2025.05.23
マネジメントコラム
働く意味の時代変化とホスピタリティの有用性― 変化の時代に問われる“人を活かすマネジメント”とは ―
■ 「働く意味」は大きく変わった
「なぜ人は働くのか?」
この問いに対する答えが、ここ最近で大きく変わってきました。
かつては、「家族を養うため」「生活費を稼ぐため」「老後のために貯金をする」といった“生きるための手段”として仕事がありました。
しかし、いまの若い世代を中心に、「やりがいを感じたい」「社会とつながっていたい」「自分の成長を実感したい」など、
「幸せになるための手段」として仕事を捉える人が増えています。
この価値観の変化には、明確な転換点がありました。
それが、2011年の東日本大震災です。
あの出来事は、日本人にとって「人生とは何か」「働くとは何か」を深く問い直すきっかけとなりました。
「当たり前が当たり前でなくなる」現実を前にして、人々は「本当に大切なこと」を見つめ直したのです。
そして、「ただお金を稼ぐだけでは満たされない」「自分の人生に意味を感じたい」という声が、
各地の職場で少しずつ芽生え始めたのです。
こうした変化は社会全体の構造変化に伴う、本質的な価値観の転換です。
テクノロジーの進化、人手不足、終身雇用の崩壊など、時代の流れによって価値観が大きく揺れ動いている今こそ、
こうした背景を正しく理解した上で、リーダーとしての在り方やマネジメントの手法をアップデートする必要があるのです。
■ 昔のマネジメントが通じない時代
このような価値観のシフトに対し、未だに昔ながらのマネジメントを続けている組織も少なくありません。
・意味の分からない指示・指導・慣行
・辛さに耐えるのが仕事という精神論
・知識の体系化なしで背中を見て学べ
・上司に意見するのはタブー
この変化は単なる流行ではなく、社会全体の構造が大きく変化していることの表れです。
たとえば、働く人々が「どの会社に入るか」よりも「どのように働けるか」を重視するようになり、
企業のブランドや待遇以上に、共感できる目的や、人として尊重される職場環境が選ばれる時代になってきました。
こうした意識の変化に真摯に向き合い、職場のあり方を見直さなければ、
人材は定着せず、魅力的な職場として選ばれることも難しくなっていくでしょう。
■ ホスピタリティが支える「幸せ視点」の働き方
こうした変化に対して、企業やリーダーが持つべき視点こそが、「ホスピタリティ」なのです。
ホスピタリティとは、「相手の心の栄養を満たす行動」。
それはお客様に限ったものではなく、職場の仲間、部下、上司との関係にも当てはまります。
これまでのように、「言われたことをこなす」「上から与えられた目標を追う」というだけでは、社員のやる気は引き出せません。
人は、自分が「大切にされている」「必要とされている」と感じたときに、初めて力を発揮します。
つまり、社内のスタッフ同士のホスピタリティを意味する、インナーホスピタリティのある職場こそが、
幸せ視点の働き方を支える土台なのです。
■ 精神的報酬が離職を防ぐ
「金銭的報酬」だけでは人は定着しない時代に入りました。
では、何が人をとどまらせるのか?
それが、「精神的報酬」です。
例えば──
・上司からの「ありがとう」という言葉
・同僚からの「いつも助かっているよ」という一言
・自分の意見が採用された経験
・チームで目標を達成したときの一体感
・自分の成長が実感できた瞬間
こうした一つひとつが、「この職場にいてよかった」と感じさせてくれるのです。
そしてそれを支えているのが、日々の職場におけるホスピタリティ。
相手を思いやる言動、丁寧な対応、感謝の気持ち。
これらがある職場には、自然と人が集まり、人が辞めずに育っていくのです。
■ 幸せと成果を両立させる職場文化へ
これまでのように、
「成果を出すために厳しく接する」
「数字のために無理をさせる」
といったマネジメントは限界を迎えています。
いま必要なのは、社員の幸せと成果を両立させる職場文化です。
その鍵となるのが、ホスピタリティを組織の中に根付かせること。
社内での「関係の質」を高めることで、社員が自発的に動き、やりがいを持って働ける環境をつくる。
それが、これからのマネジメントに求められる役割なのです。
ザ・ホスピタリティチーム㈱では、組織運営にホスピタリティを活かす研修・コンサルティングのサービスを
提供しておりますのでお気軽にご相談ください。
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