2025.06.23
マネジメントコラム
成果を出し続ける組織づくり・チームビルディングとは? ― ホスピタリティを組織運営で活かす3つの効果 ―
短期的な成果は、キャンペーンや値引きなどにより容易にできるかもしれません。
しかし、持続可能な成果を出し続けるためには、企業運営の土台である組織の在り方が大きな影響を与えます。
その上で、「ホスピタリティ』という考え方を組織運営に活かすというマネジメントが注目を集めています。
ホスピタリティとういえば、顧客への『おもてなし』をイメージしがちですが、
実は、それにとどまらず、組織の重要な『核』とした共通価値とすることで、
持続可能な成果を出し続ける組織に生まれ変わるのです。
本コラムでは、成果を出し続ける組織となる為に、
ホスピタリティを組織運営に活かす3つの効果について解説をさせていだだきます。
■ 効果① ホスピタリティは「関係の質」を高める
ホスピタリティに満ちた職場では、日常の何気ない声かけや「ありがとう」の一言が、メンバー同士の信頼と共感を育みます。
これにより、互いの状況や意図を深く理解し合える “関係の質” が飛躍的に向上します。
例えば、困っている仲間にさっと手を貸したり、小さな成功に真摯に拍手を送ったりする行動が習慣化すると、
情報共有が自然に増え、
課題解決に向けて手を取り合う雰囲気が醸成され、
部署や役職の壁を越えた協力体制が強化されます。
こうした高い関係性は、チームの「何をすべきか」を超えて「どう協力し合うか」を明確にし、結果として生産性と成果を安定的に押し上げる原動力となるのです。
■ 効果② ホスピタリティは「仕事の喜び」そのもの
ホスピタリティのもうひとつの大きな効果は、仕事のやりがいや喜びを生み出す力です。
研修などで「あなたにとって仕事の喜びとは?」と尋ねると、印象的なエピソードがたくさん返ってきます。
ある介護福祉士は、「寝たきりだった利用者様が自分でご飯を食べられるようになったとき」
ある自動車販売会社の部長は、「新人が初めて一人で車を販売できたとき」
ある人事スタッフは、「自分が採用した新入社員が、現場で活躍している姿を見たとき」
これらに共通しているのは何か?
それは、「誰かの喜びやしあわせに貢献できたとき、自分の喜びになる」ということです。
これこそが、ホスピタリティの本質である「相手の喜びが自分の喜びになる」という感覚です。
この感覚は、脳科学の視点でも説明がつきます。
私たちの脳には「ミラーニューロン」と呼ばれる仕組みがあり、他人の感情や行動をまるで自分のことのように感じ取る性質があります。
だからこそ、人の笑顔や感謝が、自分の喜びやモチベーションになるのです。
私自身も、ホテルのフロントスタッフとして働いていた頃、仕事が単調でつまらないと感じていた時期がありました。
そんな時、ある本に書いてあった「正しい命の使い方」という考えに出会いました。
その本の中で、「仕事とは世の中のために使う時間」だと知り、衝撃を受けました。
それまでは、給料のため、自分の生活のために働いていましたが、
「この仕事は社会にどんな貢献をしているのか?」と自問した時、胸を張れない自分がいたのです。
そこで、宿泊に来るお客様のために何ができるかを考え、観光案内や地元の飲食店紹介など、
自ら積極的に声をかけるようにしたのです。
すると、ある変化が現れました。
それはお客様からの「ありがとう」という言葉が圧倒的に増えたのです。
それから、もっとお客様に喜んでいただくために何ができるのかを追求するようになり、
自分自身の仕事に対する誇りや喜びが大きくなっていきました。
基本的に面白い仕事というのはあまりありません。
どの仕事も単調だったり、毎日同じことの繰り返しと感じられることが多いのです。
しかし、仕事にホスピタリティを取り入れることで、仕事にこだわりが持て、楽しくなるのです。
ホスピタリティは、決して“消耗”ではありません。
人に与えることが、結果的に自分の心を満たす循環となって返ってくるのです。
■ 効果③ ホスピタリティは“付加価値”を生み出す
ホスピタリティの三つ目の効果は、等価価値(満足)を超えた付加価値(感動)の提供です。
近年、飲食店ではタッチパネルによる注文、配膳ロボットの導入、ホテルでは自動チェックイン機の普及など、
あらゆる業種でテクノロジーによる省人化が進んでいます。
こうした流れの中で、人が担うべき仕事は何か?
それこそが「ホスピタリティ」です。
つまり、人にしかできない“ぬくもり”のある価値提供こそが、差別化の鍵なのです。
お客様が「ありがとう」と心から思ってくれる瞬間。
思いがけない気遣いに、感動してSNSで拡散してくれるような瞬間。
これらはマニュアルには載っていません。
そして、こうした付加価値のあるサービスは、価格競争から脱却し、高単価でも選ばれるブランドへと導いてくれます。
つまり、ホスピタリティは、組織の収益性・競争力を高める「戦略的資産」でもあるのです。
■ そして、ホスピタリティは「マネジメントの質」で育つ
ホスピタリティは“やりなさい”と言って身につくものではありません。
それは「相手の喜びが、自分の喜びになる」という、心の動きから生まれるものだからです。
だからこそ、リーダーの関わり方が重要です。
部下に「ちゃんとやれ」と命令するのではなく、
「あなたのその行動が誰かの力になっている」と伝え、意味や価値を感じてもらう関わりが必要です。
このような関わりの中で、「もっと相手を笑顔にしたい」と思える内発的な動機が育ち、
ホスピタリティは「行動」として現れてくるのです。
つまり、ホスピタリティを育てるには、
ギスギスした上下関係ではなく、共感に基づく関係性=インナー・ホスピタリティが欠かせません。
組織全体が、人を責めるよりも支える空気で満たされていれば、
社員一人ひとりが「自分の意思」で動き始め、
その行動が結果的に、お客様や仲間の喜びへとつながっていくのです。
ホスピタリティは単なる「おもてなし」ではなく、人と人とをつなぎ、
チームを進化させる“組織の土台”なのです。
ザ・ホスピタリティチーム株式会社では、組織づくり、チームビルディング、ホスピタリティに関する、
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