■組織風土・組織文化をどう変えるか
私がホスピタリティコンサルタントとして様々な企業に伺うなかで常々感じることがあります。
それは、どんな組織にも「組織風土」「組織文化」が必ず存在し、それが良くも悪くも強い影響を与えているということです。
そして、この組織風土は年数が長ければ長いほど、組織規模が大きければ大きいほど、変えることが難しくなる傾向があります。
一方で、今は時代の変化が非常に激しい時代です。
消費者の価値観は大きく変わり、企業にはこれまでと違う商品やサービスが求められるようになっています。
しかし「これまでのやり方ではもう通用しない」と頭では理解していても、長年染みついた習慣や風習が壁となり、変革できない企業は少なくありません。
その結果、人が育たない、人が定着しないといった問題が続き、最悪の場合は人手不足倒産に陥ってしまうケースさえ見られるのです。
■昭和の組織風土を引きずる危うさ
残念ながら、いまだに「つらいことを我慢するのが仕事」「上司に進言するなどタブー」「教育などなくても背中を見て学べ」といった、
昭和型の組織風土を色濃く残している企業もあります。
こうした空気の中で若手社員が力を発揮できるでしょうか。
挑戦したい気持ちを押さえ込み、声を上げることすら許されない環境で、社員が未来を託したいと思えるでしょうか。
これからの時代は、待遇や給与だけでは人は集まりません。
「心理的安全性」があり、「自分は大切にされている」と感じ、「自分の意見に耳を傾けてもらえる」と思える。
そんな「この会社で働きたい」と思える組織風土がなければ、生き残るのは難しいでしょう。
■組織風土を変える3つのステップ
それでは、どうすれば新しい時代にふさわしい組織風土をつくることができるのでしょうか。
私は次の3つのステップが不可欠だと考えています。
ステップ1:現状の組織風土を洗い出す
まずは、自社の「今」を見つめ直すことです。
良い習慣もあれば悪い習慣もあるはずです。
たとえば「決めたことは最後までやり抜く」「明るい雰囲気で声を掛け合う」といった良い点。
一方で「部署間が仲が悪い」「新しいチャレンジをしない」といった悪い点もあるでしょう。
そして、現状把握だけではなく、自分たちが、これからの時代も踏まえて、「チャレンジを歓迎する文化」「お互いに感謝を伝え合う文化」など、
これからの時代も見据えて、自分たちがこれから持つべき組織文化・風土を出し合うことも重要です。
ステップ2:行動指針を決める
次に、目指すべき風土に沿った行動指針を具体的に定めます。
これまでの組織文化・風土の良い点は残しつつ、悪しき文化・風土を改善する視点、
そして、これからの時代を見据えて、持つべき組織文化・風土の要素も取り入れます。
その上で、
「挨拶は目を見て、笑顔で、名前を呼んで挨拶をする」
「仲間に対して1日10回以上“ありがとう”を伝える」
といった従業員が誰でも分かりやすく、日々の中で「やったか、やらなかったか」が振り返ることができ、
評価できる指針にすることが大切です。
抽象的なスローガンではなく、社員一人ひとりが日常で守れる“約束”にすることが重要なのです。
ステップ3:浸透と徹底を図る
そして何より大切なのは、決めた行動指針を浸透させ、日常の習慣にしていくことです。
決めただけでは風土は変わりません。
週次・月次・年次での振り返りを仕組みに組み込み、会議や1on1で必ず話題にし、具体的な実践事例を共有・称賛する。
場合によっては「行動指針アワード」を設けて表彰するのも効果的です。
こうした積み重ねが少しずつ習慣となり、やがて文化として定着していくのです。
■私の会社の実践例
弊社も創業18年目になりますが、企業文化・風土をつかさどる行動指針の浸透に取り組んできました。
たとえば弊社の指針には、
「何事にもチャレンジする勇気を持つ」
「ライバルは自分。今日の自分を超える」
「いつも明るく前向きな自分でいる」
といった8項目を行動指針として掲げています。
これを単なる言葉で終わらせないために、日常での唱和、月次・年次での振り返り、次期の目標設定を繰り返しています。
最初は形だけに思えることもありましたが、積み重ねるうちに少しずつメンバーの行動に変化が現れ、
「チャレンジするのが当たり前」「明るく前向きでいるのが自然」と感じられる風土が形づくられてきたのを実感しています。
■風土は一朝一夕では変わらない
組織文化は一日や一週間で変わるものではありません。
しかし、今日から始めれば、1年後には必ず何かしらの成果が見えてきます。
そして、それは他社が簡単には真似できない差別化やブランド力となり、採用や離職防止の強力なアドバンテージになるはずです。
だからこそ、改めて自社の目指す風土を明文化し、みんなで取り組むことが重要です。
小さな一歩でも構いません。
既存にある経営理念や行動指針の振り返りの仕組みをつくり、
それについて全従業員が考える機会をつくるだけでも変化は始まります。
未来の組織をつくるために、あなたの会社はどんな風土を目指しますか?
その答えを考え、行動を始めるのは、まさに今日からです。
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