先日、ある方からこんな言葉を聞きました。
「頑張るは、楽しむに勝てない。」
とても印象に残る言葉でした。
確かに、「頑張る」という言葉には、自分を奮い立たせ、努力や忍耐を重ねながら前へ進むというイメージがあります。
責任感を持ち、歯を食いしばり、時には自分を犠牲にしてでも成果を目指す。
その姿勢は決して悪いことではありません。私自身も、努力することの大切さは十分理解しています。
一方、「楽しむ」はどうでしょうか。
時間を忘れ、夢中になり、気が付けば何時間も没頭していた。
そんな経験は、誰にでも一度はあるのではないでしょうか。
では、仕事において生産性を高めるのは、「頑張る」と「楽しむ」のどちらでしょうか。
私は迷わず、「楽しむ」だと思います。
夢中になっている人は、誰かに「頑張れ」と言われなくても、自ら考え、工夫し、挑戦し続けます。
もっと良くしたい。
もっと喜んでもらいたい。
もっと成長したい。
そんな前向きな気持ちが自然と湧いてくるからです。
だからこそ、「頑張る」は「楽しむ」に勝てないのです。
では、どうすれば仕事は「頑張るもの」から「楽しむもの」へ変わるのでしょうか。
私は、その答えがホスピタリティにあると考えています。
■「頑張る」だけでは長続きしない
日本では昔から、「努力は美徳」と言われてきました。
「頑張れば報われる。」
そんな価値観の中で、多くの人が努力を重ね、日本は大きく発展してきました。
しかし現代はどうでしょうか。
VUCA時代と言われるように、先行きが見えず、社会環境も大きく変化しています。
どれだけ努力しても、思うような成果につながらないこともあります。
すると人は、「もっと頑張らなければ」と自分を追い込みます。
しかし、「頑張る」だけを原動力にしていると、いつか疲れてしまいます。
仕事が苦しくなり、笑顔が減り、余裕も失ってしまいます。
だからこそ、これからの時代は「頑張る力」だけではなく、「楽しむ力」が必要なのです。
■登山を楽しむ人は、山頂だけを見ていない
仕事を登山に例えてみると、
登山の目的は山頂へたどり着くことです。
しかし、登山を心から楽しんでいる人は、山頂だけを見て歩いているわけではありません。
道端に咲く小さな花。
澄んだ小川のせせらぎ。
鳥のさえずり。
木漏れ日や心地よい風。
自然が見せてくれる一つひとつの景色を味わいながら、「今日も素晴らしい時間をありがとう」と、その恵みに感謝しています。
だから山頂に着いたときの達成感はもちろんですが、登っている時間そのものが楽しいのです。
一方で、山頂だけを目指して歩く人はどうでしょうか。
「まだ着かない。」
「あとどれくらいだろう。」
「早く終わってほしい。」
そんな気持ちで歩いていたら、美しい景色にも気づかず、苦しかった思い出だけが残ってしまうかもしれません。
私は、仕事も同じだと思うのです。
売上、評価、昇進、目標達成。
もちろん、それらは大切です。
しかし、それだけを見て働いていると、「まだ目標に届かない」「もっと頑張らなければ」と苦しさばかりが積み重なります。
その一方で、お客様からいただいた「ありがとう」。
仲間と笑い合えた時間。
後輩の成長。
仕事を通して得られた学び。
そんな日々の小さな喜びや感謝を見落としてはいないでしょうか。
仕事とは、ゴールだけを目指す競争ではありません。
毎日の出来事や出会いを味わいながら、自分自身も成長していく旅です。
ホスピタリティは、その旅を豊かにしてくれる心の在り方なのだと思います。
■ホスピタリティは、人の喜びを自分の喜びに変える力
私はホスピタリティを、「相手の幸せや喜びに貢献しようとする姿勢」と定義しています。
そして、もう一つ大切なのが、相手の喜びを自分自身の喜びとして感じられることです。
お客様が笑顔になった。
「ありがとう」と言っていただけた。
困っていた同僚の力になれた。
後輩が成長し、自信を持って仕事ができるようになった。
そんな瞬間に、自分までうれしくなる。
これがホスピタリティです。
つまり、仕事の楽しさを「売上」や「評価」だけに求めるのではなく、「誰かの役に立てた」という実感に求めるのです。
すると、仕事には毎日のように喜びが生まれます。
