2020.09.05
マネジメントコラム
部下のやる気を高める「目的意識」という方法
サービス業にとって、部下のやる気を高めるということは、
「居酒屋であれば、もう一品、もう一杯、スタッフが自らすすめる」
「旅館であれば、また利用していただけるように精一杯もてなす」
など、スタッフのやる気によって売上や生産性の向上に直結します。
しかし、この「やる気スイッチ」は部下によって異なり、
なかなか上司からの動機付けが難しいことも事実です。
人のやる気を高めるには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があり、
外発的動機付けは、給料や、処遇、福利厚生、出世といった、外部からの働き掛けや投げかけにより、
やる気を引き出せるものです。
一方で、内発的動機付けは、上司や外部からではなく、本人の内から湧き上がるやる気であり、
達成感、成長感、自己実現感などが挙げられます。
一方で、外発的動機付けは、給料が上がった時のやる気など一時的な効果は上がるかもしれませんが、
暫く経つと、それがあたり前となり、更に上のものを要求するようになります。
従って、スタッフのやる気を高めるには、「内発的動機付け」が有効であり、
部下本人の内から湧き上がるやる気をどう引き出すかがポイントとなります。
その内発的な動機付けの中で、私が重視しているのは「そのスタッフの仕事の目的は何か?」ということです。
つまり、部下本人が「何でこの仕事をしているのか?」ということを理解しているかどうかで、
ただ、「言われた仕事をこなす」のか、「自分の仕事の目的に向かって日々、研鑽するのか」の差を生み出します。
それでは、どうすれば部下の仕事の目的を引き出せるのか?
それは多くの場合「その部下がこの仕事に就いたきっかけ」に隠されています。
ある介護士は、「自分はおじいちゃん、おばあちゃん子で、今は亡くなっていないけど、自分の祖父母だと思ってお世話をしたいと思って…」
あるウェディングプランナーは、「小学校の時に出席した、いとこのお姉ちゃんの結婚式が忘れられなくて…」
ある看護師は、「母が入院した際に、担当してくださった看護師さんに憧れて…」
といった何かしらの理由を持っています。
それを、まずは「聞いてみる」、または「思い出させてみる」ことが重要です。
そして、「自分がこの仕事を通じてどんな人間になりたいか?」を設定します。
あるホテルマンは、「世界中から、あなたに会いにきたと言われるホテルマンになりたい」
ある調理人は、「自分の料理でお客さんを笑顔にできるシェフになりたい」
といった、自分の仕事を通じて自分の目指す姿を設定させることが重要です。
会社には、評価制度に対する目標設定がありますが、
自分が「心から目指す姿を設定する」ケースは少ないように感じています。
自分の内から湧いたエネルギーが最大のエネルギーであり、
「会社からやれと言われた目標」ではなく、「自分のなりたい姿」という目標設定のほうが、
内発的動機付けに繋がり、よほど「やる気」に繋がるのです。
「人生の目的は『貢献』に関係している」
あの心理学者、アルフレッド・アドラーの残した言葉です。
私たちの仕事は、人に貢献することで得られる金銭的な報酬と、
顧客からの「ありがとう」といった、精神的な報酬を喜びとして仕事をしています。
これは、ホスピタリティの起源でもある、
「異国から来訪した泊まる場所の無い旅人を、貢献をベースに歓迎、歓待」したということと
同じ意味を持ちます。
これからの時代は、上辺だけの動機付けは通用しません。
「スタッフ自身が働く意味を理解して、自分の人生の中の多くの部分を占める仕事という時間を、
自分の人生の目的の為に主体的に働く」
ことが重要であり、
上司は、「自分たちは、なぜ、この仕事をしているのか?」
「自分たちは顧客の何に貢献しているのか?」
「こんなに素晴らしい仕事は他にはない!」
ということを日々、部下に熱く語ることが、
部下の仕事のやりがいや誇りに繋がり、
一番の部下のやる気を高める施策になり得ます。
ザ・ホスピタリティチームでは、
普段、会社では話し合わない、仕事の目的や、組織のミッションについて
ホスピタリティ・ワークショップを通じて提供しています。
スタッフのやる気を高めて生産性を上げる一助になれれば幸いです。
興味のある方は、お気軽にお問合せください。
ホスピタリティ経営・コンサルティング・セミナー・講演のことなら
ザ・ホスピタリティーチーム
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