2024.09.21
マネジメントコラム
社員が採用できない!すぐに辞める!「働きたくなる職場の条件」 ~ 3つのステップで人で困らない職場をつくる ~
「求人サイトで人を募集をしても、申込者がゼロ」
「社員は、辞めるばかりで現場は疲弊するのみ」
サービス業の経営者や現場からは人員不足を打破できない悲痛の叫びが聞こえてきます。
日本の特権であった「終身雇用」「年功序列」も終息を迎えた現代において、
転職を促すテレビCMも後を絶ちません。
これから更に進む少子高齢化も考慮しながら、
「ロボットやテクノロジーで省人化を図る」
「外国人就労者を採用する」
など、手は尽くしていますが追いついていないのが現状です。
そもそも、サービス業にとっては労働生産性の割合が高く、
テクノロジーで省人化を図ったとしても、最終的には「ヒト」、
その企業、職場に「魅力を感じて、働きたい」と思ってもらえる、
「ずっと、ここで働いていたい」と思ってもらえる企業、職場を作ることが重要です。
それでは、どようにすれば社員が辞めず、人が採用できる「働きたくなる職場」をつくることができるのでしょうか?
それには、求人媒体の選定や処遇、福利厚生の内容を考える前に、
「どうしたら働きたくなる職場になるか」を考えることが先決であり、
現状を打破する次の以下の3つのステップが必要になります。
STEP1.職場内の関係の質を高める
まず最初のステップは社内、職場内の「関係の質」を高めるということです。
真の退職理由のトップは何といっても「人間関係」による退職です。
「上司部下との関係」
「社員同士の関係」
「職場の雰囲気」
などでうまくいっていない時、誰もが転職を考えるようになります。
したがって、仕事内容というよりも人間関係で人は辞めていくケースが多いという現実をまずは受け止めることが重要です。
私がサポートさせていただいているある企業では、「社員の笑顔なくして、お客様の笑顔はない!」をコンセプトに、
「ホスピタリティ」の社内の共通価値化を図り、社員同士の「心を満たし合う」声がけ、
「お互いの想いやりや気遣い」を組織にインストールしたところ、社内の関係の質が上がり、
職場の心理的安全性も高まり、離職率が大きく低下しました。
このように、人生の多くの時間を費やす「仕事」において、「楽しく働きたい」という想いは誰もが持っています。
この想いに応えるべく、社内でホスピタリティを共通価値化することは効果的であり、
求職者が企業訪問の際に、人事担当者の対応だけではなく、職場の雰囲気もチェックされていることを忘れてはいけません。
先日も、ある大手ホテルの内定を蹴って、中堅ホテルに就職しいたの新卒者に、
「何故、このホテルを選んだのですか?」と聞いたところ、
会社訪問をした際に、「このホテルが笑顔で働いている人が多かった」、
「温かい空気がロビーに流れていた」という理由を教えてくれました。
このように職場の雰囲気は、そこで働く社員にとっても、求職者にとっても重要なのです。
STEP2.給料よりもビジョンを示す
「給料が高い」「休みが多い」「福利厚生がある」。
求人をする上でこのような要素は大切ですが、このような採用戦略に傾倒すると、
「競合他社よりも1円でも高く」といった初任給競争に陥り、
今いる社員よりも、新入社員のほうが給料を高くしないといけなくなる等の、
現状の制度との矛盾が生じてしまいます。
しかし、原資が限られた中で際限なく給与を上げることは不可能であり、
企業サイドは「金銭的報酬」にばかり目を向けずに、「精神的報酬」に目を向けるべきです。
その中でも、その企業の持つ「ミッション」や「理念」といった、企業の未来を示す「ビジョン」は、
求職者の共感を生み、働きたくなる大きな動機付けとなります。
ある地方の企業で、自動車販売の代理店や飲食店のフランチャイズなど多様な業種を手掛けていある企業があり、
新卒採用を強化しましたが、なかなか結果が出ませんでした。
そこで、多様な業種を手掛けているということを強みに「街づくり」という採用コンセプトを策定し、
