最近、さまざまな企業から「毎日が目の前の仕事でいっぱいで、未来への投資ができていない」という相談が増えています。
特にサービス業では人手不足が慢性化し、クレーム対応、シフト調整、急なフォローなど、
“今日絶対にやらなければならない仕事”に追われる毎日が続いています。
しかし、この忙しさの渦に巻き込まれるほど、実は企業の競争力は静かに失われていきます。
未来の成長を生み出す仕事が後回しになり、気づいたときには周りとの大きな差になっている——そうした時代です。
ここで改めて注目したいのが、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』に出てくる「時間管理のマトリクス」です。
仕事を「緊急度」と「重要度」で4つに分類したシンプルなフレームですが、これを理解しているかどうかで、組織の未来は大きく変わります。
■4つの領域の違いを知ることからすべてが始まる
コヴィーは、仕事を次の4つに分類しています。
クレーム対応、トラブル処理、納期が迫った作業、急な欠勤のフォローなど。
目の前の“絶対にやらねばならない仕事”。
多くのリーダーが毎日ここに多くの時間を取られています。
【第2領域:緊急ではない × 重要】
人材育成、理念浸透、改善、仕組みづくり、チームミーティング、未来への準備。
本来、未来の成果を生む“投資”の領域ですが、緊急ではないため後回しにされがちです。
【第3領域:緊急 × 重要ではない】
他者の都合で急ぎと言われた作業、形式的な会議、急な依頼など。
【第4領域:緊急でも重要でもない】
惰性的な作業、目的のないネット検索、習慣的な行動など。
この4つの領域のうち、
最も組織を成長させるのは、第2領域です。
しかし、人手不足やトラブル対応が続くと、どうしても第1領域ばかりに時間を取られ、未来をつくる第2領域が削られてしまいます。
そして、この時間の使い方が“企業の未来の差”につながっていくのです。
■第2領域には「人」を育てるための重要な仕事が集まっている
第2領域に含まれるのは、未来の成果につながる仕事。
その中でも特に重要なのが 「人材育成」と「理念浸透」 です。
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新人のフォローや育成設計
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1on1面談や対話の時間
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価値観や行動基準を共有するミーティング
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次世代リーダーを育てる場づくり
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チームとしての振り返り・改善
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サービス基準や接客スタンダードの整備
これらは緊急ではありません。
しかし、これらを丁寧に行っている企業ほど、5年後・10年後に強い組織になっている。
また第2領域には「関係性づくり」も含まれます。
心理的安全性が高い組織では、意見が出やすく、ミスも共有されやすく、改善スピードが速い。
これはまさにホスピタリティの考え方——
“相手を思いやる関わり方”が社内で発揮されている状態です。
ホスピタリティはお客様だけでなく、社内にこそ必要。
仲間への気配り・配慮・承認が増えると、組織の空気が変わり、第1領域そのものが減っていきます。
■実際に「第2領域」で成果を上げた企業の事例
私がお手伝いしている企業でも、第2領域に真剣に取り組むことで成果が出たケースが数多くあります。
●大手ホテル
企業理念をブレイクダウンしたサービススタンダードに落とし込み、
日々のスタッフの行動に定着するまで様々な取り組みを通じて図った結果、
スタッフ全員が同じ価値観を持った一貫性のある接客サービスを平準化することができ、
口コミ評価3.9ポイントから4.8ポイントまで上がり、
それに伴いリピート率、売上向上に繋がった。
●大手ホテルグループ
ある大手ホテルグループでは、サービスレベルを底上げし、ブランド全体の価値を高めるために、
「サービス向上プロジェクトチーム」を各ホテルに設置しました。
このチームは、スタッフ同士の接客観察、改善提案、成功事例の共有、
さらには他ホテルの“良い実践”を吸い上げて全体に展開する役割を担っています。
活動を通じて、
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宿泊・レストラン・フロントなど部署横断でノウハウが循環
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ホテル間の“サービスのばらつき”が解消
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「また来たい」と言われる体験価値が向上
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顧客満足度(NPS/口コミ)も上昇
といった成果が現れ、ホスピタリティ力と付加価値向上を組織的に高める仕組みづくりに成功しています。
この取り組みの本質は、単なる研修ではなく、「現場の知恵を組織の財産にする仕組み」を第2領域として継続したこと。
その積み重ねがブランド力の向上に繋がった。
●サービスエリア運営企業
あるサービスエリア運営会社では、これまで人材育成に本格的に取り組んだ経験がほとんどありませんでした。
忙しさに追われ、日々の運営で手一杯——まさに“第1領域”だけで回していた職場です。
しかし「このままでは人が育たない」「ブランドとしての価値が上がらない」という危機感から、
パート・アルバイトを含む全従業員を対象に、半年に1回のホスピタリティ研修をスタート。
スタッフの表情、挨拶、声かけ、気配りなど“接客の在り方”を丁寧に見直し、
現場での小さな成功体験を共有し合う文化が芽生え始めました。
取り組みを継続した結果——
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従業員の企業へのロイヤリティが向上
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離職率の低下
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顧客満足度が向上
つまり、“人を育てる”という第2領域への投資が、組織全体の好循環を生んだのです。
この事例は、「忙しいから育成ができない」のではなく、
育成を始めたからこそ忙しさが減り、職場が強くなるということを証明しています。
■結び:未来をつくるのは、今日の第2領域
人手不足の時代だからこそ、ますます「緊急で重要」な仕事が増えます。
しかし、その忙しさに流され続ける限り、未来の強さは生まれません。
未来の組織力、未来のブランド、未来の人材は、すべて第2領域の積み重ねからつくられます。
今日1時間でもいい。
一つの業務でもいい。
あなたの職場に「第2領域の時間」をつくることが、5年後・10年後の大きな差につながります。
未来をつくる仕事は、緊急ではないけれど、本当は一番大切な時間。
あなたのチームでは、今日どんな第2領域の一歩が踏み出せそうですか?
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