2024.10.06
ホスピタリティコラム
おもてなしの達人になる方法 ~気遣いのできる人の3つの共通点~
接客サービス業で働くからには、お客様に「おもてなしができる人」「気遣いができる人」になりたいですよね?
私がホスピタリティコンサルタントとして、
サービス業の様々な現場を見る際に気付くことは、
必ず、各現場に「おもてなしに長けていて、輝いて働いている人が居る」
ということです。
各現場ではたくさんの人が働いており、同じマニュアルで教育を受けているはずなのに、
何故、そのような違いが起こるのでしょうか?
今回のコラムでは、私がこれまで見てきた「おもてなしの達人の3つの共通点」を特別にご紹介させていただきます。
1.小さな「喜び」や「しあわせ」を見つけられる
私の研修でまず、最初のアイスブレイクでする質問のひとつに
「最近、嬉しかったことは何ですか?仕事でも、プライベートでも良いので、お答えください」
という質問をします。
この質問に様々な回答が得られるのですが、意外に多い回答は、
「最近嬉しかったことですかぁ・・・、ありません!」
という回答です。
一方で、おもてなしの達人の共通的な回答は、
「庭の花が昨日までつぼみだったのに、今朝、咲いていて嬉しかったです!」
「家族が、どこも具合が悪くなく健康でいてくれて嬉しいです!」
「この間お客様に、また来るねと言っていただけて嬉しかったです!」
といった回答が得られます。
ここから見えてくるものは、「おもてなしの達人」は、
「目の前で起こる、小さなことにも「喜び」や「しあわせ」を実感している」ということです。
私たちは1日は24時間、1年は365日、時間はみんな平等に与えられています。
この時間をどう過ごすかで、人生の質は変わると私は考えます。
このおもてなしの達人のように、毎日起こる「ちょっとした喜びやしあわせに気付ける人」と、
「何も感じずに、ただ毎日過ごす人」とでは、心の豊かさや幸福度に大きな違いを生み、
相手に対する「もてなし」や「気遣い」にも大きな差を生みます。
おもてなしは、自分の心が満たされていないと相手に対する「思いやり」や「気遣い」は提供できません。
おもてなしの達人は、自分で自分の心を満たし、その心のコップから溢れ出る「思いやり」や「優しさ」「気遣い」を、
お客様に提供することができる人です。
2.「与えられる」ことよりも「与えること」を選択する
アメリカの組織心理学者アダム・グラントは、
人間の行動パターンには3つのタイプがあることを定義しています。
その3つのタイプとは、「ギバー」「テイカー」「マッチャー」です。
○ギバー(Giver)
- ギバーは相手のこと優先し、惜しみなく自分の時間やリソースを提供する。
- 自分が得をするかどうかよりも、周囲の人の利益や成長を重視する傾向がある。
- 仕事の場面では、同僚やチームメンバーに対して助けを求められればすぐに手を差し伸べ、無償でサポートする。
○テイカー(Taker)
- テイカーは相手とのやり取りの中で、自分自身の利益を最優先する。
- リソース(知識、時間、エネルギーなど)を積極的に他者から引き出そうとし、与えるよりも受け取ることにフォーカスする。
- 競争心が強く、他者の成功を脅威と捉え、自分を高く見せたり、他人の成果を横取りすることがある。
○マッチャー(Matcher)
- マッチャーは公平性を重視し、「与えること」と「受け取ること」のバランスを取ろうとする。
- 他者に助けられたら同じようにお返しをし、助けを求められた際には、将来同様の見返りがあることを前提に手を貸す。
- ギブアンドテイクを「等価交換」として捉え、感情よりも取引として行動する。
それぞれのタイプで、このような特徴があります。
この中で「おもてなしの達人」の共通点は、みんな「ギバー」タイプであるということです。
「与えられること」「取引をすること」よりも、「与えること」を選択します。
おもてなしの達人はお客様からの見返りを求めずに、お客様が喜ぶことを自ら与え続けます。
一見、それが「与える=消耗する」、「与える=損をする」と考えがちですが、
実は与えることにより、返報性の法則で、相手から「ありがとう」や「笑顔」といった精神的な報酬をもらい、
自分の心が満たされ、幸福度が増すこととなり、「与えられること」「取引をすること」よりも、
結果的に得るものが多く、「得」をするとに繋がるのです。
3.接客サービスに対する感性のアンテナが高い
おもてなしの達人の共通項、3つ目は接客サービスに対する感性です。
私は研修で、「自分の顧客体験で嬉しかった・不快だったサービスを3分間でたくさん挙げる」
というワークを実施します。
嬉しかったサービスの回答例は、
「この前、洋服を買いに行った際に、前回買った服を覚えていてくれた」
「ホームセンターで買い物をしたら、商品を車まで運んでくれた」
不快なサービスは、
「店員に買った商品を雑に扱われた」
「閉店間際に行ったレストランに行った際、迷惑そうな顔をされた」
など、様々な回答が得られます。
まず、おもてなしの達人の共通点は、顧客体験による嬉しかった・不快だったサービスを3分間で、
10個挙げられるという点です。
このワークでは、少ない人は1個~2個、中には1個も書けないという人も居ます。
すなわち、おもてなしの達人は、普段の生活の中で「接客サービス」に興味を持ち、
アンテナを立てて、自己研鑽を積んでいます。
そして、自分が受けた嬉しかったサービスを、自分の接客の引き出しに入れて「お客様にして差し上げる」。
逆に不快だったサービスは「お客様には絶対しない」ということを積み重ねているのです。
同じ接客サービスを受けても、おもてなしの達人のように「目の前の接客サービスから何か得よう」と毎日積み重ねている人と、
「何も考えずに過ごす人」とでは、おもてなしに差が生まれることは明らかです。
いかがでしたでしょうか?
これらに共通して言えるのは、普段からの自分の思考と行動習慣の影響が大きいということです。
これこそが、私の提唱している「ホスピタリティ思考」です。
ホスピタリティは、相手への尊重や承認、理解をベースとした思いやりや気遣い、配慮を意味します。
そして相手に貢献することが、自分の喜びになる「ギバー」をベースとした考え方となっています。
このホスピタリティ的思考と行動習慣を身に付けることで、「おもてなしの達人」になることができ、
相手からの感謝の言葉やありがとうの言葉を沢山もらえることができるので、
結果的に自分の喜びや幸福度も上がります。
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、おもてなし、ホスピタリティに関する研修・コンサルティングのサービスを
提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
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