
ホスピタリティコンサルタントとしての活動の中で、
最近多いのが「組織の立て直し」についてのオーダーです。
その多くが、組織内の人間関係がうまくいっておらず、
メンバーのやる気の減退や離職者が後を絶たず、
やらされ感満載のスタッフのサービスにより、
サービス品質の低下から売上が下がってしまい、
何とかそれを立て直して欲しいという依頼です。
特にサービス業は、人による労働生産性の割合が高いので、
従業員の「やる気」次第で、売上に大きな影響を及ぼすという特徴があります。
そのような「うまくいっていない組織の特徴」として挙げられるのが、
「リーダーとメンバーとの関係性が悪い」という点です。
そのような組織を多く見てきた中で、課題として見えてくるのが、
リーダーが異性の部下に対するマネジメントのやり方に関すること。
特に昨今、サービス業に従事するスタッフは女性が多く、女性比率が高い職場における男性リーダの
女性部下に対するマネジメントで、うまくいっていない事例が多いと感じます。
そういう私も、前職のホテルマン時代にはブライダル課の支配人をしていましたので、
ほぼ女性の職場で、男性である自分の感覚で部下に接して失敗したことは数限りなくあります。
従って、男性、女性の利点を理解し、それに応じたマネジメントをすることが重要であり、
それができれば、メンバーのやる気を引き出し、生産性、成果を最大化することも可能です。
それでは、男性と女性の利点とはどのようなことなのでしょうか?
皆さまは、男性脳と女性脳といった言葉を聞いたことがありますでしょうか?
これは、男性と女性で脳みその構造に違いがあり、
一般的には、
男性の脳は論理性を重要視し、女性の脳は感情に重きを置く傾向があると言われています。
もちろん個人差もあり、今や男性脳と女性脳の違いはほぼ無いという意見もありますので、
一概には言えませんが、確かに当てはまっている部分が多いと私は感じていることも事実です。
従って、このような特徴を理解して、マネジメントを使い分ける必要性があります。
【男性部下へのマネジメント】
・定量的な目標を持たせる。
・論理的に話す。
・この業務をすることの部下自身のメリットを話す。
・シンプルに目標達成する責任を問う。
・金銭的報酬、売上、給料を重んじる傾向がある。
【女性部下へのマネジメント】
・その業務をやることへの意味・意義を伝える。
・部下の感情を汲み取り寄り添う。
・こまめなコミュニケーションを上司から取る。
・売上の為ではなく、顧客への貢献や喜びをベースとした共感性を大切にする。
・精神的報酬、顧客の笑顔や喜びの声、貢献による自己承認を重んじる傾向がある。
このように、男性、女性それをれの特徴を理解してマネジメントの使い分けをすることが重要です。
実際、私が以前サポートさせていただいた事例を紹介させていただくと、
あるホテルのウェディング部門で、男性上司が他部署から部署異動で支配人となってから、女性部下との関係がうまくいかなくなり、
プランナー達の士気が下がり、業績の下落に歯止めが掛からなくなり、何とかして欲しいという依頼を受けました。
私がその後、コンサルティングに入り組織を見る中で、見えてきたのが支配人の女性部下に対するマネジメントの課題です。
まさしく、男性部下対して効果的なマネジメントを女性部下にそのまま実践していました。
・数字ばかりを厳しく求める。
・コミュニケーションは部下から上司に対して取るものだという考え。
・仕事に対する責任ばかりを部下に問う。
・結果を出す部下は可愛がり、結果の出ていない部下には冷たい態度。
まさしく、昭和の男性部下であれば、粉骨精神で支配人についていくかもしれませんが、
今時の女性部下には通用しません。
私が、このような組織に入り込む際に心掛けることは、共通の目的・目標を持つということです。
これは、この組織だけではなくどの組織においても言えることですが、
支配人も部下も、
「お客様に喜んでもらいたい」
「自分の働いている、この会社、職場を今よりも良くしたい」
という想いは共通しています。
私が、まずこのような組織でやることは、
支配人やメンバーの想いを共有する機会を設けるということです。
そうすると、組織で働く全員が「お客様に喜んでもらいたい」「この職場を良くしたい」
という共通の想いを持っていることが分かります。
だとすれば、
「今よりもお客様に喜んでもらう為には何が必要か?」
「今よりも、この職場を働き易く、良くするには何が必要か?」
を支配人も含めたメンバー全員で考え、それに対する具体的なアクションを導き、
実践していけば結果は必ずついてきます。
実際にこの組織も、支配人、プランナーのそれぞれの想いを共有することで、
お互いを理解することができ、支配人も、今までのマネジメントを改めて、
・部下に自分から積極的にコミュニケーションを取り心配事などの相談に乗るようになった。
・普段から話し掛けやすい雰囲気を作り、話し掛けられても不機嫌な態度をしなくなった。
・数字ばかりを求めるのではなく、「お客様に喜んでもらう為」という言動をするようになった。
それに伴い女性部下達も、
・支配人への相談に行く機会が増えた。
・支配人との談笑が増えた。
・組織全体に笑顔とありがとうが増えた
など、支配人のマネジメントの変化と共に、部下たちの意識に変化が生まれました。
こうなると結果は自ずとついてきます。
下がり続けていた業績が、V字回復をして見事、高い目標をクリアしたのです。
この事例からも分かるように、自分の価値観や考え方を押しつけるようなマネジメントをするのではなく、
部下の性別や価値観、考え方を常に見て、理解する姿勢が必要であり、
その部下に応じたマネジメントをすることが重要となります。
それには、やはり部下におけるホスピタリティが必要です。
部下の尊重や承認をベースとした「目配り」「気配り」「心配り」をリーダーの思考と行動習慣にすることで、
部下の輝きで生産性を最大化する組織に生まれ変わります。
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、組織の改題解決に関するコンサルティング、チームワーク、コミュニケーションに
関する研修や講演のサービスを提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
https://thehospitalityteam.jp/wp/consulting/
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