「これからの時代、どんな人が会社から評価されるのだろう?」
「AIがこれだけ進化する中で、自分の仕事はこれからも必要とされるのだろうか?」
そんなことを考えたことはないでしょうか。
生成AIの進化によって、文章をつくる、情報を調べる、資料をまとめる、アイデアを出すなど、
これまで人が時間をかけて行ってきた仕事を、AIが短時間でこなせるようになりました。
もちろん、専門知識やスキルはこれからも重要です。
しかし、知識やスキルだけで人の価値が決まる時代ではなくなってきているように思います。
では、これからの時代に会社から評価され、周囲から必要とされる「人の価値が高い人」とは、どんな人なのでしょうか。
私は、その大きな条件のひとつが、
「自分のためだけではなく、誰かのために働ける人」
だと思っています。
■ 自分の仕事をするだけでは、差がつきにくい時代
例えば、職場に二人の社員がいるとします。
一人は、任された仕事を正確にこなし、自分の仕事が終われば帰る人。
もう一人は、自分の仕事をきちんとこなしながら、周囲にも目を向け、
「何か困っていることはない?」
「私に手伝えることはある?」
と声を掛けられる人。
お客様に対しても、言われたことだけをするのではなく、
「このお客様は、本当は何を求めているのだろう?」
と考え、期待の一歩先まで行動する。
皆さんが上司だったら、どちらの人に大切な仕事を任せたいでしょうか。
どちらの人と一緒に働きたいと思うでしょうか。
仕事をする以上、自分の成果や評価、収入、キャリアを考えることは当然です。
しかし、これからの時代、それだけでは「人としての価値」は高まりにくくなっていくのではないでしょうか。
AIにはできない、人だからこそ生み出せる価値。
そのひとつが、「相手を思い、自分に何ができるかを考え、行動すること」だと思うのです。
■ 「誰かのため」は、自分にも返ってくる
最近、クリス・アンダーソン氏の著書『利他はこうして伝染する』を読みました。
この本では、さまざまな研究や社会実験を通じて、「利他」が人や社会にどのような影響を与えるのかが紹介されています。
「利他」と聞くと、自分を犠牲にして他人に尽くすことをイメージする人もいるかもしれません。
しかし、興味深いのは、利他的な行動は相手のためだけではないということです。
本の中では、他者のためにお金を使った人と、自分のためにお金を使った人を比較する実験などが紹介されています。
その結果から見えてくるのは、
「幸せだから、人のために行動する」だけではなく、「人のために行動することによって、自分自身の幸福感も高まる」
ということです。
つまり、利他は一方通行ではないのです。
誰かの役に立つ。
相手が喜んでくれる。
「ありがとう」と言ってもらえる。
すると自分にも、「役に立てた」「この仕事をしていてよかった」という喜びが生まれる。
そして、その喜びが「また誰かの役に立ちたい」という次の行動につながっていきます。
■ 仕事の「やりがい」は、誰かとの間に生まれる
これは、仕事にもそのまま当てはまると思います。
自分の目標を達成した。
売上が上がった。
給料が上がった。
昇進した。
もちろん、それらも大きな喜びです。
しかし、私たちが仕事をしていて心から「この仕事をしていてよかった」と感じるのは、どんなときでしょうか。
お客様から、
「あなたにお願いしてよかった」
と言われたとき。
部下から、
「相談に乗ってもらえて助かりました」
と言われたとき。
同僚から、
「手伝ってくれてありがとう」
と言われたとき。
そこには、自分一人だけでは得ることのできない喜びがあります。
つまり、仕事のやりがいや幸福感の多くは、「誰かとの関係の中」で生まれているのです。
だから私は、利他的な働き方は、働く人のウェルビーイングを高めるだけでなく、仕事への意味や誇りを生み、
エンゲージメントを高めることにもつながると考えています。
■ 「誰かのため」に動ける人は、結果的に評価される
そして、この働き方は本人の幸福だけで終わりません。
困っている人を自然に助けられる。
部署を越えて協力できる。
お客様の期待を先回りして考えられる。
自分の役割だけに線を引かず、組織全体にとって何が必要かを考えられる。
そんな人が職場にいたら、どうでしょう。
「あの人なら安心して任せられる」
「あの人と一緒に仕事がしたい」
「困ったときには、あの人に相談しよう」
そんな信頼が少しずつ蓄積されていきます。
その結果、より大きな仕事を任され、新しい経験を得て、さらに成長する。
そして、その積み重ねが評価やキャリアにもつながっていく。
一見すると、自分の評価を高めようと「自分のため」に働くほうが近道に見えるかもしれません。
しかし長い目で見れば、誰かのために働ける人ほど、結果として自分にも多くのものが返ってくる。
まさに「情けは人のためならず」です。
■ 利他とホスピタリティ
私は、ホスピタリティを、
「相手に貢献することが、自分自身の喜びになること」
と捉えています。
だから、利他とホスピタリティは非常に近い関係にあります。
相手の立場に立つ。
相手が何を必要としているかを考える。
そして、自分にできることを考え、行動する。
その行動によって相手が喜び、その喜びが自分の喜びにもなる。
さらに、その姿を見た周囲の人も「自分も誰かのために動こう」と思う。
利他は伝染するのです。
職場にこうした人が増えれば、助け合いが生まれ、関係の質が高まり、仕事への意味や誇りが生まれる。
そして、
利他的な行動
→ 相手への貢献
→ 自分自身の幸福感
→ 仕事への意味・誇り
→ エンゲージメント
→ 主体的な行動・協働
→ 生産性・顧客価値
という好循環が生まれていきます。
ホスピタリティは、単に「人に優しくしましょう」「親切にしましょう」という精神論ではありません。
働く人自身の価値を高め、組織の力を高めるための考え方でもあるのです。
■ これからの時代、「人の価値」はどこにあるのか
AIがさらに進化すれば、仕事の効率はもっと上がっていくでしょう。
だからこそ私は、これから問われるのは、
「何ができる人か」だけではなく、「誰のために、どんな価値を生み出せる人なのか」
だと思っています。
自分の仕事だけを見るのではなく、周囲を見る。
困っている人に気づく。
相手の気持ちを想像する。
そして、「自分に何ができるだろう」と考えて行動する。
そんな人は、AI時代になっても、きっと周囲から必要とされ続けます。
そして面白いことに、誰かのために働くことは、巡り巡って、自分自身の幸福や成長、評価にも返ってくる。
「誰かのために働くこと」と「自分のために働くこと」は、決して反対ではないのです。
あなたは今日、誰のために、何ができるでしょうか。
その小さな「利他」の一歩が、あなた自身の「人としての価値」を高め、職場を変えていく一歩になるのかもしれません。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
ザ・ホスピタリティチームでは、働く人一人ひとりが仕事に意味や喜びを感じ、
いきいきと働ける組織づくりを支援する「ウェルビーイング向上研修」、
そしてAI時代だからこそ求められる、相手を思いやる力、関係を築く力、主体的に行動する力など、
人にしか生み出せない価値を高める「ヒューマンスキル向上研修」を提供しています。
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