2025.04.20
ホスピタリティコラム
「相手とぶつからずに、自分の意見を通す交渉術」 ~ハーバード流 × ホスピタリティ~
「また押し切られてしまった…」
「本当は伝えたいことがあったのに、言えずに終わってしまった」
そんな職場での“交渉”におけるモヤモヤを感じたことはありませんか?
人間関係を壊したくない。相手とぶつかりたくない。
でも、自分の想いや提案もきちんと伝えたい――。
そんなジレンマを感じている人は少なくありません。
実は、この“ぶつからずに意見を通す”という願いは、
世界中の交渉の現場でも重要なテーマとして扱われてきました。
その代表的な手法が「ハーバード流交渉術」です。
今回は、この交渉術の基本に“ホスピタリティ”という視点を加えることで、
より実践的で、心地よい対話を実現する方法を一緒に考えてみたいと思います。
■ハーバード流交渉術とは?
ハーバード大学のロースクールで生まれた「Getting to YES(イエスと言わせる交渉術)」は、
世界のビジネス・外交・教育現場など、あらゆる交渉の場面で活用されてきた理論です。
その最大の特徴は、勝ち負けではなく“合意の形成”を目指す点にあります。
対立ではなく、対話によって「お互いが納得する形」を探っていくのです。
このハーバード流交渉術には、次の4つの原則があります:
① 人と問題を分ける
② 立場ではなく利害に注目する
③ Win-Winの選択肢を考える
④ 客観的な基準で判断する
これらの原則を土台にすることで、交渉は単なる説得や押し問答ではなく、
“より良い関係をつくるための対話”へと進化します。
■ホスピタリティが加わると、交渉はもっとやさしくなる
ハーバード流の交渉術はあくまで「理論的に正しいアプローチ」です。
しかし現実の職場では、理屈だけでうまくいかない場面もあります。
「言っていることは正しいけど、冷たい印象だった」
「論理的すぎて、なんだか人間味が感じられない」
そんな声が聞かれることもあります。
そこで重要になるのが、ホスピタリティ=“相手の立場に立つ想像力”です。
単に「納得させる」のではなく、「納得してもらう」ためのあたたかい姿勢。
以下に、ハーバード流交渉術の4原則に、ホスピタリティの視点を加えた具体的な職場事例を紹介します。
1. 人と問題を分ける × ホスピタリティ
ポイント:人としての尊厳を保ちながら問題に向き合う
▶︎職場の例:上司が部下に注意をする場面
【NG】
上司「最近の君、やる気ないよね?報告も遅いし、正直がっかりだよ」
👉人格を否定してしまい、関係性に悪影響。
【OK】
上司「報告が遅れがちなのが気になっていて…。何か困ってることある?
君の力を信頼してるからこそ、今の状況を一緒に考えたいと思ってる」
👉人としての信頼を伝えつつ、問題に焦点を当てている。
2. 立場ではなく利害に注目する × ホスピタリティ
ポイント:「その人の背景」に耳を傾ける姿勢
▶︎職場の例:部下がテレワークを希望
【NG】
上司「うちのルールは出社だから。無理だよ」
👉立場だけで判断され、相手は“シャットアウトされた感覚”に。
【OK】
上司「なぜテレワークを希望するのか、詳しく教えてもらえる?」
部下「実は家族の介護がありまして…」
上司「それなら週に2日は在宅、という形も検討してみようか」
👉利害に注目し、相手の事情を理解しようとする姿勢が信頼を生む。
3. Win-Winの選択肢を考える × ホスピタリティ
ポイント:お互いが“嬉しい形”を考える創造力と思いやり
▶︎営業現場の例:納期の調整を巡る交渉
【NG】
営業「うちも厳しいので、納期を前倒しでお願いします」
クライアント「それはできません。他社に切り替えます」
👉一方的な主張で関係が悪化。
【OK】
営業「御社のご事情も承知しています。
こちらとしては、初回分だけ先に納品するなどの案も考えています。いかがでしょうか?」
👉相手の都合にも配慮した案を提示することで、信頼関係を築く。
4. 客観的な基準で判断する × ホスピタリティ
ポイント:感情ではなく、共有できる“ものさし”をもとに話す
▶︎職場の例:人事評価面談
【NG】
上司「君ってなんとなく、成長が見えにくいんだよね」
👉あいまいな主観評価は、不信感につながる。
【OK】
上司「今期は売上目標の達成率が80%でしたね。
この数字を一緒に振り返って、今後どう伸ばすか考えてみましょう」
👉データや基準に基づいた話し合いは、安心感を生む。
■まとめ:やさしさと論理の両立が、交渉を変える
交渉は、「勝つか負けるか」ではなく、
「お互いの立場を理解し、より良い解決策を一緒に見つける」ための対話です。
そこにホスピタリティの視点が加われば、
相手の感情に寄り添いながら、自分の意見も伝えることができます。
ぶつからずに、でも伝えるべきことは伝える。
やさしさと論理を両立させた“ホスピタリティ交渉術”を、あなたの職場でもぜひ実践してみてください。
ザ・ホスピタリティチーム(株)では、ホスピタリティや職場の心理的安全性、チームビルディングに関する、
研修、コンサルティング、講演のサービスを提供しておりますので、お気軽にお問合せください。
無料セミナー情報!!
↓ ↓ ↓ ↓
https://thehospitalityteam.jp/seminar/
研修サービス
コンサルティングサービス
ホスピタリティ経営・コンサルティング・セミナー・講演のことなら
ザ・ホスピタリティーチーム
CATEGORY
NEW ENTRY
RELATED POST関連記事表示
TOPICSトピックス
マネジメントコラム
2025.05.23
働く意味の時代変化とホスピタリティの有用性― 変化の時代に問われる“人を活かすマネジメント”とは ―
■ 「働く意味」は大きく変わった 「なぜ人は働くのか?」 この問いに対する答えが、ここ最近...
マネジメントコラム
2025.05.16
ホテル・旅館の口コミ評価4.5の壁を超えるための最重要ポイント!~宿泊業の口コミポイントの高め方~
「また来たい」と思える旅館やホテルには、ある共通点があります。 それは、“空気感”が心地よいこ...
マネジメントコラム
2025.05.09
ホスピタリティを組織運営に活かすという発想 ~成果を生む組織はホスピタリティに溢れている~
■接客から組織マネジメントへ:ホスピタリティの転用 「ホスピタリティ」と聞くと、多くの人はホテ...