2022.05.01
マネジメントコラム
「スタッフのサービス品質を高いレベルで標準化するには?」~人間関係の相互作用「ギバー」「テイカー」がホスピタリティの提供度を変える~
■ チームのホスピタリティ度が上がらない理由
私がホスピタリティコンサルタントとして、
「どのようにすれば、この組織はホスピタリティの高いサービス品質を提供できるのか?」
「どのようにすれば、このスタッフのホスピタリティ度を上げることができるのか?」
といったことを日々、様々な企業を伺いながら思考錯誤しているのですが、
今回は、「各スタッフのホスピタリティを上げる為に必要な大切なポイント」について
解説させていただきます。
私が現場を見ていると、
何も言わなくても、お客様に心からの笑顔で接客し、できるだけお客様のご要望に応える、
もっと言えば、その一歩先を見据えて、お客様の望むことを先回りしてサービスを提供するスタッフも居れば、
その一方で、笑顔も全くなく、言われたことを仕方なくやらされているスタッフも居ます。
これによって、お客様に対応するスタッフによって当たり外れが出てしまったり、
組織全体のサービスの品質がバラツキ、どのお客様にも高品質なサービスを提供する
阻害要因となってしまっている現場を多く目にします。
同じ職場で、同じ待遇で、同じ環境で仕事をしているにも関わらず、
何故、これだけスタッフの意識やホスピタリティに差が出てしまうのでしょうか?
このようなホスピタリティの意識が高いスタッフ、
あまり意識が高くないスタッフの違いについて、
実は共通点があるのです。
それが、そのスタッフが「ギバー」タイプなのか「テイカー」タイプなのかの違いです。
提供されるホスピタリティの質が変わるということです。
■ ギバーとテイカーとは何か?
それでは、この「ギバー」と「テイカー」とは何なのでしょうか?
これは、アメリカのウォートンスクール終身教授であるアダム・グラントによる、
「人の相互作用」の理論で提唱されているものです。
・ギバーは、与える人を意味します。
他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払い、受け取る以上に与える人。
思考はギブが中心で、はじめに与えることを考える。
「人の為に何かをしてあげたい」
「自分が相手の為に何かしてあげられることはあるか」
といったことが思考の中心にある人は「ギバー」タイプの人です。
・テイカーは「受け取る人」「与えられるのを望む人」を意味します。
自分を中心に考え、自分が何を得られるかに注意を払い、与える以上に受け取ることを望む人です。
思考は与えられること、テイクが中心で、自分にとって与えることよりも、与えられる、
つまり利益が上回ることを重視します。
「何をしてもらおうか」
「まずは、与えてもらわなければできない」
といったことが思考の中心にある人は「テイカー」タイプの人です。
そして、実はもうひとつのタイプがあります。
それが「マッチャー」です。
・マッチャーは、ギバーとテイカーのバランスを取る人を意味します。
与えること、受け取ることのバランスを取り、常に公平という観点で行動し、相手の出方によって、
助けたり、助けなかったり態度を変えながらバランスを取るタイプの人です。
「ギバー」「テイカー」「マッチャー」の中では、一番多いのがマッチャータイプの人と言われています。
あなたは、どのタイプに当てはまりますか?
■ ギバーであることが仕事の「やりがい」に繋がる
あなたがどのタイプに当てはまっていたとしても、
このサービス業でホスピタリティを提供している以上は、
「お客様の為に自分にしてあげられることはないのか?」
「お客様のために何か貢献したい!」という「ギバー」の思考を
中心に持つことが重要であり、
ホスピタリティは「自分がお客様に貢献したこと」、
つまり、「与えたことによる対価」として、
「ありがとう」
「あなたに会えて良かった」
といった精神的報酬を得ることになります。
つまり、あなたが、ギバーであればあるほど、
「お客様からいただける精神的報酬が増える」ことに繋がります。
そして『与える=消耗する』と考えがちですが、消耗どころか、
結果的に、あなたの仕事の「喜び」や「やりがい」、「幸福感」に繋がるのです。
私たちは、つい与えられることを望んでしまいがちです。
「会社が何もしてくれない」
「上司が何もしてくれないから、自分も言われたことだけをやっていればいい」
「この給料なら、この程度でいいや」
誰しも、このようなテイカーになる瞬間もあると思いますが、
結局は、「ギバー」が最終的に自分が得られることが大きいということを
日々意識して、「ギバー」な自分で居てください。
それが、ホスピタリティの主体的な提供に繋がり、そこで働く一人ひとりが、
テイカーの意識を持てば、お客様もスタッフも幸福感に溢れる職場になれるはずです。
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