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2025.06.14

マネジメントコラム

組織を成果に導く「関係の質」という起点

組織運営において、多くのリーダーが最初に目指すのは「成果を出すこと」です。

当然、経営とは結果がすべてであり、数字を求めることは正しい姿勢です。

 

しかし現実には、「結果を出したい」と強く願っているのに、空回りしてしまうチームが少なくありません。

むしろ、成果を焦るあまり、人間関係が崩れ、逆に結果が遠のくというケースが多く見られます。

 

私自身、これまで数多くの企業や組織の現場に関わってきましたが、成果が出ない組織にはある共通点があります。

 

それは、「関係の質」が低下しているということです。

 

上司と部下の信頼が失われている、部署間に壁がある、経営陣と現場に距離がある——

こうした状態では、どれだけ戦略や制度が整っていても、人は動きません。

 

だからこそ私は、組織の立て直しにおいて、最初に取り組むのは「関係の質」の向上なのです。

 

組織を良くしたいとき、多くのリーダーが「行動を変えよう」「仕組みを変えよう」とします。

しかし、そうしたアプローチだけでは、組織は本質的には変わりません。

なぜなら、人の行動や発想は「関係性」の中で決まるからです。

 

このことを明快に整理しているのが、MIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キム氏が提唱する

「組織の成功循環モデル」です。

このモデルでは、成果(結果の質)を高めたいなら、まず“関係の質”に目を向けなさいというメッセージが明示されています。

モデルは以下の四つの要素から構成され、下図のように矢印のように循環します

 

 

① 関係の質

メンバー同士が、ホスピタリティをベースに相手への尊重・思いやり・気遣いをもって関わり、

コミュニケーションが活性化することにより、信頼関係が構築されている状態。

ここが乱れると、どれだけ立派な戦略も、人は動かなくなります。

逆に、関係性が良好だと、「このチームのために頑張ろう」という空気が自然と生まれます。

 

② 思考の質

良好な関係の中では、メンバーが安心して前向きな気持ちで仕事に向き合えます。

その結果、前向きな発想・創造的なアイデアが生まれ、不毛な人間関係のストレスも減少。

本来注力すべき「顧客志向」「目的達成」への意識が高まります。

 

③ 行動の質

前向きな思考は、やがて具体的な行動の変化となって表れます。

「やらされ感」ではなく、自分から動くメンバーが増え、自発的で、心からのサービス提供が行われるようになります。

この段階で、組織内の空気は明らかに変わってきます。

 

④ 結果の質

そして最終的に、こうした行動が積み重なった先に得られるのが、「成果=結果の質」です。

顧客満足度の向上、リピート率の上昇、売上の増加、離職率の低下といった目に見える成果が生まれてくるのです。

 

このモデルの本質は、「結果」を出そうとして「結果から入る」のではなく、

「関係」から始めることこそが、最も再現性の高い成功法則であるという点です。

 

制度や数値目標だけで人が動く時代は、すでに終わりを迎えています。

いま必要なのは、「人を大切にする」という人間性に根ざしたアプローチです。

 

とはいえ、現場のリーダーの多くは、「責任感」から結果を強く求めてしまう傾向があります。

売上、利益、KPI…求められる数字が明確であるほど、

ついメンバーに「もっと頑張ってほしい」と期待をかけてしまう。

 

しかし、それが結果ばかりを追いかけるマネジメントになってしまうと、

メンバーたちは「数字しか見られていない」と感じ、徐々に疲弊していくのです。

 

特に、人手不足の現場では「人が足りないのに、結果だけ求められる」というプレッシャーが、

現場の関係性を悪化させ、不必要な離職を生む原因になっています。

 

だからこそ、こういうときにこそリーダーが意識すべきなのは、

「このチームで働けてよかった」「仲間と一緒に頑張れることが嬉しい」と感じられるような、

信頼関係と安心感のある土壌づくりです。

 

まずは、「関係の質」を整える。

その上にこそ、自発性・創造性・成果が積み上がっていくのです。

 

■ 実例:関係性が変われば、成果が変わる

私がサポートしたあるホテルのブライダル部門でも、まさに「関係の質」が成果に直結した事例がありました。

そのホテルには、ブライダル部門と日本料理レストラン部門がありました。

本来なら、結納や顔合わせといったブライダル関連の食事には、風情のあるレストランが最適なはずです。

にもかかわらず、プランナーたちはあえてそのレストランを勧めず、窓のない宴会場を使っていたのです。

 

私が「なぜですか?」と尋ねると、返ってきた答えは、「レストランを紹介しても、私たちの実績にはならないから」

というものでした。

つまり、部門同士の「成果の取り合い」が、協力関係を壊していたのです。

 

そこで、館内案内の際にはレストランの魅力も必ず紹介するというルールを設け、全員で徹底しました。

すると少しずつ、レストランでの顔合わせや結納の予約が入るようになり、

レストランのスタッフも喜んで協力してくれるようになりました。

結果、ホテル全体の売上が大きく伸びるという成果につながったのです。

 

まさに、「関係の質」が変われば「思考の質」が変わり、「行動の質」が変わり、

そして「結果の質」が変わった事例でした。

 

このように、成果が出ないときに原因を探ると、

その根っこにはほぼ例外なく「関係の質の低下」があると私は実感しています。

 

■ ホスピタリティが「関係の質」を底上げする

それでは、どうすれば関係の質を高めることができるのでしょうか?

 

その最も効果的なアプローチこそが、ホスピタリティです。

ホスピタリティとは、「相手の立場に立って考え、心の栄養を満たす行動」。

これは単なる接客スキルではなく、「人と人との信頼を築く土台となる力」です。

 

実際に私が現場で見てきた中でも、成果を出す組織には必ず、「人を大切にする空気」が流れているのが共通点でした。

その空気は、制度やマニュアルでつくれるものではなく、日々のふるまいや姿勢の積み重ねから生まれるものです。

 

だからこそ、リーダーが率先して、ホスピタリティの姿勢を大切にする。

それが、チーム全体の「関係の質」を底上げし、前向きな思考や自発的な行動を引き出す源になるのです。

 

■ 成果の裏側には、必ず「人のつながり」がある

「成果」は数字として見えますが、「関係の質」は数字では測れません。

それでも、成果の裏には、必ず「人のつながり」がある。

それが見えないうちは、どれだけ行動目標を立てても、空回りするだけです。

 

だからこそ、これからのリーダーには、「数字の先にある関係性」に目を向け、

人の気持ちに働きかける力=ホスピタリティを持つことが求められています。

 

組織を本当に変えたいなら、最初に手をつけるべきは「関係の質」なのです。

 

ザ・ホスピタリティチームでは組織づくり、チームビルディング、心理的安全性向上、

リーダーシップ、ホスピタリティに関する研修、コンサルティングのサービスを提供しておりますので、

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