「ホスピタリティ」が時代に求められている３つの理由

ホテルの語源でもありホスピタリティは、私がホテルマンになった３０年前は、ホテル内でしか使われない業界用語的な存在でした。

しかし、今や、大学にも「ホスピタリティ学科」があるところも多く、一般化しつつあります。
それでは、何故、ホスピタリティはここまで一般化したのでしょうか？

それには、時代がホスピタリティを求める３つの理由があります。
まずひとつ目が、日本の産業構造の変化です。私が約40年前に小学校の時に習った日本の産業構造は、おおよそですが、第一次産業（農林水産業）１５％、第二次産業（製造業）４５％、第三次産業（サービス産業）４０％だったのに対して、今や、サービス業である第三次産業は７５％を超える、日本の産業の中心に成長いたしました。 従って、接客サービスにおけるホスピタリティの必要性が高まったと考えられます。

ふたつ目が、消費者の価値観の変化です。
２０世紀は高度成長期時代で、消費者はいい車に乗りたい、ブランドのバッグを持ちたいといったモノを求めた時代です。しかし、２１世紀になってモノは溢れています。
従って、消費者はモノよりもココロ、つまり物質的満足ではなく、精神的満足を求める時代です。
従って、「他者を想う心」であるホスピタリティはビジネスにおいて重要な役割を占めます。

そして３つ目が、資本主義の弊害です。
マーケットの競争激化や行き過ぎた資本主義から、企業は顧客への貢献よりも、食品の産地偽装や耐震偽装工事など、自社の利益を優先するような姿勢が見られます。
そのような時代だからこそ、利己ではなく利他の先に利益がついてくるといったホスピタリティの考え方が大切になっていると考えられます。

このように、時代と共に、ホスピタリティはより重要性を増し、これからＡＩ化が進む上でも、人にしかできない付加価値を提供する上で、更に重要性は増すことでしょう。