■ ウェルビーイング(幸福度)とは?
最近、ウェルビーイング(well-being)が注目されています。
ウェルビーイングとは、WHO憲章で示された「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を指す概念です。
日本は世界一の長寿社会を迎え、超高齢化や多様化する働き方の中で、
年齢や立場を問わず誰もが安心して活躍し続けられる環境づくりが喫緊の課題となっています。
こうした背景から、個人の健康や幸福感だけでなく、組織としての持続可能な成長を実現するために、
ウェルビーイングの向上が企業経営においても強く求められるようになっています 。
企業がウェルビーイングに注目する主な理由は、
・少子高齢化による労働力不足の深刻化に伴い、従業員一人ひとりの幸福を考えた環境整備が人材確保・定着に不可欠であること。
・働き方改革の浸透により、単に労働時間を短縮するだけでなく、豊かな仕事時間の実現が生産性向上につながること。
・従業員の帰属意識向上や心理的安全性の確保が、離職防止や組織活力の強化に直結すること。
などが挙げられます
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授は、
こうした「幸せ」を実感するための具体的行動指針として、以下の4つの因子を提唱しています 。
〇やってみよう因子(自己実現と成長)
自分の夢や目標に向かって主体的に挑戦し、成長を実感することで幸福度が高まる。
〇ありがとう因子(つながりと感謝)
周囲とのつながりを大切にし、感謝の言葉や思いやりを示し合うことで、豊かな人間関係が築かれる。
〇なんとかなる因子(前向きと楽観)
困難に直面しても楽観的に捉え、新たな挑戦を恐れずに続ける姿勢が幸福感を支える。
〇ありのままに因子(独立性と自分らしさ)
他人と比較せず、自分らしさを尊重して生きることで、安心感と自己受容が得られる。
これらの4因子は、それぞれ異なる側面から個人のウェルビーイングを支え、職場で組織的に取り組むことで、
従業員の幸福度と企業の生産性を同時に高めることを可能とします。
■ ウェルビーイング4因子とホスピタリティ職場施策の結びつき
ホスピタリティ・リーダーシップや心理的安全性づくりは、
まさにウェルビーイング、幸福度を高める具体策そのものです。
〇やってみよう因子 ← ミッション×パッションで主体性に火をつける
「やらされ感」ではなく、自分ごととして挑戦する主体性こそが、真の成長と幸福感をもたらします。
ミッション共有と熱いパッションは、まさにこの因子を伸ばすエンジンです。
・ミッション(何のために) を繰り返し語り合い、部下の「自分はここで何を実現したいのか」を引き出す。
・パッション(熱意) を言葉と行動で示し、「この仕事には意味がある」と心から感じさせる。
〇ありがとう因子 ← ストローク文化で承認とつながりを深化
感謝の言葉は、幸福感を生む最もシンプルなコミュニケーションです。
相手の心の栄養を満たすストローク文化は、まさにこの「ありがとう因子」を強化する仕組みです。
・「お互いに感謝を伝えあう」ことによって小さな承認が連鎖し、職場内の関係の質の向上に繋がります。
・ギバー文化(自発的な与え合い)を広げることで、人間関係の満足度がぐっと高まります。
〇なんとかなる因子 ← 心理的安全性でリスクを恐れず挑む
「リスクは怖い…」では挑戦は生まれません。
心理的安全性づくりは、まさにこの因子の基礎です。
・失敗を学習の機会とする文化を根づかせれば、「失敗してもなんとかなる」という安心感が得られる。
・チーム内での信頼関係が深まるほど、果敢なチャレンジが定着します。
〇ありのままに因子 ← 受容と尊重で自分らしさを解放
自分の弱さや意見をさらけ出せない場では、幸福感は育ちません。
ホスピタリティ・リーダーシップが示す「傾聴と共感」のスタイルこそがこの因子を支えます。
・日常的な承認と相互尊重によって、「どんな自分でも受け入れられる」という安心感が生まれます。
・ありのままの自分をさらけ出しても否定されたり、バカにされないと確信できる環境によって、個々の独自性や価値観を活かし合う文化が醸成されます。
■幸福度と業績を両立する組織づくりのロジック
ウェルビーイング4因子──「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」を職場で実践することは、
単にメンバーの幸福度を高めるだけではありません。
Google のプロジェクト・アリストテレスが示したように、心理的安全性こそが生産性を左右する最大の要因です。
幸福度を支える4因子を満たす施策は、「安心して挑戦できる関係の質」をつくり出し、結果として継続的な成果につながります。
つまり、「幸福度と業績を両立させる組織づくりとは、ホスピタリティあふれる職場環境の中で心理的安全性を醸成し、
ウェルビーイング4因子を満たすことで生産性と成果を生む好循環を根づかせることです。
そして、この循環を生み、育て、永続させる鍵こそが、ホスピタリティに根ざしたリーダーシップなのです。
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