2022.03.12
マネジメントコラム
すべての人間が持つホスピタリティを高める「社会脳」とは?
ホスピタリティの起源は、その昔、ホテルや病院がまだ無い時代に、旅人や病人を受け入れる場所がなく、
このような困っている人達をすすんで、教会や修道院が受け入れたことが発端とされています。
(日本ホスピタリティ推進協会)
このホスピタリティという言葉自体は、ヨーロッパが発祥であり、今では、世界中で使われていますが、このような思考や行動そのもの、
例えば、
「困っている人がいたら自ら手を差し伸べる」
「自分たち以外の共同体から来た人を歓迎する」
に関しては、実はヨーロッパから教えてもらった訳ではありません。
実際、その昔、日本でも「寺院」がヨーロッパの教会のような役割を担っていましたし、
日本にも「もてなし」という、相手の事を想い、お茶やご馳走などの「もてなし」で客人を喜ばせるという日本独自の、
もてなし文化があったことも事実です。
従ってホスピタリティは、言葉自体はヨーロッパから伝わってきましたが、全世界の人類が持ち合わせているものであり、
どの国が発祥とか、誰かに教えてもらったものではない!ということが分かります。
それでは、人間は何故、
「自分ではなく相手の事を想う」
「自分の損得を抜きに相手が喜ぶことをしてあげる」
「相手の痛みに共感する」
ということができるのでしょうか?
そのヒントとなるのが、人間の「脳」の構造です。
皆さまは「社会脳」をご存知でしょうか?
社会脳とは、自分と他者、そして社会を結ぶ脳の動きと言われています。
この社会脳の役割は自分と他者のかかわりを調整しながら、自分が会社や地域などの集団の中で、
意味のある存在になる為の働きをしています。
つまり、「集団の中で自分を認めてもらう」ための脳の動きということです。
特に、その中でも、自分の損得を抜きに誰かの為に尽す、利他的な行動は、自分が所属している集団への貢献を表わし、
人間社会に特有の行動で、社会脳として特徴的なものともなっています。
それでは、何故、人間にはこのような「社会脳」が発達してきたのでしょうか?
それは、人間は社会的な協働生活をする上で、まわりの人とコミュニケーションを通して、他者との協調や共感をし合ったり、
相手の考えていることを言動や行動を通して予測して、理解したりすることは、自分が社会に適応している、順応している、
自分の集団の中で存在意義を示すという点で、重要であったからです。
従って、人間はこの社会脳の発達によってこれまで地球の中で、みんなで協力して様々な困難を乗り越えて生き残り、
豊かな社会を育んできたのです。
そして、この社会脳の働きとしての最大の特徴は、
「人のために尽すことに大きな喜びと幸福を感じる仕組みになっている」という点です。
つまり、この社会脳はすべての人間が「他者の喜びは、自分の喜びに通じるもの」という思考を持っているということを意味しています。
これはまさに、他者への尊重や承認、思いやりや気遣いによって、「他者への貢献が、自分の喜びとなる」ホスピタリティと繋がる部分であり、
ホスピタリティは、人間誰もが持つ、社会脳の発達と共に育まれてきたと言っても過言ではありません。
しかし、私たちの脳は、そのような構造になっているにも関わらず、最近では、
行き過ぎた資本主義社会、競争社会の中で、自分が生き残る為に、思惑や自分の損得を優先してしまい、
人間の本来持つ社会脳が機能不全になっている人、そのようなことが原因で「ねじ曲がった自分」を作っている人も多く見られます。
このようなことは人間の本来の姿ではなく、
「偽りの自分を自分で作り出していること」
に気付くべきなのです。
本来の自分、素の自分を取り戻し、人間が本来持ち合わせている社会脳にもう一度立ち返り、
この社会脳の役割である「人のために尽すことに大きな喜びと幸福を感じる」こと。
つまり、ホスピタリティを軸とする思考と行動が、人類の更なる発展と共に、自分にとって喜びや幸福に繋がっていることを理解すべきなのです。
人間としての原点に回帰することが求められていますね。
ザ・ホスピタリティチームでは、ホスピタリティに関する
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