「顧客満足度(CS)」と「従業員満足度(ES)」の相関関係~従業員が幸福を実感できるホスピタリティチームをつくる~

2021.10.08

「顧客満足度(CS)」と「従業員満足度(ES)」の相関関係~従業員が幸福を実感できるホスピタリティチームをつくる~

マネジメントコラム

◆働くスタッフの幸福度が、お客様の幸福度に繫がる

「ホスピタリティに溢れた組織」を創ることができれば、必然的に「お客様から熱愛される組織になる」ことを私はよく知っています。

スタッフが一緒に働く上司も仲間も嫌いで、やりがいも感じられずにやらされ感で仕事を
している組織がお客様から熱愛されている例を、私は見たことがありません。

それだけ顧客サービス以前に、「リーダーがどのようなマネジメントをするのか」、そし
「どのような組織を創るか」がカギということです。

そして、上辺ではない、真のお客様の心を満たす接客サービスが求められるこれからの時代、その重要性はさらに増します

 これまでの時代は資本主義思想の中で、売上を上げる、利益を上げる、経費を削減する
といった考えがマネジメントの中心であり、従業員は会社の利益を上げるための労働力と
いう位置づけでした。

 しかし、会社の本来の存在意義であり目的は、「関わるすべての人のしあわせに貢献す
る」ことにほかなりません。

関わるすべての人というのは、お客様だけではなく、スタッフであり、取引先であり、社会全体を意味します。

 特に、「人」がすべての接客・サービス業においては、そこで働くスタッフの幸福度
が、そのスタッフからサービスを受けるお客様の幸福度に繫がっています。

 だからこそ、スタッフが幸福感に満ち溢れキラキラ輝くためのマネジメントが、良い顧
客サービスを提供するための前提条件として不可欠なのです。

 

◆自分の意思で働くメンバーを育てる

 もちろんサービス業である以上、お客様へのおもてなしや厚遇は重要であり、ホスピタ
リティが顧客サービスに果たす役割が大きいことは事実です。

 しかし、ホスピタリティは単なる顧客満足を満たすためのものではありません。

なぜ「ホスピタリティがマネジメントにおいて有益である」かというと、ホスピタリティはス
タッフ自身が「自主的に、自分の意思で働く大きな意味付け」になるからです。

 ホスピタリティは、「他者に貢献することによる自分自身の喜びやしあわせ」を意味し
ます。

つまり、接客・サービス業における自身の仕事の喜びやしあわせは、「お客様に貢
献したときに得られる」ということになります。

「医療サービスを通じて病気の患者様を元気にする」

「飲食サービスを通じて、お客様を笑顔にする」

「住宅販売サービスを通じて、家族の大切な時間を豊かにする」

 これらはすべて、お客様への貢献であり、この貢献によるお客様の笑顔や感謝、喜び
が、私たちの仕事におけるエネルギーの源泉です。

 したがって、ホスピタリティをマネジメントのベースにすることは、本来、スタッフがこの仕事で得たい喜びやしあわせに対して、「自主的に、自分の意思で働く」大きな動機付けになるのです。

 そして、世の中の貢献に大きな意味のある、この接客・サービス業を選んだことは、「各スタッフが
人間として人生を自主的に生きること」にも繫がります。

 だからこそ、リーダーのマネジメントによってスタッフの可能性にフタをしたり、売上至上主義で本来のこの仕事のエネルギー源である「貢献による喜び」を無視したマネジメントをしてほしくな
いのです。

 スタッフが輝くことで、そのスタッフからサービスを受けるお客様が輝き、そんな輝い
た人たちで社会が溢れる。

そんな輝きのある社会を創り上げるキーマンはリーダーであるあなたです。

 この接客・サービス業という仕事に誇りを持ち、輝きのある明日のために、一緒に「ホ
スピタリティチーム」を作っていきましょう。

 

※本コラムは著書「接客・サービス業のリーダーにとって一番大切なこと」(PHP研究所)を再編集して掲載しております。

https://thehospitalityteam.jp/wp/book-release/

 

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