これからリーダーに求められる承認マネジメント ~「行動」をほめる前に、“存在”を認める ~

2025.07.11

これからリーダーに求められる承認マネジメント ~「行動」をほめる前に、“存在”を認める ~

マネジメントコラム

承認が部下のやる気を引き出す鍵

「人事評価ではAをつけているのに、なぜ部下のやる気が上がらないのか?」

リーダーであるあなたがそう感じたことがあるなら、それは「承認の不足」が原因かもしれません。

 

心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した、

「自己決定理論(Self-Determination Theory)」では、人間が内発的に動くために必要な3つの基本欲求があるとされています。

 

関係性(Relatedness):自分が周囲に受け入れられている、役に立っているという感覚

自立性(Autonomy):自分の意思で選び、行動できているという感覚

有能感(Competence):自分は成長している、力をつけているという感覚

 

この3つの欲求を満たしていくことが、部下のやる気やパフォーマンスを引き出すカギになります。

その“潤滑油”となるのが、「承認」なのです。

 

■「結果」「行動」そして「存在」──承認の3段階

承認には、段階があります。

 

結果承認:成果や数字など、目に見える結果を評価する

行動承認:努力や工夫、プロセスを認める

存在承認:その人の「ここに居てくれること」そのものを認める

 

結果承認や行動承認は、比較的しやすいかもしれません。

「よく頑張ったな」「数字を出してくれてありがとう」──これは多くのリーダーが日常的に伝えているでしょう。

 

しかし、もっとも見落とされがちで、もっとも深いレベルの承認が「存在承認」です。

 

「あなたがいてくれるだけで助かる」

「このチームに君がいてくれて本当によかった」

このひと言が、部下に“居場所”と“安心”を与えるのです。

 

特に、ミスが続いて落ち込んでいる部下や、まだ力を発揮できていない新人にとって、この言葉は大きな意味を持ちます。

 

■感謝の言葉が職場の空気を変える

それでは、どうすれば存在承認を伝えられるのでしょうか?

それは、「ありがとう」と言葉で伝えることです。

 

たとえば、

・退勤時に「今日もありがとう」と声をかける

・メールの冒頭に「いつもありがとう」と添える

・仕事の進捗に「早く対応してくれてありがとう」と反応する

 

このような言葉が、相手の存在を肯定するメッセージになります。

 

実際、あるサービス業の店舗で、私は目標設定のサポートをしていました。

その店舗はどこか殺伐としていて、メンバー同士の会話も必要最低限。

私は「この職場には、承認が足りていない」と感じました。。

 

そこで、10名のメンバー全員で「ありがとうを伝え合いましょう!」と提案しました。

「普段言えていない“ありがとう”を、この場で一人ずつ伝える」といった、たったこれだけのワークです。

最初は照れながらも、

 

「〇〇さん、いつもシフトを調整してくれてありがとう」

「店長、いつも見守ってくれてありがとうございます」

 

と声があがり始めました。

 

そのうち、一人の先輩が新人スタッフに向かって言いました。

「〇〇ちゃん、朝早く来て掃除してくれてありがとう。あなたが来てくれて、店の雰囲気が明るくなったよ」

 

その瞬間、その新人スタッフがぽろぽろと涙を流し始めたのです。

 

「…私、仕事も遅くて、迷惑ばかりかけてるって思ってました。そんなふうに思ってくれてたなんて…」

 

それにつられて先輩たちも泣き出し、最終的には全員が号泣。

 

そのあたたかい空気に包まれた店舗は、翌月から雰囲気がガラッと変わり、離職率も顧客満足度も改善されました。

 

「ありがとう」が飛び交う職場に変わるために

承認は特別なことではありません。

目の前のメンバーが今日も出勤してくれたこと、チームのために動いてくれていること。

その一つひとつに「ありがとう」を言えるリーダーであることが重要です。

 

「ありがとう」の反対語は、「当たり前」です。

 

「部下なんだからやってくれて当たり前」

「社員なんだから文句言わずに働くのが当たり前」

──そんな“当たり前思考”が、感謝や承認を奪っていきます。

 

でも、リーダーであるあなたが「ありがとう」を口にし始めると、驚くほど職場の空気が変わります。

そして部下もまた、「ありがとう」を返してくれるようになります。

そうやって相互承認のある組織になっていくのです。

 

組織はリーダーの鏡。

あなたの「ありがとう」が、チーム全体の承認の文化を育てていきます。

 

どんなに努力しても、それが認められなければ、部下の心には届きません。

だからこそ、リーダーには「承認の習慣」が求められているのです。

 

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