最近、企業の人材育成や組織づくりの中で「D&I」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
D&Iとは、「Diversity(ダイバーシティ)」と「Inclusion(インクルージョン)」の頭文字を取った言葉です。
「ダイバーシティは聞いたことがあるけれど、インクルージョンって何?」
「そもそも、なぜこの二つがセットなの?」
そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、D&Iとは何なのか。そして、私たちザ・ホスピタリティチーム(THT)が、
なぜD&Iの実現に「ホスピタリティ」が重要だと考えているのかについてお伝えしたいと思います。
■「違う人がいる」だけでは、D&Iではない
まず、Diversity(ダイバーシティ)とは「多様性」を意味します。
性別、年齢、国籍、障害の有無などの違いを思い浮かべる方が多いと思いますが、実際にはそれだけではありません。
育ってきた環境、経験、働き方、価値観、考え方、得意なこと、苦手なことなど、私たちは一人ひとり違います。
つまり、多様性とは一部の人だけに関係するものではなく、私たち全員に関係するものなのです。
では、Inclusion(インクルージョン)とは何でしょうか。
直訳すると「包摂」「包含」といった意味になりますが、職場に置き換えれば、
「一人ひとりの違いが尊重され、その人が組織の一員として参加し、力を発揮できている状態」
と考えると分かりやすいでしょう。
私は、この二つの違いをシンプルに、
Diversity=違う人が「いる」こと
Inclusion=違う人が「活かされている」こと
と捉えています。
例えば、外国人スタッフを採用した、女性管理職を増やした、障害のある方を雇用した。
多様な人材が職場にいるという意味では、ダイバーシティは進んでいます。
しかし、会議ではいつも同じ人しか発言しない、若手の意見は聞いてもらえない、
外国人スタッフには決められた仕事しか任せない、といった状態だったらどうでしょう。
多様な人は「いる」。
でも、その違いや能力が「活かされている」とは言えません。
だからこそ、DiversityとInclusionはセットで考える必要があるのです。
■制度を整えるだけでは、D&Iは実現しない
企業でもD&Iを推進するために、さまざまな制度や仕組みが整えられています。
育児や介護との両立支援、フレックスタイムや短時間勤務、障害のある方への合理的配慮、
外国人材への支援、女性のキャリア形成支援などもその一例です。
こうした制度を整えることは、とても重要です。
しかし、制度があればD&Iが実現するかというと、私はそうではないと思っています。
例えば、育児のために短時間勤務をしている仲間に対して、
「また早く帰るの?」
「自分たちは忙しいのに」
という空気が職場にあったらどうでしょう。
制度としては働きやすくなっていても、本人は肩身の狭い思いをしながら働くことになります。
逆に、
「今日はお迎えの日だよね。ここは引き継ぐよ」
「ありがとう。その分、ここまでは私がやっておくね」
そんな関係があれば、制度は初めて生きたものになります。
つまり、
制度は、多様な人が「働ける環境」をつくる。
人と人との関係が、多様な人が「活かされる環境」をつくる。
私は、ここにD&Iを考えるうえで大切なポイントがあると思っています。
■「傾聴しましょう」の、その前にあるもの
D&Iの研修では、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)や、
傾聴、相互理解、心理的安全性などが扱われることがあります。
もちろん、これらはどれも大切です。
「若いから経験がないだろう」
「ベテランだから新しいことは苦手だろう」
「子育て中だから責任のある仕事は難しいだろう」
私たちは知らず知らずのうちに、自分の経験や価値観を基準に相手を見てしまいます。
そのことに気づき、相手の話を聴き、違いを理解することは、D&Iを進めるうえで欠かせません。
ただ、私たちTHTは、そのさらに手前にあるものを大切にしたいと考えています。
それは、
「そもそも、なぜ自分とは違う相手を理解し、大切にしようと思うのか?」
ということです。
会社から「傾聴しましょう」と言われたから話を聴く。
「アンコンシャス・バイアスに気をつけましょう」と言われたから、自分の言動に注意する。
それだけでは、いつか形だけになってしまうかもしれません。
「この人はどう考えているんだろう」
「もっとこの人のことを理解したい」
「この人の力を活かすために、自分に何ができるだろう」
そう思えることが、すべての出発点ではないでしょうか。
■D&Iの土台に「ホスピタリティ」を
私たちTHTでは、ホスピタリティを、
「互いの喜びを生み出す、人と人との基本姿勢・行動」
と定義しています。
ホスピタリティというと、お客様への「おもてなし」をイメージされるかもしれません。
しかし、本来ホスピタリティが必要なのは、お客様に対してだけではありません。
一緒に働く仲間に対しても同じです。
相手を知ろうとする。
相手の話を聴く。
相手の存在や考えを認める。
自分とは違う価値観を尊重する。
そして、自分にできることで相手に貢献する。
相手が喜んでくれたら、自分もうれしい。
誰かの役に立てたことが、自分自身のやりがいや喜びにもつながっていく。
この「互いの喜び」が生まれる関係こそ、ホスピタリティの本質です。
そう考えると、D&Iとホスピタリティは、とても深いところでつながっています。
D&Iが「多様な人が活かされる組織」という目指す状態だとすれば、
ホスピタリティは、その状態を実現するための人と人との基本姿勢。
私たちはそう考えています。
■「違うからこそ、活かし合える」職場へ
もちろん、ホスピタリティという気持ちだけでD&Iが実現するわけではありません。
その想いを、日々の行動に変える必要があります。
自分と相手の違いを知る「自己理解・他者理解」。
自分の中にある思い込みに気づく「アンコンシャス・バイアス」。
相手の存在や行動を認める「承認」。
相手を理解するための「傾聴」。
自分も相手も尊重する「アサーティブ・コミュニケーション」。
そして、誰もが安心して意見や考えを伝えられる「心理的安全性」。
私たちTHTでは、こうした具体的な行動を「ホスピタリティ」という土台の上に置くことが重要だと考えています。
人は、一人ひとり違います。
その違いをなくす必要もなければ、無理に同じにする必要もありません。
大切なのは、
「違っていても一緒に働ける」から、「違うからこそ、お互いを活かし合える」へ。
制度や仕組みを整えることは、もちろん大切です。
しかし、最後にその制度を生かすのは、人と人との関係です。
制度が、多様な人が「働ける職場」をつくる。
ホスピタリティが、多様な人が「活かされる職場」をつくる。
私たちTHTは、ホスピタリティの力で、一人ひとりの違いが尊重され、その違いが組織の力へと変わっていく。
そんなD&Iの実現を目指していきたいと考えています。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
私たちザ・ホスピタリティチームでは、ホスピタリティを土台に、
心理的安全性、アンコンシャス・バイアス、承認・傾聴、コミュニケーション、リーダーシップなど、
一人ひとりの違いを尊重し、互いを活かし合える職場づくりにつながるさまざまな研修をご提供しています。
「多様な人材が、もっと力を発揮できる職場にしたい」
「お互いを尊重し、活かし合える組織をつくりたい」
そんな課題をお持ちの企業・組織の皆さまは、ぜひ私たちの研修ラインナップをご覧ください。