だから仕事が楽しくなるのです。
■楽しいから、生産性は高まる
多くの人は、
「成果が出れば楽しくなる。」
と考えています。
しかし私は、その順番ではないと思っています。
楽しいから、成果が出る。
近年の幸福学でも、「幸せな人ほど創造性や生産性が高く、成果を出しやすい」という研究結果が数多く報告されています。
楽しんでいる人は、自分から動きます。
もっと工夫したくなります。
もっと学びたくなります。
もっと挑戦したくなります。
そして、お客様や仲間のために「もう一歩」を自然と踏み出します。
その積み重ねがサービスの質を高め、チームワークを高め、結果として生産性や業績向上につながっていくのです。
つまり、「楽しむこと」は決して甘えではありません。
これからの時代における、大きな競争力なのです。
■ホスピタリティは、自分自身も幸せにする
ホスピタリティというと、「人のために尽くすこと」と思われることがあります。
しかし、本当のホスピタリティは少し違います。
相手を喜ばせることで、自分自身も喜びを感じる。
だから続けられる。
だから無理をしなくても自然に笑顔になれる。
だから仕事が楽しくなる。
私はこれまでホテル業界をはじめ、さまざまな企業で研修を行ってきました。
長く活躍し続ける人ほど、「誰かの役に立てたこと」に喜びを感じています。
仕事を楽しんでいる人は、仕事が楽な人ではありません。
人の喜びを、自分の喜びに変えられる人なのです。
■「楽しむ人」が組織を強くする
仕事を楽しむ人が増えると、職場には笑顔が増えます。
笑顔が増えると会話が増えます。
会話が増えると信頼関係が生まれます。
信頼関係が生まれると、挑戦や助け合いが増えます。
その結果、主体性が高まり、生産性も向上していきます。
つまり、「楽しむ」は個人の問題ではなく、組織づくりそのものなのです。
AIやDXが進化し、多くの仕事が効率化される時代だからこそ、人にしか生み出せない価値が、ますます重要になります。
それは、人を思いやること。
人を笑顔にすること。
人の可能性を引き出すこと。
そして、人の喜びを自分の喜びに変えられること。
私は、それこそがホスピタリティの本質だと思っています。
これからの時代は、「どれだけ頑張ったか」を競う時代ではありません。
「どれだけ仕事を楽しみ、周りに喜びを広げられるか」が問われる時代です。
仕事は生活のためだけにするものではありません。
人生の多くの時間を過ごす、大切な時間です。
だからこそ、その時間を「頑張るだけの時間」にするのではなく、「楽しめる時間」に変えていきたい。
ホスピタリティとは、人を幸せにする力であると同時に、自分自身の働く喜びを育てる力でもあります。
仕事を楽しむ人が増えれば、働く人は幸せになり、組織は強くなり、その先にはお客様の笑顔と企業の成長があります。
これからの時代は、「頑張る」から「楽しむ」へ。
ホスピタリティを土台に、働く喜びと生産性の両立を目指していきたいものです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
弊社では、こうした「仕事を楽しむ組織づくり」を実現するために、ホスピタリティを軸とした「ホスピタリティチーム構築研修」と、
一人ひとりの主体性や傾聴力、承認力、心理的安全性、コミュニケーション力を高める「ヒューマンスキル向上ホスピタリティ研修」を実施しております。
知識やスキルだけではなく、人と人との信頼関係を育み、「働く喜び」と「組織成果」を両立できる組織づくりをご支援しています。
AIやDXが急速に進化する時代だからこそ、最後に企業の価値を決めるのは「人」です。
仕事を頑張る人を増やすのではなく、仕事を楽しめる人を増やす。
その積み重ねが、働く人の幸福度を高め、企業の生産性を高め、持続的な成長へとつながっていくと、私は信じています。
ホスピタリティを土台とした組織づくりにご興味がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
ホスピタリティですべての働く人に喜びと誇りを。
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