求人広告も「私たちと一緒にこの故郷の街づくりをしませんか?」という求人に変えたところ、
故郷にUターンする学生の心に響き、通常の2倍の採用を得ることができました。
また、ある介護施設に美容師を派遣し、入居者に理美容のサービスを提供している会社では、
その企業のミッションである「人生を最後まで楽しめる社会をつくる」といった、
理美容サービスという視点ではなく、社会課題の解決に向けた事業であることをアピールして、
求職者の「共感」「使命感」を生み、優秀な人材の獲得に成功しています。
このように、単に「給料が高い、安い」「休みが多い、少ない」で採用戦略を考えるのではなく、
自社の独自性のあるビジョンを打ち出し、「この指止まれ」で採用したほうが効果的であり、
それで採用された社員は、「給与」や「福利厚生」だけに魅力を感じて採用された社員よりも、
帰属意識、エンゲージメントも高く、長く勤めてもらえることは明らかです。
知名度がある大企業に人が集まる傾向は顕著であり、中小企業は同じ戦い方はできません。
今いる社員や求職者に、企業のあり方に「共感」をしてもらえるかどうか、
「未来の希望」を感じられるかどうか、
「この仕事に意味・意義」を感じられるかどうかが重要であり、
自社にしかない独自性を発信していくことが重要です。
STEP3.ビジョンを現場浸透させる
職場の関係の質を高めて、自社の独自性の高いビジョンを示したところで、
最後のステップは「ビジョンを現場浸透」させることです。
よくあるのは、採用担当が自社の魅力やビジョンを示し、求職者の共感を得て採用できたにも関わらず、
いざ現場に配属になった際に、現場は自社のあり方を示したミッションや企業理念に則した行動をしていない、
ミッションや企業理念に既存社員が触れることすら無い。
このような事象から採用時に言われた事と、実際の現場とのギャップを感じてしまい早期退職に追い込まれるケースが多発しています。
したがって、採用から職場まで「言っていることと、やっていることの矛盾が無い」、
一気通貫した組織風土をつくることが重要です。
それには、例えば組織風土改革の社内プロジェクトを立ち上げ、
採用担当が求職者に発信する「自社の魅力や独自性」を現場とまずは共有し、
現場サイドが新しく入社する社員が「採用担当者からどのような説明を受けて入社しているのか」を理解することが重要です。
そして採用担当者も、その掲げる理想と現場で抱える課題を理解しながら、
これから優秀な人材を獲得する為には「どのような組織づくりが必要なのか?」
「ビジョンに則した行動を、既存社員がどうしたら現場で体現できるようになるのか」
を採用担当者と現場が一緒に考え、組織の目指す「あるべき姿」を実現する為の施策をプロジェクトチームで発案し、
全社で実行していくことで「ビジョン」の社内浸透が推進されるようになります。
これによって採用担当者は、現場の対応に不安を感じることなく胸を張って、求職者に自社のビジョンをアピールすることができ、
現場サイドも、採用した人材を迎え入れるのに相応しい組織風土に生まれ変わります。
このことは、新しく入ってくる社員だけでなく、既存社員にとっての「やりがい」や「誇り」にも繋がり、
帰属意識の向上、エンゲージメントの向上にも繋がります。
いかがでしたでしょうか?
サービス業の中小企業にとっては、これから「如何に人が採用できるか」「如何に人が辞めないか」は、
企業存続の生命線といっても過言ではありません。
職場の関係の質を高めて心理的安全性の高い職場環境をつくり、
給与や福利厚生のアピールではなく、求職者に共感されるビジョンを示す、
そして、そのビジョンが言っているだけではなく、現場でも体現されている。
このような組織風土改革をすることが重要であり、
逆を言えばこのような改革ができないと、人手不足に苦しみ続ける企業運営をせざるを得ません。
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