方向性の明示
顧客満足度を向上させる上で、まず重要なのは組織内における顧客満足の重要性をメンバーに浸透させることが重要です。
それには、リーダー自らが顧客満足度の重要性を発信し、顧客の笑顔や喜びが、我々の仕事のやりがいや喜びに繋がることを、
メンバーに熱意を持って伝えることが重要です。
✔ CS担当者の明確化とCSツール準備(基準の明確化)
顧客満足度に関して、ただ何となく取り組むのではなく、CS担当者を決めて計画から実行、フィードバックまで一貫した取り組みにすることが重要です。
また、「お客様に喜んでいただければ良い」ということではなく、独自のCSツールなどを活用し、CS基準を明確にして取り組むことが重要です。
STEP2. 【BASE2】インナー・ホスピタリティを高める
✔ 組織の「関係の質」を高める
顧客満足度(CS)というと、顧客への接客サービスに目を向けることが考えられますが、
実は、「従業員の笑顔なくして、顧客の笑顔はない!」ということが示すように、これからの接客サービスは従業員の自己犠牲や滅私奉公で、
顧客満足を得ることは不可能であり、従業員の主体的な心の伴ったサービスの提供が必須条件となります。
その上で、社内の仲間同士の尊重や承認、思いやり、気遣いといったホスピタリティは顧客満足度を高める上で必要な土台となります。
✔ メンバー同士の心の栄養を満たすストローク
組織内のメンバーの心の栄養が満たされていないのに、心が伴った顧客へのプラスアルファのサービス提供はできません。
したがって、顧客満足度を高める上で重要なのは「メンバー同士の心の栄養を満たし合う」ことです。
それには、メンバー一人ひとりが仲間の心の栄養を満たす言動、行動を意識することが重要です。
STEP3. PLAN(目標設定・計画立案)
✔ 目標を設定する
CSを高める上で重要なのが、CSに関する目標を設定するということです。ただ社内でキャンペーン的に「CSを上げよう!」
としたところで、何をどこまで実施すれば良いのかが明確になっていなければ従業員の意識・行動変容には繋がりません。
まずは、企業、組織内で「口コミ評価4.5を目指す」といった定量的な目標、「すべてのお客様を笑顔でお迎えする」等の 定性的(状態的)目標、
「お客様への笑顔でアイコンタクトの徹底」等の強化項目を設定するなどの目標設定が必要です。
✔ 計画の立案
目標設定の次に具体的な計画を立案します。CS担当が中心となり、目標を達成する為に具体的に「いつまでに」「何をするのか」
を明確にします。企業、組織全体のCSに対する従業員全員の意識を高める取り組みや、個人用の目標設定用紙の作成、定点チェック、
フィードバックの仕組みづくり等、企業、組織として具体的にどのような取り組み方をしていくかといった計画立案が重要です。
STEP4. DO(CS実践・支援・進捗確認)
✔ CSを意識づける仕組みをつくる
計画に基づきCSを実践する中で、従業員がCSへの意識を高める店舗内の仕組みがあると効果的です。
例えば、社内の掲示板に「お客様に喜ばれたこと」を従業員が投稿できる仕組みを作り、他メンバーが「どのような事をしているのか?」
「どのようなことで喜ばれたのか」を知ることで、「何をやれば良いのか」が分かり、自分事となりCSへの意識向上に繋がります。
また、CSは対顧客だけではなく、従業員のプロフィールを掲示してお互いの理解を深めるといったインナー・ホスピタリティを高める取り組みも効果的です。
✔ 進捗をこまめに確認し、フォローする仕組みをつくる
CS担当者を中心としたメンバーで、CS向上に向けた各従業員の取り組みの様子や目標に対する進捗を見ながら、アクションを見直し、
各従業員にCSの意識を高める取り組みを強化していきます。
CS向上の強化施策について、定期的に実施状況をチェックしたり、個人の目標設定シート等が記入されているか、定期的に更新されているかを確認するなど、
放置をしないでチェック、フォローする仕組みが必要です。
STEP5. SEE(評価、フィードバックの実施)
✔ 振り返る機会を設けて内省を促す
まずは、従業員本人にCSの取り組みに関しての振り返り、内省をする機会を設けることが必要です。
この振り返りに関しては、月次、四半期、半期ベース等、期間を予め設定をして、目標に対して「できたこと」
「できなかった」ことを明確にして、次期に向けたアクションを設定することで、CS向上への意識・行動変容を促します。
✔ 結果の見える化とフィードバック
個人の自己評価も大切な一方で、客観的な評価やフィードバックも重要な施策のひとつです。
CSの取り組みに関して、本人にフィードバックをするOne on One面談の実施や、上長からの職場へのフィードバック、
CS担当からの所感を伝えたり、結果を踏まえた上での次期に向けた強化施策を設定するなど、結果を共有し、フィードバックする仕組みづくりが必要です。
いかがでしたでしょうか?
顧客満足度(CS)、サービス品質を高める取り組みは、実は顧客へのアプローチだけではなく、社内のホスピタリティであるインナー・ホスピタリティを高めることも重要であり、
これからの接客サービスは「自己犠牲」や「やらされ感」の上で良質な接客サービスは提供できないということを理解することが重要です。
そして、多角的な視点を持ち、場当たり的ではなく体系立てて取り組むことが顧客満足度(CS)、サービス品質の向上に繋がります。
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、顧客満足度、サービス品質向上に関するコンサルティング、研修、セミナー、講演のサービスを提供しておりますので、
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