
◆ハラスメントの恐怖から、部下と関わらない上司が増えた
「ハラスメントが怖い」
私がよくリーダーの皆さんから相談されることです。
私の知っている例では、情熱がある上司ほど部下に対してつい熱くなり、
暴言を吐いてしまいがちなもの。
その結果、ハラスメント認定で他部署に異動になったり、出世街道から外されてしまったケースも、
実際に私はたくさん見てきております。
そんなこともあり、ハラスメントへの恐怖からか、
部下に対して「どこか冷めている上司」が以前よりも多くなってきたように感じます。
「ハラスメントが怖いので、あまり部下には関わらないようにしています」
「以前は、退社後に飲み会に誘っていたのですが、
最近はハラスメントと言われてしまうので、誘わないようにしています」
といった声も多くなりました。
◆ハラスメントのリスクを減らすたったひとつの方法
接客・サービス業に就く人たちは、基本的に「人と接することが好き」ということが多いのは
間違いありません。
また当然ながら、職場においては、「人と人とが協働し、調和し合って良いサービスをお客様に提供する」のが、
この仕事の醍醐味であり、喜びもあります。
その醍醐味を、リーダーの「ハラスメントに対する過剰なリスクヘッジ」によって奪ってしまうことで、
職場の雰囲気をしらけさせていいのでしょうか?
そもそも、ハラスメントになるかどうかの分かれ目は「上司の言動を部下がどう受け取るか」にあります。
同じ言葉を発しても、部下が「上司からの愛情」と受け取るか、
「ハラスメント」と受け取るかは、部下の受け取り方次第です。
つまり、上司がハラスメントのリスクを減らす上で大切なのは、「部下との信頼関係を築く」ことに尽きます。
今まで私が見てきたハラスメント事例でも、
「気の合わない部下」
「普段からコミュニケーションが希薄な部下」からの訴えが
圧倒的に多いのです。
したがって、あなたが普段からハラスメントを恐れて、
部下とのコミュニケーションを避けることは、
かえってリスクを増やしてしまっているということに気づくべきです。
その上で、私はよく「自分のことを話す」ということを意図的にやっています。
「ダイエットを始めようと思って、迷ったけど思い切って昨日からジム通いを始めたん
だ」
など、どんなことでもよいので部下に自分のことを話すと、
「実は私もジムに通っているんですけど、どこのジムに行っているのですか?」
といった具合に、部下からも自分のことを話してくれるようになります。
しかも、コミュニケーションが希薄になりがちな部下にこそ、
積極的に話し掛けることが大切です。
このような血の通ったコミュニケーションが職場内にあるかどうかが、
ハラスメントが起こる職場であるかどうかの大きな違いになります。
リーダーの中には「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と、
自分のシャッターを下ろしてしまう人もいるのですが、もったいないと感じます。
ハラスメントの教科書には、
「こんなことを言ってはいけない」
「あんな態度をしてはいけない」
といった「してはいけないこと」ばかりが書いてあります。
それに、ビビッて部下に話し掛けられないのも無理はありませんが、
部下を愛し、部下との関係性を積極的に深めることこそが、
ハラスメントの撲滅に繫がると私は確信しています。
※このトピックスは、著書「接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと」(PHP研究所)
の本文を再編集させていただいております。
https://thehospitalityteam.jp/wp/book-release/