小売・飲食業で求められる「顧客満足度を高める接客4つの基準」

2025.10.10

小売・飲食業で求められる「顧客満足度を高める接客4つの基準」

ホスピタリティコラム

いま、小売業や飲食業の現場は大きく変化しています。
スマートフォン一つで欲しいものが届く時代。
飲食店でも、タッチパネルで注文し、猫型ロボットが料理を運ぶ光景は、もはや珍しくありません。

少子高齢化による労働人口の減少を考えれば、効率化や自動化は当然の流れです。
しかし、その一方で「接客の意味とは何か?」が改めて問われる時代でもあります。

私は、この問いに対して明確にこう答えます。
接客の意味とは、“お客様の心を満たすこと”です。

ただお客様がレジに持ってきた商品を精算するだけであれば、接客は必要ありません。
オーダーを受ける、料理を運ぶだけならAIやロボットで十分にその機能を果たします。
だからこそ、人にしかできない“心を満たすホスピタリティ”こそが、接客の付加価値なのです。
それを磨かなければ、接客という仕事の存在意義そのものが失われてしまいます。

 

■ ストローク理論 ― 接客を通して心を満たす技術

では、どうすれば接客を通じてお客様の心を満たすことができるのでしょうか。
そのヒントが、心理学の交流分析における「ストローク理論」にあります。

ストロークとは、人の言葉・行動・態度によって相手の存在を認め、心を満たすことを意味します。

たとえば――

相手の目を見て話す、笑顔を向ける、「ありがとうございます」と伝える。
こうした一つひとつの行動が“ストローク”であり、相手に「自分は大切にされている」と感じさせる働きを持っています。

つまり、ストロークを意識した接客は、単なる「作業」ではなく、「心の交流」を生み出します。
それがお客様の満足度やリピートにつながるのです。

特に、小売・飲食業は一人のお客様と関わる時間が短いからこそ、一瞬で心を動かす力が求められます。
その瞬発的なホスピタリティこそが、AIにはできない“人間らしさ”の表現なのです。

 

 

■ 顧客満足度を高める4つのストローク行動

① 笑顔 ― 第一印象を決める最大の武器

お客様と向き合った最初の瞬間に、笑顔があるかどうか。
それだけで印象は大きく変わります。
笑顔は「あなたを歓迎しています」という無言のメッセージです。

特に、マスクをつけた接客が一般的になった今は、表情が伝わりにくくなっています。
だからこそ、マスク越しでも伝わる“満面の笑み”と、声のトーンを上げた“笑声”が大切です。
声の明るさは、空気をやわらげ、心の距離を縮めるストロークになります。

② 挨拶 ― 最初と最後の言葉に心を込める

ファーストコンタクトの「いらっしゃいませ」、
お見送りの「ありがとうございました」。
この二つの挨拶には、お客様の印象を左右する大きな力があります。

さらに、お待たせしたお客様には「大変お待たせいたしました」の一言を添える。
帰り際には「またお待ちしております」「お気をつけてお帰りください」といったプラスアルファの声かけをする。
これらのストロークがあるかどうかで、接客の温度はまるで違います。

挨拶とは、単なるルールではなく「あなたに関心を持っています」という表現。
一言に“心”がこもっているかどうかが、顧客満足度を左右するのです。

③ 丁寧な受け渡し ― 手の動きに心は宿る

商品を扱う手の動きは、言葉以上に気持ちを伝えます。
袋への入れ方、カードの受け取り方、料理の置き方――。
その一つひとつが“丁寧さ”というストロークになります。

お客様は無意識のうちに、スタッフの手元を見ています。
丁寧な手つきは「大切に扱われている」という安心感を生み、
乱雑な動作は「雑に扱われた」と感じさせてしまう。

接客のプロフェッショナルほど、手の動きが美しく整っています。
それは、相手の気持ちを思いやる心が動作に現れているからです。

④ アイコンタクト ― 目は最高のストローク

「目は口ほどにものを言う」という言葉があります。
まさに接客において、目線は最も強力なストロークです。

入店時、レジ対応時、退店時――。
お客様と目を合わせるタイミングは一人あたり最低3回が理想です。
小売店のレジ対応であれば、
①お客様が近づいた瞬間
②商品の受け渡し時
③お見送り時

この3つのアイコンタクトがあるだけで、「丁寧な店員さんだな」という印象が残ります。
逆に、一度も目を合わせないまま終わる接客は、どれだけ言葉を丁寧にしても“心が通わない”のです。

 

 

■ ストロークがある接客が、心を満たす

お客様が満足を感じるのは、「買えた」「食べられた」という機能的な体験ではありません。
「感じが良かった」「気持ちがよかった」といった、心が動く体験です。

その差を生むのが、ストロークの有無。
笑顔で迎えられた、目を見て話してもらえた、
丁寧に商品を渡してくれた、最後に優しい言葉をかけてくれた――。
これらの小さなストロークの積み重ねが、
「また来たい」「このお店が好き」という感情をつくります。

AIやロボットが進化しても、“人が人に接する”価値はなくなりません。
むしろ、その温かさがより一層、求められる時代になっています。

接客とは、相手の心に触れる仕事。

そして、ホスピタリティとは「相手の喜びが自分の喜びになる」という心のあり方。
今日もあなたの笑顔と一言が、お客様の心を満たす最高のストロークになります。

ザ・ホスピタリティチーム㈱では、接客サービス、ホスピタリティに関する研修、

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