
人間には喜怒哀楽といった、様々な感情があります。
その中でも、特に「怒り」というのは厄介な感情です。
例えば、
「なんで、いつも時間に遅れるんだ!」
「なんで、仕事が溜まっているのに早く帰るんだ!」
「なんで、上司のクセに部下が困っている時に助けてくれないんだ!」
こんな風に、仲間や上司に「怒り」という感情を持つことってありますよね。
しかし、私たち接客サービス業で働く者にとって、他者に対する怒りという感情は、
接客にも表出し「不機嫌な接客」になってしまい、
高いホスピタリティの提供どころか、思わぬクレームに繋がってしまうことも否めません。
従って私たちは、接客業のプロとして、
「いつもご機嫌で接客できるように自分の感情をコントレールする必要がある」のです。
それでは、どのようにすれば「いつもご機嫌な自分で居ること」ができるのでしょうか?
皆さまは「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたことがございますでしょうか?
このアンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された、
イライラや怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。
このスキルを身に付けると、自分の他者に対する怒りの感情が緩和することを可能とし、
いつもご機嫌な自分で、仲間の前でも、お客様の前でも常に笑顔で居ることが叶います。
それでは、どのようにすればアンガーマネジメントを身に付けられるようになるのでしょうか?
まず、その前にお伝えしたいのは、
「怒り」という感情を自分自身が抱いてしまったことがいけないのではなく、
・相手を傷つけるような言い方をしてしまった。
・ささいな事に感情的になってしまった。
・相手を怒鳴りつけて人間関係を壊してしまった。
これらは、自分の冷静さを欠いて怒りという感情のままに行動してしまったから起きたことであり、
怒りという感情に振り回されずに行動できれば、怒りで失敗することは無くなります。
その怒りの真の原因は、実はあなた自身の中にあります。
それは、自分の中で「~すべき」といったゆずれない価値観があり、
それに相反するものに直面した時に怒りが生まれるのです。
この譲れない価値観を「コアビリーフ」と言い、自分のコアビリーフが怒りを引き起こしていることが多いということを、
まずは理解する必要があります。
例えば、「メールはすぐに返信すべき」というコアビリーフをあなたが持っていれば、
1日経っても返信が来ない相手に対して、
「何で、あいつはすぐにメールを返信して来ないんだ!」と怒りの感情が芽生えてしまいます。
しかし、急ぎでなければメールの返信の期日は慌てなくても良いというコアビリーフの人であれば、
怒りの感情を抱くことはありません。
このように怒りという感情は、「誰か」や「何か」に怒らされているのではなく、
「自分が」怒りという感情を選んでいることに気づくことがまずは重要なのです。
そのことを自分自身が分かっていれば、何か相手に対して
・「~すべき」
・「~あるべき」
・「~当たり前」
・「常識的にありえない」
・「普通、分かるはず」
といった事に遭遇した際に、
「これは、自分自身のコアビリーフであり、相手の価値観とは違うかもしれない」
と寛容になれる自分の心情に変われるはずです。
このことを理解した上でも、実際に怒りという感情が芽生えた時に抑える方法は、
様々あるのですが、代表的なものをご紹介します。
1.怒りを数値化する「スケールテクニック」
怒りを感じた時に、その怒りが10点満点で何点なのかを数値化するテクニックです。
その場で数値化すると、自分の意識が怒りではなく採点に向き、突発的な怒りをしのぐのに加えて、
「自分は急なトラブルで高得点をつける傾向がある」といった自分の怒りの傾向も分かります。
2.自分に語り掛ける「コーピングマントラ」
冷静な判断ができなくなった時に、その動揺を切り抜けるための言葉がコーピングマントラです。
例えば、
「大丈夫、大丈夫!」
「何とかなる!」
「死ぬことはない!」
といった自分の気持ちがポジティブになる言葉を呪文のように、自分の中で唱えることによって、
自分の感情を落ち着かせることができます。
3.深呼吸で乱れた自律神経を整える
怒りを感じた時は、一般的に呼吸は浅く、早くなり、
逆に安定している時は深く、長い呼吸になると言われています。
これは、怒りを感じている時に交感神経が、落ち着いている時は副交感神経が優位になる為です。
従って、深呼吸により副交感神経を優位にさせることで、意識的に感情を落ち着かせることができます。
4.自己受容感を高める
自己受容感が低い人は、自信の無い自分を守る為に攻撃な振る舞いをしたりしてしまったり、
自信の無さから何も言えずに怒りをため込んでしまう傾向があります。
自分の長所や、これまでの成功体験、得意なことを思い起こし、
自己受容感を自分自身で高めることが結果的に怒りの感情をコントロールでき、
それが、相手を不快にすることを無くすことができるといった、
自分の自己受容感を高めることが「相手の為になる」ということを深く理解することが大切です。
5.目の前のしあわせに気づくようになる「ハッピーログ」
人間は危機管理の本能から、ポジティブなことよりもネガティブなことに注目しやすい性質があります。
従って、自分がしあわせだと感じることができれば怒りという感情を抑えることができます。
その中でおすすめは、目の前で起こる出来事を「感謝で受け取る」ことです。
・今日もこうやって仕事ができる有難いな。
・今日もお客様が来ていただいている有難いな。
・上司が自分の事を想って叱ってくれた有難いな。
このように、目の前で起こることを「感謝」で受け取ることで、
ポジティブ思考となり、怒りという感情は消えて無くなります。
いかがでしたでしょうか?
怒りという感情とうまく付き合いながら、いつもご機嫌でいることが、
職場を楽しくすることにも、お客様を笑顔にする為にも繋がります。
このようなアンガーマネジメントによる一人ひとりの心がけが、
社内のホスピタリティを高めることに繋がり、
仲間やお客様の笑顔に繋がります。
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