2020.10.21
ホスピタリティコラム
ホスピタリティがこの時代に求められる4つの理由
私がホテルマンになった30年前は、ホスピタリティという言葉は、
ほぼ業界用語で、ホテルの中でしか聞くことがありませんでした。
しかし、現在では大学にもホスピタリティ学部ができるほど一般化されています。
何故ホスピタリティがこれだけ社会に求められるようになったのでしょうか?
その理由として次の4つが挙げられます。
1.雇用環境の変化
サービス産業を中心に人手不足が慢性化しつつあります。
あるホテルでは清掃スタッフが居ない為、需要はあるのにワンフロア客室を売り止めしている
という現状も実際にある程です。このような状況の中で自社が求める人財を採用することは
より困難となりますが、その中でも理想的な人財を採用し、
成長し続けている企業があることも事実です。
それらの企業の共通項は決して「給料が高い」「休みが多い」といった待遇面ではなく、
「自社のあり方」、「提供する価値」が明確であり、
それに対して働く側の「共感・共鳴」が得られています。
従って表向きの顧客主義や採用条件だけでは理想とする人財は集まらないと考えるべきであり、
自社の想いの深さやあり方が重要となる時代です。
そして、それを口先だけではなく本気で実現する企業姿勢や、
従業員がやりがいを持って主体的に取り組める環境も重要です。
従ってこれからの時代に理想の人財を確保し維持するには、
従業員の貢献心を満たすホスピタリティの考えがベースとなる経営が必要であり
「企業の成長」と「従業員のやりがい」を両立させるマネジメントが不可欠となります。
2. 日本の産業構造の変化
今や第三次産業であるサービス産業は、日本の産業の約7割を占めており産業の中心となっています。
この傾向は更に進むと考えられており、
これからの時代の日本におけるサービス産業の位置づけがより重要となります。
更にそれに留まらず、第一産業の農林水産業でも、農家は野菜や果物を生産するだけではなく、
収穫体験をサービスに変えて商品化するといった生産だけではなく
サービス産業の領域に広がりを見せています。
このような事からも分かるように、全産業がサービス産業化に向かっており、
それにより、サービス産業の従事者が増えることで、
接客やサービスに対する目線や期待値も上がっています。
このような社会環境の中で上辺だけの接客サービスは顧客に見抜かれてしまい、
一度は利用してもリピートは見込めません。
その上でもホスピタリティが伴う「心」のある接客サービスが求められています。
3. 消費者の価値観の変化
20世紀は高度成長期で「いい服を着たい」、「いい車に乗りたい」といった
「モノ」を求めた時代、つまり物質的満足追求の時代でした。
それが21世紀に入り世の中にモノは溢れ、消費者は物質的満足ではなく、
精神的満足を求める時代に変化しております。
例えば、ナイキのスニーカーはiphoneアプリと連携して靴ではなく
「健康ライフ」という精神的な充足を提供していたり、
ネスレ日本の「キットカット」というチョコレート菓子も、
商品名から「きっと勝つ」という意味づけをして、
受験生への贈り物として贈り主からのメッセージ欄を設けることで、
「チョコレートを売る」のではなく「受験生への応援メッセージを贈る」
という精神的充足の提供でヒットしました。
このようにモノを売るだけではなくそれを使ってどのような精神的価値を高めるかが
求められる時代に変化しており、
自社の商品・サービスの提供に心を満たすホスピタリティをどう生かすかが
これからの時代には重要な役割を果たします。
4.成熟した社会によるコモディティ化
商品やサービスの違いが不明瞭化することをコモディティ化といいます。
コモディティ化すると消費者は単に安いという理由で選択、消費をして価格競争に陥ります。
従ってコモディティ化されている社会では提供するサービスと顧客の期待がイコールである
等価価値交換の領域では他社との差別化は困難であり、
顧客の期待を超える付加価値の提供が差別化において不可欠となります。
従って、20世紀のファミリーレストランを代表する全国どこで利用しても
当たり外れなく安定的に平準化されたサービスの提供が良しとされた時代から、
21世紀は安定したサービスの提供は当然のこととなり、
それに加えて消費者の多様化も進み、個々のお客様に合わせた期待を超えるサービスの提供が
求められる時代へと移り変わっています。
その上でも、個々の顧客の期待を知り、
目の前の顧客を喜ばせる為にスタッフひとりひとりが自主的に考え、
行動するホスピタリティマインドの醸成が差別化をする上でもサービス品質を上げる上でも
重要な役割を担います。
このような背景からホスピタリティが時代に求められてきました。
従って、これからの時代のサービス業における経営戦略やマネジメントにおける
ホスピタリティが果たす役割は更に大きくなるでしょう。
ザ・ホスピタリティチームでは、ホスピタリティに関する研修を承っております。
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