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TOPトピックス接客・サービス業におけるDX化の3つ落とし穴 ~ 時代に求められるテクノロジーとホスピタリティの融合 ~

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2024.08.18

マネジメントコラム

接客・サービス業におけるDX化の3つ落とし穴 ~ 時代に求められるテクノロジーとホスピタリティの融合 ~

 

コロナ禍を機に接客・サービス業は大きな変革の時期を迎えました。

コロナ以前から慢性的な人手不足だったということもあり、

コロナ禍を機に、「人と人が距離を置いたほうが良い」「人と人ができるだけ接触しない、非接触が良い」

といった社会変化に順応する為に接客・サービス業は舵を切りました。

 

具体的には、飲食店ではタッチパネルやQRコードを携帯電話で読み取り、

オーダーテイクは「スタッフ」ではなく、タブレットかスマホに変わりました。

また、配膳に関しても配膳ロボットが料理を運ぶといったことも一般化しつつあります。

 

ホテルもチェックインを人が対応しないホテルも増えており、

自動チェックイン機でチェックインができ、チェックアウトもカードキーをBOXに入れるだけで済むといったスタイルが増えています。

航空会社もチェックインカウンターではなく、自動チェックイン機に予約NOの入力やクレジットカードでチェックインができ、

荷物を預けるカウンターも無人化が増えています。

また、スーパーマーケットをはじめとする小売業も、セルフレジ化が進んでいます。

このように、少子高齢化の進む日本において「深刻化する人手不足」、「サービス業の生産性の改善」

という時代背景もあり、このような「効率化」「省人化」がコロナ禍を機に加速的に進みました。

 

これはこれで人手不足、生産性向上の為には必要なことであり、世の中の変化に対応する上では大切なことではあるのですが、

これによる弊害も生じていることも理解する必要があります。

 

ここでは、DX化、IT、AI化による弊害を3つ挙げさせていただきます。

 

1.効率化とサービス品質のバランス

スーパーをはじめとする小売店のセルフレジ、ホテル等の手続きの自動化が進むにつれて、

スタッフの役割は「積極的に顧客に関わる」というスタンスから「何かあったらサポートする」というスタンスに変わりました。

実際、スーパーマーケットでも、ホテルでも、レジや自動チェックイン機の後ろにスタッフが居て、

何か困っている人がいればサポートするという姿が見られます。

これにより、スーパーのレジやフロントの人員削減ができ、効率化が図れたところはメリットとしては大きいのですが、

スタッフの顧客対応が、すべての顧客に対応する必要が無い為「受け身」となっており、

「必要があれば接客をする」というスタンスに変わってしまいました。

これによって、

・入店しても「いらっしゃいませ」の挨拶が無い。

・呼ばれるまでは、タブレットや事務仕事をしていて、アイコンタクトも無い。

・逆に時間を持て余し、スタッフ同士で雑談に興じている。

などが、以前に比べて増えています。

 

先日は、ある旅館に宿泊した際にドリンクオーダーがタブレットからのオーダーで、

夕食時の美味しい料理に合わせた、日本酒やワインなどのスタッフからのお勧めが無く、寂しい想いをしました。

このような事が「付加価値提供場面の縮小」「サービス品質低下」や「リピート率低下」に影響を与えていることを理解する必要があります。

 

テクノロジーにより効率化によって手が空いた時間を、ホスピタリティの伴った顧客サービスに向けて、

付加価値を上げて、顧客満足度、リピート率アップに繋げる努力が求められます。

 

2.スタッフのやりがいやモチベーションの低下

ふたつ目の落とし穴は、スタッフのやりがいやモチベーションの低下です。

先日、以前に利用した居酒屋に久しぶりに行った際、

以前は、スタッフが笑顔でイキイキと仕事をしている印象的だったのですが、

今回、利用した際にはスタッフの笑顔や活気がすっかり無くなっていました。

その要因のひとつとして考えられるのが、タッチパネルでのオーダーテイクへの変更です。

それまでは、スタッフが顧客からオーダーを取る際に、

「本日のオススメ」についての対話であったり、「常連さんとの何気ない会話」がありましたが、

今はそれが無く、スタッフはタッチパネルから入ったオーダー通りに、料理や飲み物をただ運ぶだけの「運び屋」となっていました。

 

それは「仕事」ではなく「作業化」しており、顧客との会話から生まれる「笑顔」や「ありがとうの言葉」といった、

自己有用感や自己効力感も、テクノロジーによって奪われ「やらされ感」しか感じませんでした。

このような店舗が増えていることも事実としてあります。

そして、効率化によって1店舗あたりの社員数を減らし、社員は店長1名のみ、

あとは全員アルバイトといった店舗運営も当たり前となってきている中で、

店舗の一体感やメンバー全員でやり遂げた達成感のようなものも以前よりも失われています。

 

本来、接客サービス業で働く人の多くは、

「お客様を笑顔にしたい」「お客様に喜んでもらいたい」という動機付けで働いているスタッフが多く、

「お客様からのありがとう」の言葉が自分の精神的満足となり働く意味やモチベーションになっています。

したがって、企業側もDX化を進めるだけでなく、オペレーションの中での「顧客接点のあり方」、

「スタッフのやる気やモチベーション」をどのように高めるかも同時に考える必要があります。

 

3.コモディティ化が進み差別化が困難な状態

成熟化社会である現代はコモディティ化が進んでいます。

コモディティ化とは、商品やサービスの均質化により差別化が難しくなり、価格競争が主な競争要素となる現象です。

これから更に、AIやロボット等のサービスのテクノロジー化が進むと、

接客サービス機会の減少で差別化は困難であり、商品そのものの違いにフォーカスされ、

その違いが分からなければ「価格が安い」「コスパが良い」という理由で消費者は選択することになります。

 

一方で、私たちは「利用する店を人で選んでいる」ということも多々あります。

私自身も、理容店、コンビニ、飲食店、ホテル等で、

「この店の人たちは、みんな親切。」

「この店の人たちは、自分のことを分かってくれている。」

「この店の人たちは、みんな笑顔で気持ちが良い。」

といった「そこで働く人」という要素で店やサービスを選択している人が多いということを忘れてはいけません。

したがって、「人による付加価値」という要素を、どう捉えて差別化していくかという視点が重要であり、

逆にそれが無いと、「商品自体で差別化」をするか、「更に価格を下げるか」の二択になるということを理解する必要があります。

 

いかがでしたでしょうか?

 

DX化をはじめとする効率化、省人化は少子高齢化が進む日本にとって避けられない事実です。

しかし、私たちが仕事をする目的は「顧客の喜びやしあわせに貢献することで得られる自分自身の喜びやしあわせ」です。

そして、これからの働く意味も「お金視点」からウェルビーイングをはじめとする「しあわせ視点」に移り変わってきています。

この中で、安易に「人がいないから」「人件費が抑えられるから」という理由で「オーダーはタブレットにしよう」「セルフレジにしよう」といった視点だけではなく、

そこで働くスタッフの気持ち、お客様の気持ちを考え、「テクノロジー」と「ホスピタリティ」をどのように融合させるかが重要な時代となります。

 

その上でテクノロジーの導入に加えて、人が提供する付加価値を高める「ホスピタリティ」を顧客サービスにどう活かすかは重要なファクターとなることは間違いありません。

ザ・ホスピタリティチーム(株)では、接客・サービスに関するコンサルティング、研修、講演のサービスを提供しておりますのでお気軽にご相談ください。

 

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