2021.05.29
ホスピタリティコラム
アダプティブ・リーダーシップ、適応型リーダーが求められる理由
アダプティブ・リーダーシップとは、
ハーバード・ケネディスクールの上級講師であるロナルド・A・ハイフェッツ氏の
著書、『最前線のリーダーシップ』において、
企業にとっての課題を「技術的問題(テクニカル・プロブレム)」と
「適応課題(アダプティブ・チャレンジ)」に分けた際に、
技術的問題は量的問題、
「適応課題」は質的問題を意味し、
この後者の「適応課題」に対応することマネジメントをすることこそ、
「アダプティブ・リーダーシップ」であり、最前線のリーダーシップであると
述べています。
その背景として、これまでの時代は、これから来る未来がある程度「予測可能」である
ことが挙げられます。
予算や売上などの目標も前年踏襲である程度予測ができ、
リーダーからの上意下達の指示命令に従わせるトップダウン型のリーダーシップで、
業績を上げることができました。
しかし、これからの時代は変化が著しく、予測不可能な「不確実性の高い時代」
に突入しており、
ひとりのリーダーの意思決定によって突き進むことは、
むしろリスクでしかありません。
また、企業の存在意義も、売上、利益を如何に上げて経済的価値を向上させて
成長、繁栄を目指す時代から、
その企業が世の中にとってどのような価値を提供しているのか、
どのような社会的な貢献をしているのかといった社会的意義を、
顧客からも従業員からも求められる時代に移り変わってきています。
このような事業環境の中で、求められるリーダーシップは、
自分ひとりで決めたことを押しつけるトップダウン型のリーダーシップではなく、
目的を共有し、メンバーの考えや意見を引き出し、
メンバー一人ひとりの価値を最大化して成果を導くリーダーシップ、
これこそが、「アダプティブ・リーダーシップ」であり、
時代に求められるリーダーシップです。
アダプティブ・リーダーシップを発揮する為に重要な要素は下記となります。
1.目的の共有と浸透
アダプティブ・リーダーシップで重要なのは、メンバーを統制、管理する
「統制管理型マネジメント」ではなく、
自主的、自発的な行動を引き出すマネジメントです。
それには、組織が社会にどんな価値を提供するのか、
それは、社会にどんな意義をもたらすのかといった、
自分の仕事が人々の「しあわせ」や「喜び」に貢献すること、
それがメンバー自身の仕事の意味ややりがいに繋がることを組織に浸透させる
「共感型マネジメント」です。
2.組織環境の整備
メンバー一人ひとりが、自発的に、十分な力を発揮できているかどうかは、
組織環境が大きな影響を及ぼしています。
いくらリーダーが、自主性を引き出したい、
あるいは、言いたいことは言ってもらいたいと思っていても、
「結局は、リーダーの意見を押しつけられる」
「どうせ、直属の上司に言っても、その上までは届かない」
といった理由で、メンバーの自主性や可能性にフタをしてしまっている
組織が多いことが事実です。
従って、自由闊達に意見を言える職場の雰囲気、環境作りや、
それを言える「場」の整備といった組織環境の整備が必要です。
3.集団知の活用
不確実性の高い時代において、リーダーの独断による意思決定は、
この時代は高いリスクを背負います。
しかし実際には、
「うちのメンバーは言われたことしかやらない」
「うちのメンバーは意見を求めても言わない」
といったケースも散見されます。
しかし、これからの時代においては、
個人の知恵よりも、集団の知恵を活用すること、
特に、顧客接点の最前線の現場の意見を聞くことは、
間違った意思決定をしない重要なポイントとなります。
従って、「うつのメンバーは言われたことしかやらない、主体性がない」
というのは、リーダーのマネジメントが「そうさせている」と思うべきであり、
私の経験においても、会議で何も発言しなかったメンバー達が、
「意見を言いすぎて止まらない」会議に生まれ変わったところを
何度も見ています。
従って、普段のマネジメントでコーチングを活用したり、
メンバー全員が参加型の会議に工夫したりしながら、
集団知を活用できるマネジメントが求められます。
4.共創関係の構築
これから求められる組織は、
「協働によりシナジーを生む組織」です。
従って、一緒に働くことが人間関係やストレスなどでマイナスに働くのではなく、
一緒に働くことがプラスに働き、同じ目的、目標に向かって、
協働により新しい価値を創造する、共創関係の構築が重要です。
それには、普段からの組織運営にメンバーを巻き込み、
アイデアを引き出したり、役割を超えたプロジェクトベースで
新しい商品サービスを生み出したりといった施策が必要です。
このように、アダプティブ・リーダーシップはこれからの時代に求められる
リーダーシップであり、上意下達のトップダウン型組織運営ではなく、
共感性の高い同じ目的、目標に向かって、自発的なコミットメントを引き出し、
メンバー一人ひとりの力を最大化する「目的実現型」のリーダーシップが
求められます。
これらのマネジメントは、弊社の提唱する、
顧客からも、従業員からも熱愛される組織作り、
「ホスピタリティチーム」と同義であり、
これからの時代の核となるマネジメントです。
弊社では、アダプティブ・リーダーシップに関する研修コンテンツもご用意させて
いただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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