2022.04.24
ホスピタリティコラム
お客様からたくさんお金をいただくことは「悪」ではない!~ホスピタリティを接客サービスに生かす~
■「安くすること」がお客様の為になるとは限らない
顧客サービスにおけるホスピタリティは、「自分たちの接客サービスを通じて、お客様のしあわせに貢献すること」を意味しますが、
そのことを勘違いして解釈しているスタッフに出会うことがあります。
それは、「お客様から沢山お金をいただいてしまったら申し訳ない」と思っているスタッフ達です。
確かに「お客様への貢献」と考えると、「安くして差し上げることが貢献に値する」と思ってしまうスタッフも居ると思います。
しかし、自分の思い込みや価値観で「安くして差し上げることがお客様の為になる」とは限りません。
私が前職の婚礼支配人だった時、結婚式が終わったお客様から、プランナーに対してクレームをいただいたことがありました。
それは、「プランナーが商品を提案してくれなかった」というクレームです。
ウェディングは料理、飲物、装花、引出物、写真、映像、演出等多くの商品で成り立っています。
それらの商品を打合せの中でプランナーがお客様に提案しながら商品を選んでいただき、購入していただく訳ですが、
私が担当プランナーに、「お客様からこういうご指摘をいただいたけど、思い当たることある?」と聞いたところ、
プランナー曰く、「最初にご来館いただいた際に提示した見積書から、
追加オプションを販売して金額が上がってしまうと申し訳ないと思ったので提案を控えました。
それに、打合せの時も料金にはシビアな様子だったので安く仕上げて差し上げたほうがお客様の為だと思いました。」とのこと。
このスタッフは、「商品を提案する=売りつける」と考えてしまっており、
結果的にお客様の不満に繋がってしまえば自分の厚意も意味を成しません。
このように、スタッフの思い込みで良かれと思ってやった事がお客様の為になっていないケースが非常に多いのです。
それでは、このような部下にリーダーはどのような指導をすべきなのでしょうか?
■スタッフの思い込み接客を無くす方法
まずは、「スタッフの正しいと思っていることが、お客様の正しいこととは限らない。」ということをスタッフに認識させる必要があります。
私はよく「ニュートラルで接客に臨みなさい」と伝えるのですが、
スタッフの価値観や思い込みで、
「このお客様は今日は購入しなさそうだから、具体的な提案は辞めておこう」
「このお客様は話し掛けないほうが良さそうだから、そっとしておこう」
など、「お客様は購入しても良い」と思っているのに、勝手に自分の思い込みで判断して機会を失っている、
お客様の為になっていないケースが多く見られます。
そして、スタッフの「さじ加減」にしないということも大切です。
スタッフのさじ加減にすると、スタッフの思い込みで、「提案したり、しなかったり」、「言ったり、言わなかったり」ということが生じます。
従って「必ずクロージングまで接客する」、「必ずこれは伝える」といったベースの部分はルールをつくり、
それを接客シナリオに落とし込むなどして徹底させることで、
お客様へのご提案やご案内を抜け漏れなくするような工夫をすることが必要です。
私たちが提供している接客サービスは、最終的な商品を販売することだけではなく、
そのプロセスで伝える言葉、気持ち良く購入していただくまでの導きも商品であり、それが付加価値です。
そこに価値が無ければ、お客様はわざわざ店舗に足を運ぶことなくネットで購入するでしょう。
私たちの接客によって、100円の原価のものが、「200円でも高い」と思われる場合もあれば、
「1000円でも安い」と思われることも実際あるのです。
「安くして差し上げることがお客様の為」ではなく、
私たちは提供する商品・サービスに価値を感じていただける接客サービスを磨くことがより求められます。
※本コラムは、著書「接客サービスのリーダーにとって一番大切なこと」(PHP研究所)の本文を再編集して
掲載させていただいております。
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