リーダーになりたくてなったわけじゃない ~ホスピタリティ・リーダーシップが教えてくれる、自分らしいリーダーのあり方~

2026.07.15

リーダーになりたくてなったわけじゃない ~ホスピタリティ・リーダーシップが教えてくれる、自分らしいリーダーのあり方~

マネジメントコラム

「リーダーになりたくてなったわけじゃない。」

                                                                                          

これまで数多くの企業で研修を行ってきましたが、

そんな本音を口にするリーダーの方とたくさん出会ってきました。

長年現場で経験を積み、一通りの仕事はできるようになった。

上司の異動や退職をきっかけに、「次は君だ」と言われ、気が付けばリーダーになっていた。

                                                                                          

しかし、人を育てることも、チームをまとめることも教わったことはありません。

「自分にはリーダーとしての才能がないのではないか。」
「プレーヤーとしては自信があったのに、リーダーになるとうまくいかない。」

                                                                                        

そんな悩みを抱えている方は決して少なくありません。

経営学には「ピーターの法則」という有名な考え方があります。

人は現在の仕事で成果を出すと昇進し、やがて自分の能力では十分に力を発揮できない役職に就き、

その役職で昇進が止まるという法則です。

                                                                                       

この考え方だけを聞くと少し厳しく感じますが、私は少し違う見方をしています。

人は役職が変わると能力がなくなるのではありません。

求められる能力が変わるだけなのです。

プレーヤーに求められるのは、自分が成果を出す力。

一方、リーダーに求められるのは、メンバーが成果を出せる環境をつくる力です。

つまり、仕事そのものがまったく違うのです。

                                                                                        

■自分らしいリーダーシップを見つける

リーダーになると、「こうあるべき」という理想像に縛られてしまう人がいます。

・強く引っ張るリーダーにならなければいけない。
・厳しく指導しなければいけない。
・何でも知っていて、何でもできなければいけない。

                                                                                           

しかし、本当にそうでしょうか。

周囲を力強く引っ張る人もリーダーです。

優しく寄り添いながら支える人もリーダーです。

職場を明るくする人も、話をじっくり聴くことが得意な人も、立派なリーダーです。

                                                                                        

大切なのは、誰かの真似をすることではありません。

自分の強みを活かした「自分らしいリーダーシップ」を見つけることです。

無理をして自分を演じ続ければ、いつか苦しくなります。

自然体でいられるリーダーほど、周囲も安心してついていくものです。

                                                                                             

■リーダーの最初の仕事は「関係の質」を高めること

それでは、リーダーになって最初に何をすればよいのでしょうか。

                                                                                        

私は、仕事の知識や管理能力を身につける前に、まず部下との「関係の質」を高めることだと考えています。

私が提唱するホスピタリティ・リーダーシップとは、部下への「目配り・気配り・心配り」を通して、

一人ひとりの心を満たし、心理的安全性を高めるリーダーシップです。

                                                                                         

これは特別な才能ではありません。

誰でも今日から実践できることです。

例えば、目配り。

「昨日は遅くまで残業してくれてありがとう。」

その一言だけで、部下は「ちゃんと見てもらえていた」と感じます。

                                                                                         

次に気配り。

「最近、仕事が増えているみたいだけど大丈夫?何か手伝えることがあったら言ってね。」

部下は、自分を理解しようとしてくれていることに安心感を覚えます。

                                                                                            

そして心配り。

「暑い中、外回りお疲れさま。体調には気を付けてね。」

こうしたちょっとした言葉でも、「自分は大切にされている」と感じるものです。

こうした日々の積み重ねが、心理的安全性を生み出します。

心理的安全性が高まれば、部下は安心して発言し、自分の考えを伝え、挑戦するようになります。

つまり、関係の質が高まることで思考の質が変わり、自発的な行動が生まれ、結果として成果につながるのです。

これは、私が研修でもお伝えしている成功循環モデルそのものです。

                                                                                           

■「無能な部下」は存在しない

もう一つ、リーダーに知っておいてほしいことがあります。

それは、「無能な部下」をつくらないという視点です。

                                                                                                   

最近、「頑張るは楽しむに勝てない」という言葉を耳にすることがあります。

以前は、「苦しい仕事だから給料をもらえる」という考え方が一般的でした。

しかし今は違います。

楽しみながら主体的に働く人ほど、生産性が高いことがさまざまな研究でも明らかになっています。

                                                                                             

それでは、どうすれば部下は仕事を楽しめるのでしょうか。

そのヒントは、一人ひとりの強みを活かした役割をつくることです。

例えば、人と関わることが好きな人には、コミュニケーション係として職場イベントの企画を任せてみる。

数字が得意な人には、データ管理や数値の見える化を担当してもらう。

整理整頓が好きな人には、美化活動や5S推進を任せる。

SNSが得意なら情報発信、新人のお世話が好きなら育成担当など、通常業務以外にも、

その人が貢献できる場はたくさんあります。

                                                                                            

役割を与えることは、仕事を増やすことではありません。

「あなたに期待しているよ」というメッセージを伝えることです。

人は、自分の強みを発揮し、誰かの役に立てたと感じたときに、喜びや誇りを感じます。

そして、その積み重ねが主体性を育み、チーム全体の力を高めていくのです。

                                                                                        

■リーダーは完璧である必要はない

リーダーは何でもできなければいけない。

そう思っている人ほど苦しくなります。

                                                                                          

しかし、本当に目指すべき姿は、完璧なリーダーではありません。

メンバーの強みを信じ、権限を委譲し、それぞれが活躍できる環境をつくるリーダーです。

自分の苦手なことを、得意な部下に任せる。

それは弱さではなく、チームを信じる強さです。

人は役職が変わると能力がなくなるのではありません。

求められる能力が変わるのです。

                                                                                          

そして同じように、部下も能力がないのではありません。

強みを発揮できる役割と、力を発揮できる関わり方が、まだ見つかっていないだけなのです。

リーダーの仕事とは、自分一人で成果を出すことではありません。

一人ひとりの可能性を信じ、その人が安心して力を発揮できる環境をつくること。

それこそが、私が考える「ホスピタリティ・リーダーシップ」の本質です。

                                                                                          

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

リーダーシップは、生まれ持った才能ではなく、日々の関わり方によって育まれる力です。

だからこそ、誰にでも実践でき、誰にでも成長する可能性があります。

                                                                                          

ザ・ホスピタリティチーム株式会社では、管理職・リーダー層を対象とした「ホスピタリティ・リーダーシップ研修」を通じて、

心理的安全性の高い組織づくりや、自発性を引き出すマネジメントを支援しています。

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