「この仕事は自分に合っているのだろうか。」
誰もが一度は、そんな問いを自分に投げかけたことがあるのではないでしょうか。
仕事が思うようにいかない時、人間関係に悩んだ時、あるいは毎日が何となく惰性になっている時、
「もっと自分に向いている仕事があるのではないか」と考えることは決して珍しいことではありません。
私自身も、これまで何度もそう自問してきました。
■「向いている仕事」を探していた私
私は高校、大学では機械工学を専攻していました。
もちろん機械が嫌いだったわけではありませんが、
「これが自分の人生を懸けて取り組みたいことなのか」と言われると、どこか違和感がありました。
そんな私が大きく方向転換するきっかけになったのが、学生時代に経験した旅行会社の添乗員のアルバイトでした。
人と接することの楽しさ。
お客様から「ありがとう」と言っていただける喜び。
誰かの旅の思い出づくりに少しでも関われる充実感。
私はそこで初めて、「人と関わる仕事ってこんなに面白いんだ」と感じたのです。
その経験からホテル業界へ進みました。
正直に言えば、当時から「ホテルマンこそ自分の天職だ」と確信していたわけではありません。
ただ、振り返ると、大きく外れてはいなかったと思っています。
私は昔から、誰とでも自然にコミュニケーションを取ることが比較的得意でした。
相手との関係を築くことが好きで、敵をつくらず、人とのつながりを大切にする性格です。
そうした自分の性格が、サービス業という仕事と少しずつ重なっていったのだと思います。
ドイツの哲学者ショーペンハウアーは、『幸福について』の中で、次のような趣旨の言葉を残しています。
「自分の性格を理解し、自分の人格を育み、自分にふさわしい職業を選び、それを最も有益な形で活用すること。」
私はこの言葉にとても共感しています。
現代風に表現するなら、「WILL・CAN・MUST」を重ねていくことなのかもしれません。
- WILL(自分がやりたいこと)
- CAN(自分ができること)
- MUST(社会や会社から求められること)
この三つが重なれば重なるほど、人は仕事に充実感を覚え、能力も発揮しやすくなります。
しかし、多くの人は最初からこの三つが一致しているわけではありません。
だからこそ私は、「天職は見つけるものではなく、育てるもの」だと思うのです。
■「やりたい」を育てるテーマとの出会い
私自身も、ホテルに入社したことで人生が完成したわけではありません。
その後、「ホスピタリティ」という言葉に出会いました。
ホテル(Hotel)の語源でもある「Hospitality」。
この言葉を知った時、それまで自分が漠然と感じていた「人を喜ばせることの楽しさ」が、一つの哲学としてつながった感覚がありました。
もっと学びたい。
もっと実践したい。
もっと多くの人に伝えたい。
そう思うようになり、ホスピタリティは私にとって仕事のテーマとなり、やがてライフワークへと変わっていきました。
もし、このテーマに出会っていなかったら、今の私はいなかったでしょう。
ここで大切なのは、「ホスピタリティ」という言葉そのものではありません。
誰もが、自分の仕事の中に「探究したくなるテーマ」を持つことです。
例えばサービス業であれば、お客様の笑顔を増やすことかもしれません。
「ありがとう」と言っていただける瞬間を増やすことかもしれません。
部下が成長していく姿を見ることかもしれません。
地域に貢献することかもしれません。
そのテーマが見つかると、仕事は「やらされるもの」ではなく、「自ら追い求めるもの」へと変わっていきます。
私はこれまで多くの現場で研修を行ってきました。
仕事を楽しんでいる人には、ある共通点があります。
それは、「何をするか」よりも、「何のためにするか」が明確だということです。
反対に、「生活のためだから」「会社に言われたから」という理由だけで働いていると、
仕事はどうしても義務になり、やらされ感が強くなります。
もちろん、お金を稼ぐことは大切です。
生活のために働くことも当然です。
しかし、それだけでは人生の大半を占める「仕事」という時間が、ただ耐える時間になってしまいます。
■天職は、仕事の先にあるのではない
もし同じ時間を過ごすのであれば、自分なりのテーマを持ち、
「誰かを笑顔にするにはどうすればいいか」
「もっと喜んでいただくにはどうすればいいか」を追求するほうが、仕事はずっと面白くなるのではないでしょうか。
そして、その追求は必ずお客様の笑顔や感謝の言葉となって返ってきます。
私はこれを、お金では得られない「精神的報酬」だと思っています。
その報酬が、さらに仕事への意欲を生み、成長につながり、また誰かを幸せにする。
ホスピタリティには、そんな好循環を生み出す力があります。
人生の中で、仕事は最も長い時間を費やす活動の一つです。
だからこそ、「この仕事は自分に合っているのか」と問い続けるだけではなく、
「この仕事の中で、自分は何を追求したいのか」を問い続けることが大切なのではないでしょうか。
天職とは、どこかに落ちているものではありません。
目の前の仕事と真剣に向き合い、自分らしいテーマを見つけ、それを育て続けた先に、
初めて「これが私の天職だったのかもしれない」と振り返るものなのだと、私は思っています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
ザ・ホスピタリティチームでは、「ホスピタリティですべての働く人に喜びと誇りを。」を理念に、
企業・団体様向けに「ヒューマンスキル向上ホスピタリティ研修」を実施しています。
研修では、接客技術やコミュニケーションだけではなく、
「何のために働くのか」
「自分は仕事を通じてどんな価値を生み出したいのか」という
My Purpose(マイ・パーパス)を見つめ直すプログラムもご用意しています。
社員一人ひとりが仕事の意味や喜びを見出し、「やらされる仕事」から「自ら挑戦したくなる仕事」へ。
その変化が、主体性や生産性、そして組織全体の活力につながっていきます。
ご興味のある企業・団体様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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