チェスター・バーナードの「組織の三要素」とホスピタリティの関係 ー 組織力を高める3つの要素 ー

2025.08.23

チェスター・バーナードの「組織の三要素」とホスピタリティの関係 ー 組織力を高める3つの要素 ー

マネジメントコラム

 

■ なぜ職場の土壌づくりが必要なのか?

人は“環境の生き物”です。だからこそ、取り組むべきは「職場の空気」──つまり、組織の土壌を整えることです。

 

たとえば、どんなに意欲的なメンバーがいても、

職場に「否定される空気」「助けを求めにくい空気」「頑張っても評価されない空気」が漂っていれば、やる気はすぐに冷めてしまいます。

一方で、心理的に安全な職場では、誰もが安心して意見を出すことができ、失敗も責められず、自然と助け合いが生まれます。

こうした環境では、人は前向きに、自発的に動こうとするようになります。

 

その「空気」を変えるための土台となる考え方として、

経営学者チェスター・バーナードが提唱した「組織の三要素」があります。

これは、組織が成り立つために必要な3つの条件として、

□共通の目的(ビジョン)

□貢献意欲(協働の意思)

□意思疎通(コミュニケーション)

を挙げています。

 

この三要素は、いずれも“目に見える制度”ではなく、“感じ取れる空気”として組織に作用しています。

だからこそ、これらを高めるためには、「職場の空気」を変えるアプローチが必要であり、その核となるのが“ホスピタリティ”なのです。

 

組織づくりの三要素

① 共通の目的 ―「相手の喜びが自分の喜びになる」組織へ

ホスピタリティの根底にあるのは、「相手の喜びが自分の喜びになる」という人間の本質的な心の動きです。

このような共感性は、実際に脳科学の分野でも明らかになっており、「社会脳」という構造が、他者の喜びや感情に自分も反応する仕組みをつくっています。

 

つまり、人は本来、誰かの喜びに貢献したいという“利他的な本能”を持っており、

この心の動きを組織内で言語化し、価値観として共有できたとき、「共通の目的」は明確に力を持ち始めます。

 

企業における“共通の目的”とは、「顧客の喜び」や「社会への貢献」であり、その実現のためにメンバーが協働して働くという構図です。

この「顧客の笑顔が自分の喜びになる」「仲間が喜んでくれることがうれしい」という感覚は、まさにホスピタリティの延長線上にあります。

 

多くの企業が掲げる企業理念やパーパスにも、「お客様の幸せ」「社会への貢献」「共に働く仲間の成長」といった言葉が並んでいます。

このような企業の目的を、単なる掲示物やスローガンで終わらせず、

“日々の行動の中で体現できる”文化として根づかせる鍵が、ホスピタリティの共通価値化なのです。

 

② 貢献意欲 ―「貢献」と「承認」の循環

次に、協働の意思とは、「組織の一員として共に働こう」「貢献しよう」という意欲です。

これもまた、ホスピタリティと深く結びついています。

 

なぜなら、誰かのために動いたとき、「ありがとう」「助かったよ」という言葉や笑顔をもらえます。

それが自分の存在価値を確認させ、次の貢献への意欲を生み出します。

つまり、貢献と承認が循環することで、自然と“協働の意思”が育まれるのです。

 

ホスピタリティのある組織では、相手の立場に立って考え、相手が必要とすることを想像し、先回りして動こうとする文化があります。

それが結果として、「自分だけが成果を出せばいい」という個人主義ではなく、「チーム全体で成果を出そう」という協働意識を育てることになります。

 

このような“人のために動くことが報われる空気”があるかどうかは、

メンバー間でのホスピタリティ的行動で決まります。

例えば、

「いつも夜遅くまでお疲れさまです」

「髪切りましたね、似合ってますよ」

など、仲間の“いつもとの違い”や“日頃の頑張り”に気づいて、さりげなく声をかけることも、

「あなたをちゃんと見ていますよ」という承認という相手に対する貢献なのです。

このようなメンバー同士の小さな行動の積み重ねが組織の空気を作っているのです。

 

③ 意思疎通 ― 心のこもったやり取りが“心理的安全性”を育む

三つ目の要素である「意思疎通」は、最もホスピタリティの真髄が問われる領域です。

単なる情報伝達ではなく、相手の心を大切にし、感情や背景にも配慮したコミュニケーションこそが、組織の温度を決めます。

 

「話しやすさ」は、「働きやすさ」よりも先に来ます。

どんなに制度や福利厚生が整っていても、

「この人には話しづらい」

「相談すると否定されるかも」

という不安があれば、人は心を閉ざしてしまいます。

 

ホスピタリティのある会話とは、相手に関心を持ち、耳を傾け、受け止め、理解しようとする姿勢から生まれます。

それがメンバー同士の信頼を生み、組織の“心理的安全性”という目に見えない空気をつくっていきます。

 

この空気がある職場では、意見が出やすくなり、アイデアが交差し、挑戦が生まれます。

やがてその熱量は顧客にも伝わり、店舗であれば「居心地のよさ」「購入意欲の高まり」といった形で成果に現れていくのです。

 

■ホスピタリティが“見えない土壌”を育てる

このように、バーナードの「組織の三要素」を満たすためには、ホスピタリティの文化が不可欠であることがわかります。

目的・貢献意欲・コミュニケーション──これらはすべて“人と人の間”で生まれるものであり、ホスピタリティをベースとした価値観があってこそ、形になる。

ホスピタリティとは、組織全体が共通して持つ“相手を大切にする意識”であり、組織の土壌を温めるエネルギー源なのです。

この共通価値が社内に浸透すれば、職場の空気が変わる。空気が変われば、言葉が変わり、行動が変わります。

そして最終的には、“成果の出るチーム”へと自然に進化していきます。

こうして、職場の空気が変わり、言葉と行動が変わることで、チームは自然と成果を生み出す組織へと進化していきます。

 

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