ホスピタリティは、日本語に訳すと「おもてなし」。
例えば、大切な人があなたの家に泊まりにくるとき、あなたは何をしますか?
研修でこの質問をすると、
「部屋を掃除する」「布団を用意する」「ご馳走をつくる」──
そんな答えがたくさん返ってきます。
でも、よく考えてみると、これらの行動は相手から頼まれたわけではありません。
それでも私たちは、相手が喜ぶことを考え、行動に移します。
なぜでしょうか?
それは、相手が喜ぶ姿を見たいから。
その笑顔を見た瞬間に、自分の心もあたたかく満たされるからです。
つまり、相手が喜ぶことが、自分の喜びになる。
これは、人間にしか与えられていない感情です。
言い換えれば、相手を幸せにしようとする行動が、自分自身の幸福度を高めているのです。
では、なぜ私たちは「相手が喜ぶこと」をすると、しあわせを感じるのでしょうか?
実は、私たちの脳は“よくできている”のです。
「自分がいいことをした!」と感じた瞬間に、
ドーパミン・オキシトシン・セロトニンという3つの“幸福ホルモン”が分泌されます。
この3つが、まさに「仕事のやりがい」や「喜び」を感じる源なのです。
■ドーパミン:達成や貢献による“よし、やった!”の快感
ドーパミンは、目標を達成したときや、誰かに喜ばれたときに分泌されるホルモンです。
たとえば、お客様から「あなたがいてくれてよかった」と言われた瞬間。
「また頑張ろう!」というエネルギーが湧き上がります。
この高揚感はまさに、ホスピタリティによって誰かの役に立てた喜びの証。
「ありがとう」が、脳のごほうびになっているのです。
■オキシトシン:人とのつながりがもたらす安心感
次に、オキシトシン。
これは“絆ホルモン”とも呼ばれ、人との信頼関係や親切な行動によって分泌されます。
笑顔で挨拶を交わす、相手の話を丁寧に聴く、困っている人を助ける──
こうした温かな行為をすると、オキシトシンが働き、心に安らぎを与えます。
つまり、「人のためにしたこと」が、めぐりめぐって自分を癒やしてくれるのです。
■セロトニン:穏やかさと満ち足りた幸福感
そして、セロトニン。
これは“安定のホルモン”とも呼ばれ、感謝や思いやりの気持ちを持ったときに分泌されます。
ホスピタリティの根底には、「相手の幸せを願う心」があります。
それが自分の中のセロトニンを整え、穏やかで満ち足りた心を育ててくれるのです。
■相手の幸せが、自分の幸せをつくる
ホスピタリティとは、「相手のために何かをしてあげること」ではありません。
「相手を思いやることで、自分も幸せになる」考え方です。
つまり、自分が誰かの笑顔のために動けば、その行動が自分の幸福感を高める。
これが“幸福の循環”の原理です。
仕事はときに大変で、思うようにいかない日もあります。
けれど、どんなに小さなことでも「自分が誰かに貢献できた」と感じられる瞬間があれば、
人は再びエネルギーを取り戻します。
それは、報酬や評価では得られない“心の報酬”。
ホスピタリティ思考とは、その心の報酬を感じ取る力でもあるのです。
■ホスピタリティ思考が「仕事の喜び」を育てる
このホスピタリティ思考を仕事に取り入れることで、
「お客様のために」「仲間のために」と行動したその瞬間に、
脳は幸福ホルモンを分泌し、自然とやりがいが高まります。
お客様の笑顔や「ありがとう」という言葉は、
あなたにとっての“精神的な報酬”になります。
自分の心が満たされることで、さらに人を喜ばせたくなる。
この好循環こそが、ホスピタリティの力です。
AIやテクノロジーが進化しても、「人の心を温める仕事」はなくなりません。
むしろ、心の時代だからこそ、人の温度を感じる仕事が求められています。
「今日、自分は誰に“いいこと”をしただろう?」
たとえ小さなことでも、その積み重ねが幸福ホルモンを育て、
仕事のやりがいと喜びを確かなものにしていきます。
ホスピタリティとは、相手を幸せにする力であり、
同時に自分を幸せにする“心の仕組み”でもあるのです。
日々の中でホスピタリティの思考と行動習慣を意識して、
もっと、自分の仕事のやりがいと喜びを高めていきましょう。
ザ・ホスピタリティチーム㈱では、ホスピタリティ、組織づくり、接客サービスに関する研修、コンサルティングの
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