2020.09.18
マネジメントコラム
丸亀製麺は『脱・効率化経営』で『付加価値』を売る!
このコロナ禍において、
飲食業界は大きなダメージを受けています。
その中で健闘しているのが丸亀製麺です。
2020年4月・5月こそコロナの影響で大きく業績を落としましたが、
様々な工夫で6月以降、業績を持ち直し、
9月現在は昨年度並みの売り上げを確保しているとのこと。
未だに、売上、昨年度比50%以下という飲食店が多い中で、
何故、丸亀製麺は顧客に支持されているのでしょうか?
そのひとつに『脱・効率化経営』というのがあります。
通常、丸亀製麺のようにチェーン展開している飲食店においては、
セントラルキッチンによって、全店の麺や製品を幾つかの拠点でまとめて製造して全国の店舗に配送し、
店舗は、そこから送られてきた製品を温めるなど、少し手を加えて顧客に提供するというのが
一般的です。
これにより効率化が図られ、高い収益性がもたらされるというのが、
チェーン展開している飲食店のビジネスモデルなのです。
実際、20世紀には、ファミリーレストランやファストフードは、
このようなオペレーションを構築して、全国に展開することで成長を遂げました。
このようなことは顧客にとっても、全国、どこに行っても、同じ品質で同じ価格で、
当たりハズレなく安定した商品が提供されることで魅力を感じていました。
しかし、21世紀に入ると状況は変わり、「全国どこでも同じ」ということに消費者は魅力を感じなくなり、
地域性や季節性、オリジナル性を求めるようになりました。
従って、現在はファストフードやファミリーレストランも、地域限定商品や季節限定商品などの
工夫を凝らしています。
その中において、いち早く、効率化を主軸とした定型型サービスに見切りをつけ、
『体験型サービス』に舵を切った丸亀製麺は、時代の流れに乗り躍進し続けています。
その体験型サービスとは何か?
まず、製麺を各店舗で実施していることが挙げられます。
効率を考えると、セントラルキッチンで製麺された麺が送られてきたものを茹でるだけにしたほうが人件費も含めて、
利益率は上がるのに、あえて各店舗で粉から製麺しています。
そして、最近ではその製麺をする場所を顧客に見える位置に設置し、
打ち立ての麺が出来上がる様子も顧客に体感してもらう工夫をしています。
また、店舗レイアウトもオープンキッチンとなっており、
厨房の様子を丸見えにすることで、商品が出来るまでの過程を見える化しており、
麺を打つところ、茹でるところ、天ぷらを揚げるところまで、
視覚でも楽しんでもらえる臨場感あるレイアウトにしています。
また、スタッフもあえて年配スタッフを採用することで、職人感、安心感の醸成、
顧客とのコミュニケーションを図る仕掛けも作っています。
このように、麺や商品へのこだわりはもちろんのこと、
『効率化』を求めるのではなく、
ひとりでも多くのお客様が丸亀製麺を利用してもらい、
そして、単なる『うどん』という食べ物を提供しているのではなく、
その出来上がるまでのプロセスも含めた『体験』を提供しているところに、
丸亀製麺の強みがあり、
顧客は、その出来上がるまでのプロセスも含めたサービスに『付加価値』を感じて、
購入しています。
これまでの資本主義は、如何に利益を上げるか、儲けるかということが、
『いい会社』と『悪い会社』の違いでした。
従って、利益を上げる為に効率化を追求することが重要な時代でした。
しかし、これからは『儲かればそれでいい』ではなく、
如何に顧客の『しあわせに貢献できるか』ということが重要であり、
顧客は、その企業の『あり方』も含めて、購入動機になっていると考えるべきでしょう。
ザ・ホスピタリティチームでは、
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